旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

地図を使う第一歩

2010年04月27日 | 旅行一般
子供の頃から地図が好きでした。新聞広告の裏に、海賊の宝の地図を書いてみたり、多分そんな事から始まったのでしょうが、小学校中学年になって、近所の山に遊びに行くようになると、自分が普段立ち入ったことの無いところまでが図で示されている地図は、更に一歩を踏み込むためのツールとなって、家の近所をカバーする国土地理院の地形図を集める変な小学生となっていきました。

その頃、私と友人数人がいたく気に入っていた遊びは、踏分道を地図上の尾根筋などと照らし合わしながら1日山の中をさまよって帰ってくるという、今から考えれば危険極まりない遊びで、おそらく親たちは、自分の子供がこんな危ない遊びをしているとは思っていなかったと思います。1度だけ、完全に道に迷ったことがあって、山中で日が暮れ始めたときはかなり焦りましたが、何とか里へ降りることに成功したので大事に至らずに済みました。

情報を全て現地収集に頼っている”スーパーカブで旅するタイ北部”の時も、地図だけは例外的に情報源として活用しています。運の良い人は私がたまに真面目な顔をして地図を眺めているのを見たことがあるかもしれませんし、もっと運がよい人は地図から何かを小さな情報カードに書き出しているのを見たことがあるかもしれません。そのあたりのテクニックは、そのうちに紹介する・・・かもしれません。

地図をつかって未知の道を辿る面白さで遊ぼうと考えたのが”東京トレッキング”。こちらはラリー用のルートブックを使うのですが、同時に1/25000縮尺の地図もお渡ししています。これを活用出来ている人は少ないかもしれませんね。

地図を見て旅することには慣れていて、それなりに自信がある私ですが、それでも道に迷ったことはなんどもあります。そのことから、これから、地図を見ながら旅をする人や、山に登る人、あるいは海外ツーリングに出かける人に、だれにでも絶対当てはまる地図を活用するための法則を1つだけ紹介しておきましょう。

まず、道を間違ったという場合と、道に迷ったというのは違います。道をまちがったというのは現在位置は把握できている場合です。道に迷ったというのは、今どこにいるのかさえ判らなくなった状態です。私が道に迷った経験は殆どの場合、誰かと一緒で、お互いが”相手が道を知ってるだろう”と思っていた場合です。そして、相手が道を知らなかったことに迷ってから気がつくという流れになります。迷ってから気づくという点が注意点。

法則:道に迷ってから地図を見ても、ほぼ確実に現在位置が分かりません。しかも永遠に。

地図上の表記から自分の現在位置を割り出せるケースと言うのは例えば交差点に居て、交差している道路の両方の名前がわかった場合など、幸運に恵まれた時だけです。ツーリングの経験が豊富な人たちは思い起こしてみてください。こんなところでは迷うこと自体が無いのです。迷っているときはこういう手がかりが何も見つからないから迷っているわけです。脱出するための早道は結局ラリーの場合と同じで、わかる所まで戻るしかないのですが、迷ってから地図を見ているようでは、そこまで何もチェックしていないので、そもそも”わかる所”が存在しません。

だから、地図をつかって移動する際には、スタート前に今日の行程をチェックすることはもちろんですが、随所で、自分がルート上に居ることを地図でチェックして、その都度、地図のどこに居るのかを確認するようにしなければ意味がありません。逆に、このことさえチェックするようにしていれば道を間違事はあっても道に迷う事はほとんど無くなります。

自分が実際に進んでいくのと同時に、スゴロクのコマのように自分のミニチュアを地図上でも進めていくようなイメージで考えると分かりやすいかもしれません。

”迷ったら地図をみればいいや”ではなくて、迷う前から地図を見るようにすることが未知の道を地図を頼りに旅するための第一歩なのです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿