旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

【旅のトラブル事例】丸めてポイ

2002年06月27日 | 旅のトラブル事例
 私のような仕事をしている人間がこういう発言をするのは不謹慎なことなのかもしれませんが、実際私も旅行者として旅をしてきてやはり、ある程度”旅にトラブルはつき物”だという面もあるト思います。場合によっては自分の認識不足であったり、コミュニケーションミスであったり、文化の違いであったり、まあ、結局は帰国した後”あれも良い思い出”的なトラブルも多いのですが、思い出すたびにいまだに不可解。いや、正直な話、今思い出しても腹の虫がおさまらないようなトラブルもやはり残念ながら存在します。ココではそのうち、”丸めてポイ”のキーワードに分類できる、私自身が体験した2つの事例をご紹介しましょう。一部、他の”ウンチク”と重複しますがご容赦ください。
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丸めてポイ事件簿①敗北の部
 1990年3月の事だと思います。私は長らく在籍した大学を”卒業見込み”となり卒業旅行の名目でタイへ1ヵ月半ほど渡航していました。伊丹空港発の大韓航空を利用した私は”お金を持っていくのを忘れる”という恐ろしいミスを犯してしまいました。いろいろあって、結局無事帰国の運びには持ち込んだのですが、 復路はソウル1泊。Tシャツ、綿パンにゾウリを引っ掛けてミゾレまじりの雨が降る夜のソウルに降り立った私は、さすがに歩き回って宿泊先を探すことを断念。空港のインフォメーションでホテルを紹介してもらうことにしました。
 もともとお金をほとんど持っていなかった私、しかも復路で更にお金がない。インフォメーションの親切なスタッフが紹介してくれた一番安いホテルに泊まっても、私はもはや出国時に空港税を払い、伊丹空港から滋賀県の自宅まで帰るお金が足りません。見るに見かねた韓国人のスタッフはホテルに電話して交渉してくれました。結果、提示されていた料金を税込みにしてくれることになり、そのことをインフォメーションのスタッフは名刺の裏に書いて”コレを見せれば大丈夫”と渡してくれました。
 もちろん、タクシーなどでホテルへ行くお金はありません。いろいろな方々に教えてもらい、韓国の人たちの親切を身にしみて感じながら、バスと地下鉄を乗り継いでようやくたどり着いたホテルは、日本人向けと思われるビジネスホテル。フロントへ行ってチェックインの手続きをしようとすると日本語ができるそのフロンとスタッフは「税は別」の一点張り。切り札の空港でもらった名刺を見せると、フロントのスタッフは「ちょっと見せて」と手を差し出しました。
 その”証拠の品”を手渡した瞬間に相手が取った行動は・・。
 丸めてポイ。そうです。丸めてゴミ箱へ放り込んで、更にそのゴミ箱をカウンターの下へ蹴りこみました。しかも、”さっきの名刺返してよ”と詰め寄る私に”何の事?そんなもの受け取ってませんけど???”
 結局、さんざんもめにもめたけれど、ミゾレの降る夜のソウルへ追い出されると凍死しかねない服装の私は泣く泣く明日空港税を払うつもりだったウォンを使って支払いを済ませてそこに泊めてもらいました。
 もちろん、計算は、狂いに狂ってソウル空港で空港税を払うために再び両替え。これでは滋賀県までの交通費が足りません。・・・・万が一の場合に備えていつも隠し持っていた100ドル札を伊丹で泣く泣く両替。家まで何とか帰り着きました。
 このことを思い出すたび、なんともいえない敗北感にとらわれずにはおれません。
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 丸めてポイ事件簿その②勝利の部
 時は流れてE&G。カナダバイクツアーの添乗員としてノースウエスト航空のシアトル経由でカナダへお客様と渡航。
 ドアの故障で成田を出るのが2時間以上遅れたその日のシアトル線。バンクーバーで更に乗り継いでクランブルックへ向かう我々一行のバンクーバーでの乗り継ぎ時間はほぼ2時間。これは間に合わないと腹をくくって対策を考えながらシアトルへ。
 シアトルではノースウエスト航空の係員がシアトル・バンクーバーの便を振り替えてくれていましたが、クランブルック行きの便には乗り継げず、しかもバンクーバー・クランブルックは最終便。やむをえないのでバンクーバーで1泊して、翌朝1番のフライトでクランブルック到着次第ツアースタートするように予定を変更しました。
 シアトル空港の係員は親切で、”バンクーバーでノースウエスト航空に申し出てくれればホテルと食事はノースウエスト航空で負担させていただきます。”との事で、予約記録にその旨入力したものをプリントアウトして持たせてくれました。
 バンクーバー到着後、すでに年輪を経た私は、”これは多分スムーズには行かないな”と予想し、同行のお客様はひとまずカフェテリアへ。全員分の航空券と予約記録を持ってノースウエスト航空のカウンターへ向かいました。
 案の定、バンクーバーのノースウエスト航空のスタッフはホテル&食事のケアを全面拒否。”これは手配したエージェントのミスです。”と言ってのけてくれました。
 皆さん、航空会社の空港係員など、このくらいの嘘つきなので、ゆめゆめエージェントばかり疑わないようにしてください。なにせ、ドアの故障で2時間フライトが送れたことまで”手配したエージェントのミスです”と、その”手配したエージェント”相手に面と向かって言ってのけるくらいの嘘つきなんですからね。
 結局、やはりシアトルでもらった予約記録のプリントアウトを提示。ココから先はご想像通り。やっぱり丸めてゴミ箱へ。しかも”何やってんだよ!。さっきのPNR(予約記録のこと)返せよ!”と語気を強める私に”何の事?何にもあなたからは受け取ってないけど????”。
 押し問答する私の後ろには搭乗手続きを待つ他のお客様の長蛇の列。これを見たのか、奥から出てきた”スーパーバイザー”の名刺を持った係員が、”ちょっとこちらへ”と列の外へ私を連れ出そうとする。(・・・これも、よくある手段。列の外へ連れ出して、そのまま交渉相手になるわけでもなく再び奥へ引っ込んでしまう)でも、もはや甲羅を経た私はこんなことにごまかされることはありません。”あなたが約束どおりホテルの手配を行ったことを確認したらホテルへ向かいます。それまではここから動くつもりは無い!”とネバって、やっとホテル手配をしてもらうことができました。ただし、そのホテルはノースウエスト航空の小切手を受け付けてくれず、私が立替え。翌日払い戻しに再びこのカウンターへ来ることになりました。
 ホテルの件は解決。でも、食事の件はうやむやに。
 その夜はお客様とみんなで中華料理屋へ。ちょっとリッチな夕食をとり、レシートを受け取って空港へ。昨日のスーパーバイザーにホテル代と食事代のレシートを見せて”食事代も払ってくれるんだよね!”。と詰め寄ったところ、”いや、食事はケアできないよ。”と一応断ってみせた。”でもね。シアトルじゃあやってくれるって言ってたよ。言ってただけじゃなくてPNRコピーにも書いてあったよ。お宅のスタッフが捨てちゃったけどね。”と更に詰め寄る。結局食事代、ホテル代分の小切手返金を受けて、無事クランブルックへ。
 こういった場合は、航空会社がミールクーポンを発行して、その金額の範囲内で食事代を負担してくれるのが通常の流れ。今回は、下手にごまかそうとしたおかげでもっと高い食事代を払わせることに成功した、思い出すたびに腹が立ちながらも勝利を感じる丸めてポイ。
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 こんな目にあった私は金輪際、相手が誰であれ、証拠となるメモなどを交渉相手に手渡すことは無いでしょう。

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