1997年のUAEデザートチャレンジというラリーへの出場の際の私のテーマは、レースに勝つ事が目的であるはずもなく、完走が目標でもなく、"普段の足をラリーに持っていったらどんなヒドい目にあうか"という事であったので、極力ラリーマシン的な改造を避ける事にずいぶん注意を払いました。そんな中、私にとって気がかりな事が1点あったのです。
私が持ち込んだマシンはホンダNX650ドーミネーター。通常のオフロードバイクのようにサイドカバーがゼッケンプレートにはなっていないのです。実はこの点を変に気にしていた事には過去の経験があります。1994年のオーストラリアンサファリラリーにメカニックとして同行した際、マシンを制作した方が自分達の経験から、ゼッケンプレートがアルミプレートであった事、そして、ナビゲーション機器と干渉する恐れがある事から、わざわざゼッケンプレートを固定するためのステーを用意してくれていました。ところが97年にはゼッケンがステッカーに代わっていて、ステーが逆にアダとなった記憶があったのです。
妙に細かい事とは思いましたが、私にとっては、もしゼッケンがステッカー形式であれば、サイドカバーに張るスペースがありません。プレートであればサイドカバーにリベットで止める事が可能です。雑誌や主催者のホームページに掲載されている写真をチェックし、唯一、現場を知っているメディア関係の方にそのあたりを聞いてみて、結論、プラスチックプレートのゼッケンが支給されると判断してサイドカバーに加工は行いませんでした。
ところが現地に入ってゼッケンを受け取ってみると、車輌の前方に配置するゼッケンはプラスチックプレートでしたが、両サイドのゼッケンはステッカーに変わっていたのです。これは問題です。
日本であれば近所のホームセンターでプラ板を買ってリベットで固定すればできあがる事ですが、ドバイの町でホームセンターなど見た事がありません。手持ちの物の中で使えそうな物を探してみたところ、カバンの底板が使える事が確認できました。しかし、今後カバンの底板が無いのも面倒な事になるので、一応、最悪の場合、それを使うとして、他の手段を探してみる事にしたわけです。
ドバイ、マリオットホテルの従業員は地下駐車場で連日バイクを相手に作業をして、時々、風変わりなお願いをする我々の存在にももはや慣れており、コンシェルジュにゼッケンのステッカーを持って現れた私に、"今度は何"と。
私が事情を説明すると、何人かのスタッフが"ウーン"と唸って考え込みます。周囲にいるホテルのスタッフも集ってきて、結局7人位の人間が考え込みました。そのうち、1人が"そうだ、そういう物は文房具屋にあるんじゃないか?"と。
"そうか!!!!下敷だ!!!"
文具店はすぐ近くにありました。これを思いついたスタッフは他のスタッフに得意気な顔をしてみせます。周囲のスタッフも"ナルホド!!"と。
結局、文具店でプラスチックの表紙がついたファイルを1冊購入して、これにゼッケンを張って切り抜いてリベットで止めて私のゼッケンプレートは完成しました。そして、リベット止めのため、今でも私の"日常の足"に はこのゼッケンが付いていて、これを見るたび、マリオットのスタッフと悩んだ事や文房具店を思いついたスタッフの得意気な顔などを思い出します。
旅の準備として情報を収集するのはもちろん必要な部分もあるでしょう。しかし、このラリーの例は何も特別な事ではなく、旅では自分が集めた情報と現場の実際が違う事は多々ありますし、違っていて普通だと言う事もできます。違っていた事が発覚した時は現場で調整をする事が必要になりますし、その事がまた良い思い出でもあると言えます。
情報というのは現場では違っていたり、変わっていたりする物だという事を皆さん忘れてはいないでしょうか。自分が聞いた事が違っていたといって情報源を恨んだり、あんなガイドブックはダメだと騒いでみたりしていないでしょうか。情報は参考にしながら現場では現実と情報との差を調整する前提で用いるものだという事をまず認識すれば、その調整も旅の楽しみの一つとなっていくと思います。
私が持ち込んだマシンはホンダNX650ドーミネーター。通常のオフロードバイクのようにサイドカバーがゼッケンプレートにはなっていないのです。実はこの点を変に気にしていた事には過去の経験があります。1994年のオーストラリアンサファリラリーにメカニックとして同行した際、マシンを制作した方が自分達の経験から、ゼッケンプレートがアルミプレートであった事、そして、ナビゲーション機器と干渉する恐れがある事から、わざわざゼッケンプレートを固定するためのステーを用意してくれていました。ところが97年にはゼッケンがステッカーに代わっていて、ステーが逆にアダとなった記憶があったのです。
妙に細かい事とは思いましたが、私にとっては、もしゼッケンがステッカー形式であれば、サイドカバーに張るスペースがありません。プレートであればサイドカバーにリベットで止める事が可能です。雑誌や主催者のホームページに掲載されている写真をチェックし、唯一、現場を知っているメディア関係の方にそのあたりを聞いてみて、結論、プラスチックプレートのゼッケンが支給されると判断してサイドカバーに加工は行いませんでした。
ところが現地に入ってゼッケンを受け取ってみると、車輌の前方に配置するゼッケンはプラスチックプレートでしたが、両サイドのゼッケンはステッカーに変わっていたのです。これは問題です。
日本であれば近所のホームセンターでプラ板を買ってリベットで固定すればできあがる事ですが、ドバイの町でホームセンターなど見た事がありません。手持ちの物の中で使えそうな物を探してみたところ、カバンの底板が使える事が確認できました。しかし、今後カバンの底板が無いのも面倒な事になるので、一応、最悪の場合、それを使うとして、他の手段を探してみる事にしたわけです。
ドバイ、マリオットホテルの従業員は地下駐車場で連日バイクを相手に作業をして、時々、風変わりなお願いをする我々の存在にももはや慣れており、コンシェルジュにゼッケンのステッカーを持って現れた私に、"今度は何"と。
私が事情を説明すると、何人かのスタッフが"ウーン"と唸って考え込みます。周囲にいるホテルのスタッフも集ってきて、結局7人位の人間が考え込みました。そのうち、1人が"そうだ、そういう物は文房具屋にあるんじゃないか?"と。
"そうか!!!!下敷だ!!!"
文具店はすぐ近くにありました。これを思いついたスタッフは他のスタッフに得意気な顔をしてみせます。周囲のスタッフも"ナルホド!!"と。
結局、文具店でプラスチックの表紙がついたファイルを1冊購入して、これにゼッケンを張って切り抜いてリベットで止めて私のゼッケンプレートは完成しました。そして、リベット止めのため、今でも私の"日常の足"に はこのゼッケンが付いていて、これを見るたび、マリオットのスタッフと悩んだ事や文房具店を思いついたスタッフの得意気な顔などを思い出します。
旅の準備として情報を収集するのはもちろん必要な部分もあるでしょう。しかし、このラリーの例は何も特別な事ではなく、旅では自分が集めた情報と現場の実際が違う事は多々ありますし、違っていて普通だと言う事もできます。違っていた事が発覚した時は現場で調整をする事が必要になりますし、その事がまた良い思い出でもあると言えます。
情報というのは現場では違っていたり、変わっていたりする物だという事を皆さん忘れてはいないでしょうか。自分が聞いた事が違っていたといって情報源を恨んだり、あんなガイドブックはダメだと騒いでみたりしていないでしょうか。情報は参考にしながら現場では現実と情報との差を調整する前提で用いるものだという事をまず認識すれば、その調整も旅の楽しみの一つとなっていくと思います。
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