一山越えた集落に彼が住んでいる。
田舎暮らしに憧れて東京で開催された田舎に移住お試しのようなイベントに応募して
はるばる海辺の町にやってきた。
テングサを干しているとフラッとビール片手に話かけてきた彼がいた。
以前地区の道路草刈りのボランティアとして
応援に来てくれていたのをすっかり忘れていたのだ。
どちらからとの私の問いに＊＊ですと。
海辺の町をすっかり気に入って
骨を埋める覚悟ですと話していた。
親御さんはすでに他界し兄弟とも疎遠になっていると
じゃあ寂しいわね誰かいい人はいないのとお節介な私
心根の優しい彼と話をしているうちに何とか力になれないものかと
連休にやはり田舎に住みたいという知り合いが来る予定だった。
当時ここまで長引くとは思っていなかった新型コロナウイルス
皮肉にも外出自粛制限で来られず彼に申し訳ない気持ちと
落ち着いたら彼との約束を果たして上げようと思っている。