今回は「伊万里 染付ぶどう文油壷」の紹介です。
この油壷は、私の古伊万里コレクション第3号となるものです。
前回紹介した「伊万里 染付初期印判手井筒に桐紋碗」を買ってから2カ月ほど経ってからのことでした。道路を歩いていましたら、古銭や切手を商っている小さなお店のショウウインドーにこの油壷が置かれていることを発見したんです。
この頃になりますと、私も、現代作家物とか、国内外の古い陶磁器にはさほど興味がなくなり、古伊万里に強い関心を示すようになってきていて、その辺を歩いていても、ついつい、古伊万里を見かけると、近寄って手に取って見たくなるようになっていました。
そこで、「まぁ、古銭や切手を扱っているお店に飾ってある古伊万里なんだから、売り物ではないんだろうな~。でも、手に取って見せてくれるなら見せてもらおうか」と思って、思い切ってそのお店に入りました。
そして、ダメ元で聞いてみたんです。「これは売り物ではないですよね」と、、、。
そうしましたら、意外や意外。「専門外のものですけれど、たまたま手に入ったんです。欲しいなら売りますよ!」との返答です。しかも、私が想像したよりも安い値段を提示してきたんです。
私は、まだ古伊万里を集め始めたばかりですから、古伊万里の相場など良くは分からなかったんですが、当時の自分の感覚からすれば、相場よりは安く感じましたので、買うことに決定しました。
その時、この油壷が、本当の古伊万里に属するものなのかどうかまでは分かりませんでしたが、器面いっぱいに、威勢よく、ぶどうだけが描かれているところが気に入り、仮に古伊万里ではないにしても、飾ったり、一輪挿しにして十分に楽しめるのだから、騙されたとしてもそれほどの被害はないと思ったからでもありました。
それが、次の写真の「伊万里 染付ぶどう文油壷」です。
正面
正面から右に90度回転させた面
正面から左に90度回転させた面
正面の反対面
上からみた面
側面
底面
製作年代: 江戸時代前期
サ イ ズ : 口径;2.1cm 胴径;10.3cm 高台径;5.0cm 高さ;10.0cm
<製作窯についての疑問>
なお、この油壷の製作窯ですが、有田の窯ではないような気もします。有田の周辺の窯で作られたものなのかもしれません。また、それが、何という窯なのかも知りません(-_-;)
<追記>(令和2年7月17日)
不あがりさんから、この油壷は、平佐焼ではないかとのコメントをいただきました。
ネットで調べてみたところ、この油壷のように、器面いっぱいにぶどう文を描いている平佐焼の油壷を発見したというのです。
さっそく、私も調べてみましたら、この油壷に非常によく似た平佐焼の油壷をネットで発見しました。
平佐焼は薩摩焼の一系統で、1776年に有田の陶工を招いて開窯したと言われているものなので、伊万里焼に大変に似たものを作っています。
それで、私も、この油壺は平佐焼ではないかな~と思うようになってきました。
そうであれば、この油壷の名称は「平佐焼 染付ぶどう文油壷」となりますし、製作年代も江戸時代中期~後期となります。