今回は、「伊万里 染付網目文玉壺春形徳利」の紹介です。
左:徳利A(高さ:14.6cm) 右:徳利B(高さ:15.7cm)
徳利Aは、昭和52年7月に購入したもので、当時から、初期伊万里の典型的な徳利として有名なものでした。今でも、市場に出回っており、今なお人気が衰えておりません。
古伊万里のコレクションを始めたからには、是非、1点は欲しいと思っていたんですが、なにせ、人気があるものですから高額で手に入りません(><)
何とか、やっとこ手に入れたんですが、例によって大疵です(><)
これは、私の古伊万里コレクション第5号となりますが、大疵物とはいえ、これを手に入れたことによって、やっと古伊万里コレクターの仲間入りが出来たような気になりました(^-^; その意味では、私にとっては、意義深い古伊万里です。
徳利A
徳利Aの底面
しかし、大疵とはいえ、よく図録に出てくる典型的な初期伊万里ですし、そのとろりとした肌、可憐な姿・形には、おもわず口づけし、ほおずりし、たなごころにそっと包み込みたくなるような愛らしい徳利です。網目文は、観賞用のきっちりとした網目文でもなく、そうかといって粗雑でもなく、あくまでも、いわば中庸を得た描き方です。したがって、使用していて肩もこらず、かといって粗略にも扱えない、、。なるほど、中庸とはこんなことをいうのだろうかということを身をもって教えてくれる一品です。
そんなところから、私は、この徳利を大変気に入り、どうしてもこれに酒を入れ、毎日のように実用に供したくなりました。しかし、口造りは3分の1ほどが欠け、高台部も同じくらい欠けていましたし、元は、そこに金直しがしてありました。それには、金直しが大きすぎて、目立ち過ぎ、どうも具合が悪いんです。そこで、金直しをはずし、自分で補修することにしたわけです。さっそく白色セメントと水彩絵の具セット、それに陶磁器接着剤を買ってきて、一応の補修を終了させました。しばらくの間は、自分で補修をしたことに対する愛着も手伝って、毎日のようにこの徳利を使って酒をのんでいました。
ところがです、その後、「古伊万里再発見」(双樹社美術出版 野田敏雄著)という本を読んでいましたら、これらの徳利は、琉球の王族、富裕者達の墓の明器であったということが書いてあるではないですか(><) ゲゲーの思いです(><) その後、実用に供しなくなったことは言うまでもありません(-_-;)
しかし、夜の一杯に使用していたこと自体は青天の霹靂の思いではありますが、その美しさそのものは、今もなお不変です(^-^;
なお、この徳利Aを手に入れてから、2カ月ほどして、徳利Bを手に入れました。
徳利Bのほうにも、口造りの六分の一ほどに金直しがしてありましたが、それもはずし、自分で補修をし直しました。
徳利B
徳利Bの底面
製作年代: 江戸時代初期
サ イ ズ : 徳利A……口径;3.7cm 胴径;6.8cm 高台径;4.4cm 高さ;14.6cm
徳利B……口径;3.8cm 胴径;6.9cm 高台径;4.4cm 高さ;15.7cm