今回は、「伊万里 染付貝藻に文字丸文小皿」の紹介です。
表面
この小皿は、一昨日(令和2年7月19日)、骨董市で買ってきました。
見込みいっぱいに、貝と海藻を描き、その周りには、ぐるりと、丸文を巡らせています。
その丸文部分をよく見ると、それぞれの丸文には何やら文字が書かれ、その文字は墨ハジキの技法で白抜きにされています(下の画像参照)。
丸文部分の拡大画像
以上のことから、この小皿の名称を、「伊万里 染付貝藻に文字丸文小皿」としてみました。
ところで、この小皿は、焼成中に見込みの真ん中の部分がちょっと盛り上がってしまったようで、貝が描かれた所にちょっと窯疵が出来てしまっています。
見込みの真ん中の貝の部分に出来た窯疵
斜め上から見たところ
真ん中辺りが少し盛り上がっています。
側面
この面からも、真ん中辺りが少し盛り上がっていることが分かります。
なお、伊万里では、焼成する時に、ヘタリを防止するために高台内に針支えをするわけですが、この小皿の場合は、その針支えの数が1本しかなかったため、その数が不足したのか、針支えを施した周辺がヘタッてしまい、見込み中央付近が盛り上がってしまったようです。
裏面
針支えは1本(目跡1個所)
(高台内の銘は不明)
そうそう、ここで、このヘタリとその結果による盛り上がりによって生じた窯疵をどう評価するかの問題が生じますね。
純粋に鑑賞陶磁器の観点からみれば、疵は疵ですから、それは欠点となり、評価は下がります。
しかし、骨董の観点からみたらどうでしょう。このヘタリとその結果によって生じた盛り上がり、や、それによって生じた窯疵は、むしろ、見所となり、評価が高くなるのではないでしょうか。
私は、純粋に鑑賞陶磁器の観点から古伊万里のコレクションを始めたものではないんです。骨董収集の観点から古伊万里のコレクションを始めたんです。それで、どうしても、このような、ちょっと歪んだもの、ちょっと窯疵のあるもののほうにむしろ惹かれてしまうんです(^^;
製作年代: 江戸時代前期(1660~1680年代)
サ イ ズ : 口径;14.5cm 高台径;10.1cm