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NPO法人「ドネーションシップわかちあい」事務局ブログです

釜ヶ崎の施設の子どもたち 姥捨てされた高齢者夫婦を救った

2014-02-25 12:25:59 | ドネーションシップ
※情報紹介です

▼釜ヶ崎の施設の子どもたち 姥捨てされた高齢者夫婦を救った

 寒い季節は路上生活者にとっては生きるか死ぬかの日々だ。他にゆくところが
なく路上生活する人がいるように、さまざまな事情で保護者とともに暮らせない
子どもたちもいる。ベストセラー『がんばらない』で知られる鎌田實医師が、大
阪のドヤ街・釜ヶ崎を訪れたときにきいた、施設の子どもが老人を助けた話をつ
づる。

 * * *
 厳冬の1月、大阪のドヤ街・釜ヶ崎に行ってきた。あいりん地区とも呼ばれる
場所。日雇い労働者が仕事を求めて集まる、日本最大の“寄せ場”だ。釜ヶ崎に
は「こどもの里」という貧困や虐待から子どもを守っている施設がある。

 厳寒のこの季節になると、こどもの里の子どもたちは、ボランティアと一緒に
夜回りを開始する。釜ヶ崎には、仕事がなくて日払いの簡易宿泊施設にも泊まれ
ない人々が路上で寝起きをしているので、なんとか凍死者を出さないようにと、
子どもたちがおにぎりを片手に配って歩く。温かい汁ものを提供したり、簡易カ
イロや毛布を配って町を回っているのだ。

 夜回りをしていたボランティアが、80歳くらいの高齢者夫婦が路上で震えてい
るのを発見した。話を聞いてみると、親戚から見捨てられたという。

「釜ヶ崎に行けば家がなくてもなんとかなるだろう」と言われて、釜ヶ崎まで連
れてこられ置き去りにされた。持てるだけ持って出てきた荷物の中で、夫婦二人
は震えていたそうだ。

 路上生活の経験のない80歳のお年寄りが、この真冬に夜を越すことなど出来る
わけがない。本当に危ないところだった。間一髪。すぐにこどもの里に連れ帰り、
泊めたという。

 翌日、在宅ケアのプロたちが集まって、この夫婦が入所できる施設を探した。
そして、しばらくの間は保護してもらえる施設が見つかったという。とりあえず、
高齢者夫婦が凍死しなくてすむ方法が見つかったのだ。

 家族や親戚たちから見捨てられたお年寄りたちが入る養護老人ホームはたくさ
んあるはずなのに、拒否されるケースが釜ヶ崎だけではなく、全国で横行してい
るという。

 本来は国と自治体でホーム入所等にかかる費用を半々で負担していたのだが、
税源移譲で、市町村の全額負担になった。国が手を引いたのだ。そのため税収が
少ない市町村では、養護老人ホームが空いていてもそのままにして、あえて入所
させない町もあると聞く。

 一方、生活保護だと、国が4分の3負担するので、市町村負担を軽くするために、
養護老人ホームに入れないで、生活保護を受給させてしのぐケースがある。その
ほうが市町村の懐が痛まないからだ。

 日本という国は、急激な高齢化が叫ばれて久しい。それなのに現実には具体的
な対策はない。抜本的な構造改革をしないと、行き届いた福祉がなくて、とんで
もない額の借金ばかりが残る国になってしまう。

※週刊ポスト2014年2月28日号
URL:http://snn.getnews.jp/archives/260693



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困窮者相談 3万件超 (管理者)
2014-02-26 14:01:52
「生活困窮者に食料や日用品を現物給付するなどして緊急支援し、
生活保護など行政の福祉制度につなぐ府社会福祉協議会の事業の相談件数が、
2012年度までの9年間で3万件を超えた。
ここ数年の就職難などの影響を受け、居宅を失ったり、餓死したりしかねない深刻なケースは
12年度だけで1000件を上回っており、中でも、働き盛りの20~40歳代が半数近くを占めている。

【読売・大阪】 困窮者相談 3万件超
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20140225-OYT8T00114.htm

◇府社協の緊急支援10年、全国に広がり

支援員の電話には、ひっきりなしに相談が寄せられる(大阪市中央区の府社会福祉協議会で)

生活困窮者に食料や日用品を現物給付するなどして緊急支援し、生活保護など行政の福祉制度につなぐ府社会福祉協議会の事業の相談件数が、2012年度までの9年間で3万件を超えた。ここ数年の就職難などの影響を受け、居宅を失ったり、餓死したりしかねない深刻なケースは12年度だけで1000件を上回っており、中でも、働き盛りの20~40歳代が半数近くを占めている。(増田博一)

事業は、失業や母子家庭、家庭内暴力などによる困窮者を支援するため、府社協が04年度に全国で初めてスタートさせた。行政の福祉制度は手続きに1か月ほどかかることが多く、即座には対応できないためだ。

社協に加わる老人福祉施設が活動資金を出し、相談してきた人には、地元施設の職員と府社協の支援員が連携して対応。生活に必要な食料などは10万円まで現物給付し、福祉制度の活用を検討したり、就労に向けて助言したりする。

12年度は約440施設が計約9000万円を出し、対応した職員は約710人に上った。一方、府からの補助金は橋下知事(当時)時代の08年度を最後に打ち切られたため、支援員は現在、当初の48人から20人に減り、すべての相談には手が回らないのが実情だ。

相談件数は、04年度から12年度までの9年間で約3万1000件。うち約4700件で計約3億6000万円分の経済援助を実施した。12年度の経済援助は524件で、冷蔵庫などリサイクル用品の支援も含めると、緊急性の高いケースは1161件に上った。

また、524件のうち20~40歳代は44%にあたる232件だった。20~40歳代が経済援助対象者の4割を超える状況は09年度以降続いており、相談者の中には「絶食してこのまま死んでもいいと思った」と、自殺を考えるほど追いつめられた人も多いという。

<大阪方式>の実績を受け、こうした支援活動は全国に広がっている。

神奈川県社協は昨年8月に同様の事業をスタート。県内の福祉施設の職員47人が協力し、これまでに約50件を支援した。埼玉県内では来月、福祉施設が事業実施のための団体を設立予定で、今秋の開始を目指す。

府社協は「ほんの数日でもしのげないほどの貧困に陥り、制度のはざまで苦しむ困窮者は確実にいる。支援の輪が全国に広がれば」と期待している。

◇折れかけた心 癒やされた

「手持ちのお金が3000円しかないんです」。昨年11月下旬、一人暮らしする20歳代の男性が、自宅を訪れた府社協の女性支援員に窮状を打ち明けた。

男性は昨夏、理容師を辞めて転職活動を始めた。雇用情勢は厳しく、製造業など約10社を受けたがすべて失敗。アルバイトさえ見つからず貯金は底をつき、家賃を払えなくなった。頼れる身内もなかった。

駆け込んだ役所で、失業者に生活費を援助する「総合支援資金」の支給が検討されたが、決定までに約1か月かかる。役所から連絡を受けた府社協が支援に乗り出すことになった。

府社協は、緊急措置として米などの食料1週間分と転職活動に必要な携帯電話代約1万2000円を現物給付し、自立に向けて相談に乗った。総合支援資金は支給されなかったが、支援員が「生活を立て直してから就職活動をしよう」と役所の間に入って調整し、今月下旬から生活保護を受給できることになった。

男性は言う。「頼れる人がいない中、支援員に親身に話を聞いてもらえて本当にうれしかった。出会いが命を救ってくれただけでなく、折れかけた心を癒やし、前向きにさせてくれた」

(2014年2月25日 読売新聞)
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