羊蹄学園大学社会学部講義集

北の大地に突如としてできた架空の大学。
かつてないテーマで綴る社会学とは?

佐山武雄の塾戦争第21回~役割放棄の塾(2)~

2006-01-13 11:06:33 | 塾戦争影の第1章
(2、泥仕合)
今日の2コマ目です。

まずは練成会についてからです。

以下は2003年7月22日の読売新聞の北海道版からの抜粋です(尚、記事中の「れんせい」とは、練成会のことである)。

道内大手の学習塾「練成会グループ」を運営する「れんせい」(本社・帯広市)が、広告に不当な表示があった疑いがあるとして、公正取引委員会から、景品表示法違反のおそれがあると警告を受けていたことが、22日わかった。
(注・記事中の「れんせい」とは練成会のこと)

…この記事にあれこれ言う前に、この不当表示に関する公正取引委員会への訴えは、公式には「同業の学習塾運営会社」となっていますが、北海道の塾業界では「進学会だろう」との見方で一致している、ということを付け加えておきます。

さて…
この記事によると、練成会はよくないことをしました。
まず、「道内公立高校の合格実績ナンバーワン」とした広告文について、2番目の進学塾と同時期の合格者数を比較していないということ、次に広告に出した合格者数に、中学1年生や2年生のときに在籍した生徒も含めているということ、この2点についてです。
公取委の警告もこれでは当然でしょう。
練成会もこの件は認め、今では表示を是正しています(練成会のホームページは、「道内9都市公立トップ高校の合格実績、過半数突破!」とある)。

しかしその一方で、その通報をしたと思われる「進学会」にこういった落ち度は無いかとなるとそれも疑問です。
ホームページを見ると一番わかりやすい。
たとえば「全国最大級の合格実績」という文句がそうです。
確かに進学会は全国展開しています。
そのような塾は非常に少ない、ということを考えればそれだけでも誇ることなのかもしれません。
しかし「最大級」とは…どうもわかりにくい、と思ったら2004年の1月18日の北海道新聞にこのような記事がありました。

公正取引委員会は十七日までに、北大学力増進会などを展開する大手進学塾、進学会(札幌)が、チラシに昨年春の高校合格者の実績を全国一などと載せたのは景品表示法違反(優良誤認)の恐れが あるとして、文書で警告した。
 
記事によると進学会は広告等で各塾の算出方法が異なるにも関わらず、「合格実績全国ナンバー1」としたこと、北海道内に進学会よりも合格者数が多い塾が存在する(多分、練成会のことであろう)にも関わらず、「公立高校合格者数全道ナンバー1」とPRしたことが、消費者の誤認を招く恐れがあるため公取委が警告に踏み切ったとあります(ちなみに進学会はこの件に関してノーコメント)。

何と言うのか、練成会が公正取引委員会の警告を受けた記事とさほど変わらない、と感じるのは私だけでしょうか。

しかし、進学会の場合、このことだけでなくたとえば、実績の乏しい地域での合格実績についても私は疑問を呈します。
たとえば「岡崎・一宮・豊田西・一宮西高22名」と表記しています。
これは、愛知県内の4つの高校の合格者の総計が22名と言いたいのでしょうが、同じ愛知県でも岡崎と一宮では全く地域が違うのに、ひとつの括りにし、総計を算出してしまうのは、どうも無理があるように思えます。

いずれにせよ、このことからわかるのは、高校合格実績の表示について言えばどちらも相当な無茶をしており、「どっちもどっち」と言えなくもない状況なのです。

…といったところで、今日はここまで。

次回はもっとこの話を掘り下げていきましょう。

それでは、また。
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佐山武雄の塾戦争第20回~役割放棄の塾(1)~

2006-01-13 11:06:06 | 塾戦争影の第1章
(1、イントロダクション)
こんにちは。
今日は2コマです。

今日から新しい章に入ります。
テーマは進学会と練成会の影の部分です。

そうですね、何から話そうかというと…
一般に大手の学習塾とされているところは、対象学年の生徒が入塾を希望しても中学生の場合だと通知表の評定がオール3以下だと、お断りする傾向にあります。
これは指導の効率化を図るための大手の学習塾で恒常化された手法なのですが、これはともすれば成績を上げたいと思う子どもの熱意を踏みにじる切り捨て、とたびたび指摘されてきました。
これだけでも教育を謳うはずの塾として問題ですが、しかしこれ以上の問題があるのも事実です。

たとえば…
北海道の大手の学習塾である進学会と練成会は、都市部を中心に多くの生徒を抱えます。
それは同時に地域に対して多大な責任を負うということになるのですが…

…というところからこの章に入っていきます。

その前に恒例の関連写真資料を。





この2枚は「おまけ」程度なのですが…

1枚目はクラーク記念国際高校の札幌白石キャンパス。
広域通信制高校です。
校長はあの三浦雄一郎さん。
そう言えば、先日お父さんの敬三さんが逝去されましたね…。

2枚目は名古屋の個別指導塾「がんばる学園」でおなじみの「ITTO個別指導学院」白石本通校。
明光のようなFC(フランチャイズ)展開で北海道にまで教室を構えています(それでもまだまだだが)。

この2枚はたまたま秀英の札幌白石本部に近かったから撮影したまででして…

それからもう1枚。



前回までお話してきた志学会、それに対抗すべく昨年夏に建てられた練成会の北見本部(北見練成会本部)です。

このような北海道の地方都市では珍しい5階建ての塾校舎を建てているその一方で、何が行われてきたのか、行われてているのでしょうか。

…ということで、もう1コマです。

それでは、また。

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