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盲人ウエカジが豊中市に提起 視覚障害者選挙運動妨害賠償請求事件 大阪地方裁判所 令和5年ワ6622号事件 第1回口頭弁論期日 2023年9月4日月曜日午前10時 の訴状を公開する。

2023-09-02 00:15:27 | 同行援護支給決定 不服申し立てプロジェク

毎週土曜8時 ライブおはなし配信 盲人ひとり豊中市を訴えた 視覚障害者選挙活動妨害賠償請求事件 訴状を公開 9月4日月曜日午前10時 大阪地裁1007号法廷 その他、初めて裁判傍聴アドバイスなど


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視覚障害者選挙活動妨害国家賠償請求事件の訴状はここから 一部プライバシーに配慮し一部削除

訴状
令和5年7月10日

大阪地方裁判所 御中
原告 上鍛治公博 印

〒561-8501 大阪府豊中市中桜塚3丁目1番1号
被告 豊中市
代表者 豊中市長 長内繁樹

視覚障害者選挙活動妨害国家賠償請求事件

訴訟物の価格 金30万円
貼用印紙額3000円

第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金30万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の理由

(1)視覚障害者選挙活動妨害の事実

ア、原告の視覚障害の程度と支給されている障害福祉サービス
原告は、例話5年4月現在、身体障碍者手帳等級1級の重度視覚障害者であり、左目は全盲、右目は極度の視野狭窄と視力低下による光を感じるかどうかの視力である。
白杖を使って単独外出はできるものの、それは、自宅から目的地までのルートがあらかじめ頭の中にイメージがあるルートに限られる。
自宅から目的地までの点字ブロックの敷設状況、目印になるようなランドマークなどが頭に入っていないと原告は単独で目的地に到着できない。

原告は、ひとり暮らしの視覚障害者であり。部屋の掃除、調理、身辺整理、誘因物などの代読のため、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、障害者社会生活支援法と言う)にもとづき、月72時間の家事援助サービスの支給を被告から支給されている()令和5年4月現在。

原告は、ひとり暮らしの視覚障害者であり、食料品日用品の買い出し、点字ブロックルート調査ボランティア活動、スポーツジム通いなど定型的な外出に対して、月50時間の同行援護サービスの支給を、被告から支給されている(令和5年4月現在)。

イ、事実の経過

原告は、令和5年4月現在、日本国籍を有する48歳の豊中市民であり、29年以上豊中市に在住し続けている。

2021年7月6日火曜日 原告は令和3年9月から令和4年8月までの同行援護サービスの支給を被告に申請した。

同年8月30日 被告は、原告のスポーツジム通い、点字ブロックルート調査ボランティア、買い物などの外出にかかる同行援護として、(豊中市障害福祉居宅介護サービス等の支給に関するガイドライン)の基準に基づき、令和3年9月から令和4年8月までの1年間、月50時間の同行援護支給量をを支給した。あわせて、非定型的な外出として、コロナワクチン接種にかかる外出のためだけに利用できる同行援護支給量6時間を令和3年9月1日から9月30日までの間支給した。

2022年2月4日 原告は2022年4月17日投開票の豊中市長選挙または豊中市議会議員補欠選挙に立候補するため、例話4年2月4日に豊中市役所で開催された立候補予定者説明会に出席した。その時に、名前、住所、連絡先を豊中市選挙管理委員会事務局職員に代筆してもらい、原告はそれらの情報を豊中市選挙管理委員会に提供した。
その説明会で、豊中市主催の選挙では、推薦人は必要ないこと、出納責任者も立候補者本人が兼ねることができること、つまり、25歳以上の豊中市民であれば、一人だけで立候補できることを知った。
その説明会で、選挙活動の主な活動について、一定の得票率を得れば後日、その主な選挙活動にかかる費用の助成(返金)があることを知った。その助成がでる選挙活動費用とは、選挙運動用自動車にかかる経費、選挙運動用ビラの作成経費、選挙運動用ポスターの作成経費である。(豊中市議会議員及び豊中市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例)
また、その説明会で、選挙活動にかかる費用として、買収にあたらない報酬支払としては3つだけであり、それは、
①選挙運動のために使用する事務員
②車上運転員(いわゆるウグイス嬢)
③手話通訳者 への報酬支払であると知った。(豊中市選挙関係事務執行規程)
豊中市選挙管理委員会事務局職員は、この3つしか、報酬支払は認められませんと説明会で断言した。

その説明会で、原告は挙手をし、マイクを使い口頭で、豊中市選挙管理員会に質問をした。情報障害者であり、移動障害者である全盲視覚障害者の選挙活動には介助者が必要不可欠だと思うが、障害福祉サービスのの同行援護サービスは、全盲視覚障害者の選挙活動のために使えるのか質問をした。豊中市選挙管理員会事務局長は、この場ですぐに回答できない。あらためて回答するとマイクで答えた。あわせて、原告は、紙で配布された説明会資料を視覚障害者でも認識できる電子データでの提供を依頼した。

同年2月6日日曜日、原告は市民の声メールで豊中市選挙管理委員会事務局に、あらためて、同行援護サービスを利用した選挙活動の是非などについて質問をした。
原告の質問 
政治活動、選挙活動を行う際、全盲視覚障害者と健常者との格差を解消する行政サービス、具体的な支援があれば教えてください。
 情報収集のため移動が必要な時、ガイドヘルパーに金銭を払って、選挙活動に従事してもらうことはできますか。
 選挙ポスターのレイアウト確認にかかる専門業者への費用などに対し、補助はあるのでしょうか。"  

同年2月9日水曜日 原告は、豊中市福祉部障害福祉課に、4月17日投開票の豊中市市議会議員補欠選挙活動にかかる外出に必要な同行援護サービス支給時間の追加支給を申請した。選挙活動期間である4月10日から16日までの7日間の合計84時間の追加支給を申請した。未利用分のくりこし利用を認めることでも可とする申請書を提出した。
2021年9月から2022年1月までの5か月間に被告が原告に支給した同行援護利用時間は、合計256時間であり、そのうち原告が利用しなかった同行援護支給時間は、51.5時間だった。2021年9月から2022年4月までの同行援護支給時間は406時間で、そのうち未利用時間は107.5時間であった。また、2021年1月から2022年12月までの被告が原告に支給した同行援護時間は、合計 606時間で、そのうち原告が利用しなかった同行援護時間は、198.5時間であった。

同年2月11日金曜日豊中市選挙管理委員会事務局から同行援護による選挙活動についてのメールで回答があった。ガイドヘルパーは政治活動(選挙活動含む)には利用できないと断言する回答だった。
被告の回答
全盲視覚障害者に対する障害福祉サービスについては、障害福祉課にご確認ください。ガイドヘルパーについては、政治活動には利用できません。単なる移動のための自動車の運転だけであれば、報酬を支払って利用できます。また、ポスターの作成を業とする者との間において、有償契約を締結し届出したものは、その請求に対して費用を支払うことと規定しています。ご不明な点があれば、事前にご相談ください。 "選挙管理委員会事務局
電話:06-6858-2480"

同年2月14日月曜日  原告は、準備ができたとの連絡を受け、豊中市役所第2庁舎豊中市選挙管理員会事務局執務室に出向き、立候補者予定者説明会配布資料の一部おデータ記録ディスクを受け取った。豊中郵便局と豊中警察署作成資料データは受け取れなかった。

同年2月24日木曜日 豊中市選挙管理委員会事務局から原告にメールに添付する形で、豊中郵便局作成の立候補予定者説明会資料データが送られる。あわせて、豊中警察署は配布資料のデータ提供は拒否しているので、そのデータは遅れないとのことだった。

同年2月26日土曜日 原告は、豊中警察署説明会資料データ不提供について、 大阪府障がい福祉室障がい福祉企画課権利擁護グループにメールで相談をする。

同年2月26日土曜日 原告は、豊中市選管にメールで、選挙ポスター掲示板のGPS情報、電子地図データの提供を依頼した。また、公設ポスター掲示場のポスターの角を、視覚障害者がポスターの裏表、上下を単独で確認できるように、すみきりしてよいかもたずねる。

同年3月1日火曜日 大阪府障がい福祉室障がい福祉企画課権利擁護グループから、原告に、豊中警察署は行政機関なので障害者差別解消法に基づく指導はできない。そういった要望があったということを警察署に伝えることはできるがそれでよいかのメールがあった。それでよいと原告はメールで返信した。

同年3月1日火曜日 原告は、メールで、豊中市障害福祉課に、2月9日申請の同行援護追加支給申請の処理状況を問い合わせた。この時点での、原告が被告から支給された同行援護時間は、2021年9月から2022年2月までの6か月間合計306時間で、うち原告が利用しなかった時間は73.5時間以上であった。この未利用分をくりこして選挙活動同行援護として被告は原告に追加支給すべきであった。被告は、原告のこの時点での未利用時間を把握できた。

同年3月3日木曜日 豊中市障害福祉課から、原告に、選挙活動にかかる同行援護追加支給はしないとの決定書が、メールで届く。

同年3月3日木曜日 大阪府障がい福祉室障がい福祉企画課権利擁護グループから、原告に、豊中警察署が説明会資料データの提供について再検討すること、今後、豊中市選挙管理委員会事務局を通じて、豊中警察署が資料提供することの連絡がメールであった。

同年3月7日月曜日 豊中市選挙管理委員会事務局から、原告に、豊中警察署作成の説明会資料データがメールに添付されて届く。

同年3月29日火曜日 豊中市選挙管理委員会事務局から、原告に、公設ポスター掲示板地図データは国土地理院のデータを利用している、一般人はつかえない平面直角座標系(平成十四年国土交通省告示第九号)を利用して作成している。選挙掲示板の場所はGPSデータとしては管理していない、選挙ポスターの角をスミキリすることは問題ないとの内容の回答メールが届く。

同年3月30日水曜日 原告は、豊中市役所第2庁舎に出向き、豊中市選挙管理委員会事務局が同日配布を開始した、公設選挙ポスター掲示場の地図を紙で受領する。あわせて、掲示場住所リストのデータ提供を依頼した。

同年3月31日木曜日 豊中市選挙管理委員会事務局から、原告に、ポスター掲示場住所リストエクセルデータがメールに添付されて届く。住所表示だけだと視覚障害者原告はポスター掲示場まで単独で到着できないことが判明する。

同年4月10日日曜日 選挙立候補締め切り日 原告は、豊中市役所第2庁舎豊中市選挙管理委員会事務室に出向き、選挙管理委員会事務局長に、豊中市選挙管理委員会委員長および豊中市長に対する要望書を趣向し、内容を口頭で伝える。この要望の回答を同年5月31日までに求めた。原告は、選挙に立候補できなかった。

同年4月30日土曜日 原告の令和4年4月の利用時間は、36.5時間であった。被告が原告に支給した令和3年9月から令和4年3月までの同行援護支給時間は合計356時間で、そのうち原告が利用しなかった同行援護支給時間は合計94時間であった。この未利用時間を、被告は原告の選挙活動のために、令和4年4月10日から16日までの7日間分同行援護としてくりこし支給すべきであった。被告は未利用時間を把握していた。被告はくりこし支給することができたし、そうすべきであった。なぜなら、被告は、平成27年9月から5月までの9か月間に特定の視覚障害者に9か月で630時間という同行援護時間を支給し、なおかつくりこし利用もみとめたのであるから。

同年5月31日火曜日 原告は、豊中市選挙管理員会事務局に、選挙活動と同行援護についての4月10日付要望書の回答はまだかと問い合わせのメールをを送る。

同年6月1日水曜日  豊中市選挙管理委員会院長と豊中市長から、原告の4月10日付要望書に対する回答がメールで届く。

豊中市長からの回答(抄)
 障害者総合支援法において、政治的活動にかかる外出については、一律に同行援護サービスの対象外とはされていません。
  個人の経済活動でない部分であれば、利用は可能です。

豊中市選挙管理委員会委員長からの回答
 行政実例では、「日常外出の際、障害福祉サービスとして同行援護を受けている候補者が、選挙運動に際して同行援護を行う補助者に対して、利用料を支払うことは可能かとの問いに対して、当該補助者が選挙運動の為に使用する労務者や選挙運動に従事する者に該当しない限り、公選法上ただちに問題となるものではない。」とされています(選挙制度研究会編 選挙関係実例判例集(普及版)(第17次改訂版)1502頁 ぎょうせい)。
 このことから、当該補助者が選挙運動の為に使用する労務者や選挙運動に従事する者に該当する場合は、公職選挙法上の制限がかかることになります。
 公職選挙法上は、候補者の選挙運動に従事する者と選挙運動のために使用する労務者とに実費弁償及び報酬についての定めが規定されています(公職選挙法第197条の2)。
 選挙運動に従事する者については、公職選挙法第197条の2第2項に限定列挙されている、選挙運動のために使用する事務員、専ら第141条第1項の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上における選挙運動のために使用する者、専ら手話通訳のために使用する者及び専ら第142条の3第1項の規定によるウェブサイト等を利用する方法による選挙運動のために使用する文書図画の頒布又は第143条第1項の規定による選挙運動のために使用する文書図画の掲示のために口述を要約して文書図画に表示することのために使用する者(要約筆記者)に限り、実費弁償のほか一定の報酬を支払うことができるとされており、これらに該当しない場合は、報酬を支払うことはできません。
 一方で、選挙運動のために使用する労務者については、公職選挙法第197条の2第1項及び公職選挙法施行令第129条第1項第2号の規定に基づき一定の報酬を支払うことができることとされています。この「選挙運動のために使用する労務者」とは、「選挙民に対し直接に投票を勧誘する行為又は自らの判断に基づいて積極的に投票を得又は得させるために直接、間接に必要、有利なことをするような行為、すなわち公職選挙法にいう選挙運動を行うことなく、もっぱらそれ以外の労務に従事する者をさすもの」((昭和53年1月26日最高裁判決)とのことで、具体的には、選挙用車両の運転手や選挙用はがきの宛名書き、ポスター掲示場へのポスター貼りなどが該当します。
あなたの問われている「ガイドヘルパー」については、選挙ポスター掲示場や街頭演説場所等に候補者を手引きしていくなかでの具体的態様により、公選法上ただちに問題となるものではないこともありますし、「選挙運動に従事する者」と評価される場合も、また、「選挙運動のために使用する労務者」と評価される場合もあるものと思われます。
「選挙運動に従事する者」と評価される場合は、公職選挙法上、報酬を支払うことはできませんが、「公職選挙法にいう選挙運動を行うことなく、もっぱらそれ以外の労務」におさまる限りは、その「ガイドヘルパー」に対して、一定の範囲内での報酬を支払うことは、公職選挙法上は認められていることになります。
 以上のことから、あなたからの公職選挙法に関する3点の要望についてのご質問については、了知いただきますよう、お願いいたします。

同年7月1日金曜日 原告は豊中市障害福祉課に、2022年9月から2023年8月までの、同行援護支給申請をした。非定型な外出、週単位の外出でも月単位のがいしゅつでもない外出として、2023年4月に行われる豊中市議会議員選挙立候補にかかる選挙活動外出について、2023年4月16日から同年4月22日までの7日間の選挙活動にかかる外出として1日12時間、7日間で84時間の同行援護時間の支給申請をした。くりこし利用をみとめること、月単位ではなく年単位の支給でも可とする申請書を提出した。

同年7月27日水曜日 被告は原告に対して、2022年9月から2023年8月までの期間、毎月50時間の同行援護時間しか支給決定をしなかった。くりこし利用、年単位の支給もしなかった。

2023年4月16日日曜日 原告は豊中市市議会議会選挙に立候補をした。7日間の選挙活動を行った。被告が原告に支給いした同行援護支給時間50時間ではたりず、足りない同行援護時間について、原告は、自腹で、同行援護ガイドヘルパーに料金を支払った。原告が自腹で支払ったガイドヘルパー料金は、28時間分、32200円であった。


(2)視覚障害者選挙活動妨害の違法性と損害について

ア、違法性

以下の理由により、豊中市長の原告に対する選挙活動に必要な同行援護追加不支給決定は違法不当であり、国家賠償法上違法となる。
そこで、原告は民法709条、710条、国家賠償法1条に基づき被った損害の賠償を被告に請求する。

①全盲視覚障害者の参政権、選挙に立候補する権利の侵害
豊中市市議会議員選挙に立候補するには、推薦人や、立候補者以外の出納責任者などの確保は必要ではなく。立候補者は一人で立候補でき、ひとりで選挙活動を行える。
立候補者は、ひとりで、市内487か所の選挙掲示板に自分のポスターを貼り、行動では警察の許可を得ることなく自由に街頭演説を行い、ビラを配布することができる。
しかし、全盲視覚障害者は、ひとりでの選挙活動は不可能である。
ポスターはり、ビラくばり、街頭演説などの選挙活動は、まずその目的の場所に行かねばならないが、全盲視覚障害者はそれができない。
全盲視覚障害者の参政権、被選挙権、立候補の権利を保障するには、障害福祉サービスの同行援護が必要不可欠である。

参政権のひとつである投票権を行使する場合は同行援護が追加支給されるのと同じように、全盲視覚障害者が立候補し選挙活動をするには同行援護が必要である。
なのに、豊中市は全盲視覚障害者の選挙活動にかかる同行援護追加支給を一切認めない。
これは、全盲視覚障害者の参政権を実質的に侵害するもので、憲法違反である。

なお、仮に、全盲視覚障害者立候補者が、同行援護制度によらず、ガイドヘルパーと直接契約を市、その契約に基づき、ポスター掲示上や演説会場まで手引きしてもらい、それに対して報酬を支払うと、公職選挙法違反となる。選挙活動において、全盲視覚障害者立候補者が主体的に確定的に手引きを受けるには同行援護をうけるほかない。そのことを、被告は調査もせず、関係機関へ問い合わせをすることもなく、ただ漫然と、原告の、同行援護追加支給を却下した。

②同行援護は国の制度
同行援護制度は国の制度であり、全国共通の制度である。被告は、国、厚生労働省の政令、通知などに基づき同行援護制度を運用している。
コロナワクチン接種にかかる外出について、厚生労働省は、例話3年3月3日に通知を出した(「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関する合理的配慮の提供について」)
これを受けて、被告は、例話3年6月30日に、原告にたいして、定型基準の月50時間を超えて、非定型基準として、コロナワクチン接種にかかる外出のため、同行援護時間12時間を追加支給した。
このように、同行援護制度は国の制度であり、一定程度被告に支給決定の裁量が認められているとしても、どのような外出を同行援護の対象とすべきかの最終決定権は、国にある。
国が同行援護の対象とはしていない通勤通学等の長期的または継続的な外出は、いかに被告がそれは同行援護の対象であると認定しても、それは同行援護の対象となる外出にはあたらない。
だとするならば、視覚障害者の被選挙権行使にかかる外出という非常にレアなケースについては、被告は、その外出が同行援護の対象となるか、対象とすべき外出かどうか知識がないのであるから、支給決定の判断の前に、問い合わせを国にすべきえあったが、それを一切していない。
この被告の不作為は、憲法25条、31条、障害者社会生活支援法、障碍者基本法、地方自治法、行政手続法などに違反している。
なお、被告は、原告からの令和4年4月10日の要望をうけて、ようやく、厚生労働省に選挙活動、政治活動について、同行援護が利用できるかを問い合わせた。この問い合わせは、令和4年2月、原告が被告に、選挙活動にかかる同行援護84時間の追加支給申請を受理したときにに、すべきであったが、被告はそれをしなかった。これは、あきらかに被告にかされた義務に違反するものである。憲法25条、31条、障害者社会生活支援法、障碍者基本法、地方自治法、行政手続法などに違反する不作為である。

③選挙権の行使と被選挙権の行使
視覚障碍者が議員や首長の選挙に投票をするための外出、選挙権行使のための外出は、同行援護制度の対象とすべき外出であることは明らかであり、被告もそのような取り扱いをしている。
なぜなら、郵便投票が厳しく制限され、投票場所での点字投票が原則とされている現在において、視覚障害者には、自宅から投票場所まで出向き、投票することが公職選挙法などによって求められているからである。

民主政においては、治者と被治者の自同性が必要不可欠であり、選挙権と被選挙権が同様に、国民に保障されることが必要不可欠であることは自明の理である。
とするならば、選挙権の行使だけでなく、視覚障害者の被選挙権の行使にかかる外出にも、視覚障害者に同行援護を選挙権行使と同様に保障すべきである。

では、被選挙権行使にかかる外出とはどのようなものであろうか。
被告は、公職選挙者立候補者に、ポスターにかかる費用を助成している。また演説会場の借り上げについても補助を出している。これは、ほとんどの立候補者について、選挙活動には、これらの費用がかかるためである。
だが、視覚障害者立候補者は、これらの助成を受けたとしても、視覚障害者立候補者がひとりで、ポスターを掲示したり、演説会場に行くことは不可能である。
視覚障害者にもこれらの助成金の効果を平等に及ぼすためには、ポスター掲示にかかる外出、演説にかかる外出を、視覚障害者立候補者に保障すべきである。
現に、令和4年5月に、豊中市選挙管理委員会、豊中市長は、総務省および厚生労働省に問い合わせをし、同行援護は政治活動にも利用できること、同行援護を利用して視覚障害者立候補者が選挙活動にかかる外出をすることは公職選挙法で禁止されてないことを確認している。視覚障害者立候補者が選挙活動に同行援護を利用することは必要不可欠であり、そしてそれは障害福祉サービスの制度上も、公職選挙法上も、許容されている。

被告は、原告から被選挙権行使、選挙活動にかかる外出のため、同行援護の追加支給を求められたが、それを拒んだ。これは、障害者社会生活支援法、障害者差別解消法、憲法14条実質的平等、憲法17条に違反する。行為である。

なお、被告は、月50時間同行援護を支給していたのだから、その時間内で選挙活動をすべきだと主張し、かつ、同行援護を使わずボランティアや家族に選挙活動にかかる外出の解除をしてもらうべきだと主張しているが、この主張は、失当である。なぜなら、豊中市の同行援護提携基準は月50時間であるが、同じ規模の市である東大阪市、枚方市は、同行援護の提携基準は月80時間であり、柏市は月100時間である。豊中市から選挙に立候補しようとしたら、選挙活動にかかる外出としては、50時間をこえては選挙活動にかかる外出には同行援護をつかえないが、東大阪市から立候補すれば50時間をこえてさらに30時間を選挙活動にかかる外出に同行援護を利用できる。これは、憲法14条、15条違反であり、公職選挙法違反である。

④障害者社会生活支援法の義務違反
被告は、被選挙権行使たる選挙活動の重要性を踏まえ、原告が、ひとりで被選挙権行使たる選挙活動を単独で遂行できるか、調査すべきであったが、その調査もせず、単に、被告自らが定めた要領であるガイドラインの定型的な外出にかかる同行援護支給量の付き50時間を超えるという理由のみで、原告の選挙活動にかかる外出の同行援護84時間を不支給決定とした。
これは、障害者社会生活支援法違反でえあり、違法である。
障害者社会生活支援法が規定する同行援護制度の本来の目的は、視覚障害者の余暇やレジャーの外出に対する外出支援ではなく、視覚障害者の社会生活において必要不可欠な外出を保障するものである。その社会生活において必要不可欠な外出に、選挙権の行使、被選挙権の行使にかかる外出が含まれていることに争いはない。
よって、原告の被選挙権行使にかかる外出に対して、代替措置を講じることもなく、代替手段の存否を調査することもなく、同行援護が選挙活動に利用できるかを厚生労働省などに問い合わせをすることなく、同行援護を一切追加支給しなかった、被告の行為は障害者社会生活支援法、障碍者基本法、障害者差別解消法、憲法に違反することは明らかである。

⑤特定の視覚障害者に対する非定型基準による追加支給と、くりこし利用の容認
被告は、2015年9月から2016年5月の9か月間分として、特定の視覚障害者に、視覚障害者遠足(野外歩行訓練)などのために、合計630時間の支給決定を行っている。提携基準にもとづく450時間に、180時間を上乗せして追加支給している。そして、未利用時間の繰越利用もみとめている。
これは、月単位で支給決定すべきと規定されている障碍者総合支援法関連法令規則に反している決定である。

この月50時間を超える月20時間から30時間の追加支給決定は、被告が自ら定めたと主張している内規、非定型基準の内規のひとつ「豊中市の福祉向上の活動に参加するなど公の役務に当たっている場合」の外出として、決定したものであると被告は主張している。
一方で、被告は、原告に対しては、選挙活動という非定型的な外出について、そのような数か月間にわたっての支給決定をせず、未利用分のくりこし利用を認めず、また、非定型基準による追加決定もしない点において、原告を不平等に取り扱うものであり、地方自治法、憲法に違反する。

被告は、原告にたいして、令和4年9月から令和5年3月の7か月間分として、同行援護を合計350時間を支給し、その支給時間のうち未利用時間が100時間以上あるのだから、その未利用分のくりこし利用として、令和5年4月に選挙活動にかかる外出のため84時間の同行援護時間を追加支給すべきであったし。現に、被告は、特定の視覚障害者にたいしては、そのような未利用時間のくりこし利用お認めているのであるから、それは可能であった。

⑥月50時間のガイドラインの決裁手続き
被告は、同行援護の支給量を月50時間と制限するガイドライン(豊中市障害福祉居宅介護サービス等の支給に関するガイドライン)を制定しているが(以下、ガイドラインという)、このガイドラインは市民にサービスを給付し、市民の権利を付与するものであり、このような重要な基準は、市長決裁が必要であるところ(豊中市事務決裁にかかる条例規則参照)、被告はその決裁を受けていない。
よって、このガイドラインは制定過程に瑕疵があり、違法無効である。
そのガイドラインにより、不支給決定とした、被告の行為は、違法な決定である。

また、このガイドラインはいわゆる定型基準であるが、被告は、この基準とは別に、非提携基準として、いかのような内規を定めているが、この内規は、適正な手続きによって制定されたものではなく、内部決裁もとられておらず、違法不当な内規である。この内規にもとづく、非定型的な外出にあたらないから、同行援護の追加支給をしないというのはまったく不合理である。
被告の非提携基準内規
「非定型の外出のための支給については、生命の危機にかかわることや生活が成り立たなくなるなどの生活を保つために必要な場合、または、市の福祉向上の活動に参加するなど公の役務に当たっている場合等においては、個別の事情を勘案して考慮をすることもあるものである。」(大阪地裁平成28年行ウ281号事件手続きにおける被告豊中市の主張)

⑦提携基準を超える同行援護の時間申請があった場合の処理

ガイドラインによれば、提携基準をこえる時間数の同行援護支給申請があった場合、豊中市は、第三者機関である介護給付費等支給審査会に意見を聞かなければならないが、被告は、それをせずに、原告に対して2022年7月27日に同行援護の提携基準である月50時間の支給決定をした。これは、手続き違反である。

⑧被告の障害者差別意識
被告が、原告から選挙活動にかかる同行援護の追加支給申請を受けても、関係機関に問い合わせをすることなく、漫然と、提携基準の月50時間を超える部分について、追加支給しなかったのはなぜか考えるに、それは被告の持っている障害者に対する偏見、差別意識によるものであると思われる。
被告は、全盲視覚障害者が選挙に立候補して当選できるはずがない、その意思もその能力も障害者にはないと思い込んでいるようである。
原告がそう思うには、理由があって、被告は、過去の原告との裁判手続きにおいて(大阪地裁平成28年行ウ281号事件)、以下のような主張を、公の法廷でおこなっている。
原告の同行援護のくりこし利用、年単位での支給を認めるべきだという主張の反論として被告は以下のとおり主張した。
「年間単位での支給になると、年単位での計画を立て申請するよう要請することとなるが、この申請はサービス利用者に対し多大な負担を強いるものである。
例えば、給料を月給で支給されていた人が、年給で支払われたとしたら、年単位で生活に必要な経費を算出し、生活の状況変化に対応しながら、計画的に使用することが可能か。月給であれば、収入と支出のバランスを考え、お金を使い、月末の残額によって翌月の収支を工夫したり、見直したりすることは可能である。しかし年給になると、スパンが長くなり、計画的に修正を加えながら使用していったとしても、最終月にはお金が尽きていることも考えられる。そうなったときには生活が困難になり、深刻な事態になっても後の祭りとなる。健常者であってもそれだけ難しいことを、障害のある方が、年単位の計画をたて、使用していくことができるだろうか。サービス利用の場合も同様であり、利用者のサービス利用計画を年間計画で提出させ、当該計画を月単位での修正をせず実行することは実現可能性からも極めて不適切なものである。」
これは、あきらかに障害者をひとくくりにし、障害者はこういったものだとレッテル張りをしている。あきらかに、これは障碍者差別思想である。健常者でも難しいいのならば、障害者はより一層難しいとは障害者差別そのものである。このことを、被告はまったく反省もせず、謝罪もしていない。
こういった思想の持主である被告が、障害者が選挙に立候補するはずがないできるはずがない、選挙活動にかかる同行援護追加支給など必要ないと思うのも当然である。

イ、損害
原告が選挙に立候補するには、選挙活動中の外出が同行援護によって保障される必要がある。
たしかに、立候補するだけなら、視覚障害者でも一人でできる。
しかし、立候補と一体の活動である選挙活動を行うには視覚障害者には同行援護の追加支給が必要なことはあきらかであり、そのことを被告は認識していた、あるいはするべきであった。
それなのに、被告は、原告のニーズ調査、選挙活動に同行援護を利用できるかなどの具体的調査をせず、漫然と原告の求める同行援護追加支給を却下した。
この被告の同行援護追加不支給決定により、原告は、32200円を自腹で同行援護ガイドヘルパーに支払い、選挙活動をおこなった。このうち、すくなくとも、28980円は、原告は支払う必要がない支出である。(同行援護サービスは利用者1割負担の原則)。その28980円の損害を被告に賠償請求するものである。

あわせて、被告による原告の差別取り扱いにより、原告は精神的苦痛をうけたので、その精神的損害を慰謝料として、請求する。その額は271020円である。

第3 障碍者差別解消法及び裁判所における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に基づく合理的配慮の意思表明

原告は全盲の中途視覚障害者であるので、以下の合理的配慮を求める。
裁判所敷地内から法廷内までの手引き
法廷内における情報提供
法廷内での被告提出の証拠等の説明
墨字文書に加えて電子データ(テキストデータなど視覚障害者が容易に情報機器を使用して認識できるもの)と提供及び被告への提供勧奨
訴訟手続きにおける口頭主義の徹底、書面主義の抑制
 電話会議システムを利用した訴訟手続き 
被告提出の証拠等に蛍光ペンなどでマーキングしている場合、その部分の箇条書き文書の提出
など

第4 訴訟指揮について
本件訴訟は全盲視覚障害者による本人訴訟であるので、その点を大阪地方裁判所においては配慮願いたい。
前回の原告と被告の大阪地方裁判所における争訟の中で、
被告はその訴訟とは無関係の事実を延々と主張しなおかつ原告の個人情報を暴露した。
今回の争訟においても、被告は同じようなことをしてくると予想されるので、大阪地方裁判所においては、適切な訴訟指揮を行使されたい。
また、前回の裁判手続きの中で、大阪地方裁判所は、原告に対して本人尋問において証言拒絶兼は認められないと断言したが、
争訟と無関係な個人情報などの証言拒絶は当然できるということを今回の裁判手続きにおいては、あらかじめ原告に告知されたい。

第5 求釈明

①被告は、原告の2022年9月から2023年8月までの月ごとの同行援護支給時間と、実際に同行援護を利用した実績時間について明らかにされたい。

②被告は、2022年1月から2023年8月までの間に、原告と、選挙活動にかかる同行援護支給決定について、原告としたやりとりの記録すべておよび原告の選挙活動にかかる外出について同行援護を追加支給すべきかの判断材料(支給申請書、セルフプラン、支給決定書、原告とのメールなどでのやりとり、そのメモ、特定の視覚障害者に2015年に630時間を支給決定した決定書の写し、厚生労働省や大阪府に選挙活動に同行援護が利用できるかを問い合わせたメモなど)を明らかにされたい。

③被告は、豊中市の同行援護の非定型基準にかかる起案決裁文書を提出されたい。

④被告は、豊中市と同規模の市が同行援護の支給定型基準として、月に何時間の基準を定めているか、そのことが書かれた資料を提出されたい。(豊中市50時間、大阪市51時間、東大阪市80時間、枚方市80時間、西宮市60時間、柏市100時間など)

⑤被告は、豊中市が、2011年10月以降、同行援護の提携基準を超えて、支給決定した視覚障害者の外出について、あきらかにされたい。(コロナワクチンにかかる外出、ピクニックにかかる外出、引っ越しにかかる外出、震災対応にかかる外出など)

以上

訴状はここまで



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