木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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フィッツの法則

2009年02月17日 | 人間工学と認知科学(コツツボ)
<工作機械の操作盤>


◆フィッツの法則
288:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第88発 デザインワーク


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フィッツの法則

 1950年代の人間工学の成果の中で今でも、使われているものがあります。現在では主にコンピュータのGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)で使われるのですが、もともとは機器の使いやすさに係る法則です。

 ヒックの法則と同じく、50年代に発表され、今でもGUIで使われている法則があります。

 フィッツの法則は「目標にたどり着くまでの時間は、目標の大きさと目標までの距離によって決まる」というもので、1954年にポール・M・フィッツが「動作の振幅を制御する人間モーターシステムの情報容量」で発表しています。

 この法則もヒックの法則と同じく、航空機の操縦など常に操作の正確さとスピードが問われる環境において成り立つ法則で、操作系のデザインにおいて大変参考になるものです。

 この法則を操作系のデザインにあてはめると、緊急ボタンは、手元から離れた場所に置くなら大きいほうがいいということになります。

 ヒックの法則とあわせて考えれば、「緊急停止ボタンは、普段操作する範囲から少しはなれた場所に、できるだけ目立つように大きめのボタン一つだけにする」と誤操作がなくなります。

 緊急停止ボタンだけではなく、ボタン類の使用頻度に応じて位置と大きさを検討すると使いやすい操作部を設計できます。

 商品が使いにくいと感じたときは、これらの法則を思い出して再検討してみるといいでしょう。商品が使いにくいと、人は自分のミスや無知のせいにしてしまいがちですが、もしかすると、その商品はこれらの基本的な法則すら満たしていない可能性もあります。

 人は商品が使いにくいと、自分が悪いのかと思いつつ、使いにくい商品をいつの間にか嫌いになってしまいます。そのようなことをユーザーに感じさせないためにも、これらの基本的な法則は、商品の操作部を設計する際に充分注意しなければなりません。

 上の写真は、CNC旋盤の操作部ですが、液晶画面左下の大きなボタンが緊急停止ボタンです。

 通常操作の左下のボタン類と切り離され、明らかに大きなボタンになっています。普段間違えて操作することもなく、緊急時には間違いなく押すことができます。


 フィッツの法則の方程式

 MT= a + b log2 (d/s+1)


 MT:目標にたどり着くまでの時間
 a:0.230秒
 b:0.166秒
 d:目標と目標までの距離(インチ)
 s:目標の大きさ(インチ)

 dを6インチ、sを1インチとすると

 MT=0.23+0.166(log2(6/1+1)=0.7(秒) となります。


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