<マジックナンバーを意識した製品>
◆製品とマジックナンバー (マジックナンバー③)
291:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第91発 デザインワーク
こんにちは!
「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。
木全の自己紹介
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新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」(第3版)好評発売中
「売れる商品デザインの法則」(第2版)好評発売中
【御礼】アマゾンで1・2フィニッシュ更新中!254日目
記事の目次
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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■マジックナンバー その3
昨年、モノマガジンを発行しているワールドフォトプレスのムック「デザインがわかる6号」に書いた記事を、数回に別けて転載します。
一回目は「マジックナンバー7±2」、2回目は「マジックナンバーとチャンク」です。
ムック「デザインがわかる」誌上では、たくさんの写真で実例を示しながら説明しています。残念ながら、このブログではそれは難しいです。
ご興味がおありでしたら、ムック「デザインがわかる6号」をご購入ください。
ムックにあわせて文体が普段と違います。その点、ご了承ください。今回は3回目です。
■製品とマジックナンバー
では、具体的にマジックナンバーを検証してみよう。
筆者がもっとも身近にマジックナンバーの有難さを感じるのは、買物の時だ。
一万円札を出し、千円札で九千円のお釣をもらうとき、千円札3枚を1チャンクとして、それを三つ認識すると、数えなくても見た瞬間に9枚あることが確認できる。そして1枚ずつ数えるよりも間違いがない。是非、試してみて欲しい。
街中の交通標識も、高速で移動する運転者が見るとき、一つの支柱に標識が一つならば、確実に対応できるが、一つの支柱に五つの標識が並んでいたらたぶんすべてには対応できない。標識の場合は、補助標識を含め三つが限度だろう。
WEBデザインでよく言われるのが、階層ごとのメニューの項目数を、マジックナンバー以内に収めると使いやすくなるというものだ。YAHOO!のトップページをみると、ヘッダーのメニューボタンは左右に三個ずつだし、左のサービスメニューも大項目は「YAHOOサービス」「お気に入り」「ピックアップ」の三つになっている。
ただし、サイトメニューをマジックナンバー以内に収めると使いやすくなっても、焼鳥屋のメニューが五種類だけだったり、商品が四個だけの通販カタログは魅力がない。じっくり検討したり、一覧性が求められるものには、マジックナンバーは適用できない。ただ、じっくり検討してもわからない難解な料理名が並ぶ高級フランス料理店のランチメニューは三つぐらいが妥当かもしれない。
製品のデザインにおいても、マジックナンバーは有効だ。操作部のボタンレイアウトなどで、ボタンを等間隔に並べるよりも、機能別のかたまり(チャンク)にしてレイアウトすると操作性が向上する。
パソコンのキーボードをみると、文字入力キー以外は、6個以下のチャンクになっている。テンキー部も4×5個のブロックだし、十二個のファンクションキーも4個ずつのチャンクに分割されている。
文字入力キー部(QWERTYキーボード)はさすがに分割できないため、せめてそれ以外のキーはマジックナンバー以内のチャンクにしてわかりやすくしようという配慮だろう。そういう意味では、タイプミスがなくならないのは、QWERTYキーボードがマジックナンバーで分割されていないからだとも言える。タイプミスはとても人間的なことなのだ。
パソコンの世界で言うと、初めてマウスが実装されたアップルのマッキントッシュのマウスはワンボタンだった。少ないボタンのほうが、操作性が高いという思想に基づいた設計だったが、マジックナンバーが示しているように人間は4個程度のボタンならストレスなく同時に操作することができるため、3ボタンのほうが使いやすく、ワンボタンマウスは淘汰されてしまった。
ゲーム機のコントローラの場合も、○×△□またはABXYなどの四つのキーと四つのカーソルキーでストレスなく複雑な操作をすることができる。
最近の家電製品の操作部は、うまくグルーピングされ、それぞれのグループのボタンの数はマジックナンバー以内になっている。電話機では、3×4のなかにかに(テンキー)と(*)と(#)が並び、計算機なら、(テンキー)と(四則キー)と(小数点)と(等号)が4×4の中に収まっている。テレビのマルチリモコンでも、十二チャンネルボタンが3×4に収まり、他のキーも機能別にマジックナンバー以内で分類されている。さすがに見ただけ全ての使い方がわかるわけではないが、一度取扱説明書を読めば、使いこなせるくらいの使いやすさを保障している。
その場その瞬間での臨機応変な対応が求められる場面で、マジックナンバーは有効に機能するのだ。
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■マジックナンバー その3
昨年、モノマガジンを発行しているワールドフォトプレスのムック「デザインがわかる6号」に書いた記事を、数回に別けて転載します。
一回目は「マジックナンバー7±2」、2回目は「マジックナンバーとチャンク」です。
ムック「デザインがわかる」誌上では、たくさんの写真で実例を示しながら説明しています。残念ながら、このブログではそれは難しいです。
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ムックにあわせて文体が普段と違います。その点、ご了承ください。今回は3回目です。
■製品とマジックナンバー
では、具体的にマジックナンバーを検証してみよう。
筆者がもっとも身近にマジックナンバーの有難さを感じるのは、買物の時だ。
一万円札を出し、千円札で九千円のお釣をもらうとき、千円札3枚を1チャンクとして、それを三つ認識すると、数えなくても見た瞬間に9枚あることが確認できる。そして1枚ずつ数えるよりも間違いがない。是非、試してみて欲しい。
街中の交通標識も、高速で移動する運転者が見るとき、一つの支柱に標識が一つならば、確実に対応できるが、一つの支柱に五つの標識が並んでいたらたぶんすべてには対応できない。標識の場合は、補助標識を含め三つが限度だろう。
WEBデザインでよく言われるのが、階層ごとのメニューの項目数を、マジックナンバー以内に収めると使いやすくなるというものだ。YAHOO!のトップページをみると、ヘッダーのメニューボタンは左右に三個ずつだし、左のサービスメニューも大項目は「YAHOOサービス」「お気に入り」「ピックアップ」の三つになっている。
ただし、サイトメニューをマジックナンバー以内に収めると使いやすくなっても、焼鳥屋のメニューが五種類だけだったり、商品が四個だけの通販カタログは魅力がない。じっくり検討したり、一覧性が求められるものには、マジックナンバーは適用できない。ただ、じっくり検討してもわからない難解な料理名が並ぶ高級フランス料理店のランチメニューは三つぐらいが妥当かもしれない。
製品のデザインにおいても、マジックナンバーは有効だ。操作部のボタンレイアウトなどで、ボタンを等間隔に並べるよりも、機能別のかたまり(チャンク)にしてレイアウトすると操作性が向上する。
パソコンのキーボードをみると、文字入力キー以外は、6個以下のチャンクになっている。テンキー部も4×5個のブロックだし、十二個のファンクションキーも4個ずつのチャンクに分割されている。
文字入力キー部(QWERTYキーボード)はさすがに分割できないため、せめてそれ以外のキーはマジックナンバー以内のチャンクにしてわかりやすくしようという配慮だろう。そういう意味では、タイプミスがなくならないのは、QWERTYキーボードがマジックナンバーで分割されていないからだとも言える。タイプミスはとても人間的なことなのだ。
パソコンの世界で言うと、初めてマウスが実装されたアップルのマッキントッシュのマウスはワンボタンだった。少ないボタンのほうが、操作性が高いという思想に基づいた設計だったが、マジックナンバーが示しているように人間は4個程度のボタンならストレスなく同時に操作することができるため、3ボタンのほうが使いやすく、ワンボタンマウスは淘汰されてしまった。
ゲーム機のコントローラの場合も、○×△□またはABXYなどの四つのキーと四つのカーソルキーでストレスなく複雑な操作をすることができる。
最近の家電製品の操作部は、うまくグルーピングされ、それぞれのグループのボタンの数はマジックナンバー以内になっている。電話機では、3×4のなかにかに(テンキー)と(*)と(#)が並び、計算機なら、(テンキー)と(四則キー)と(小数点)と(等号)が4×4の中に収まっている。テレビのマルチリモコンでも、十二チャンネルボタンが3×4に収まり、他のキーも機能別にマジックナンバー以内で分類されている。さすがに見ただけ全ての使い方がわかるわけではないが、一度取扱説明書を読めば、使いこなせるくらいの使いやすさを保障している。
その場その瞬間での臨機応変な対応が求められる場面で、マジックナンバーは有効に機能するのだ。
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