木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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ピクトグラムの基準

2009年06月02日 | 人間工学と認知科学(コツツボ)
<道路標識>


◆ピクトグラムの基準 (ピクトグラム②)
293:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第93発 デザインワーク


  こんにちは!
 デザインコンサルタントの木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。

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ピクトグラム その2

 昨年、モノマガジンを発行しているワールドフォトプレスのムック「デザインがわかる8号」に書いた記事を、数回に別けて転載します。

 ムック「デザインがわかる」誌上では、たくさんの写真で実例を示しながら説明しています。残念ながら、このブログではそれは難しいです。

 ご興味がおありでしたら、ムック「デザインがわかる8号」をご購入ください。 

 ムックにあわせて文体が普段と違います。その点、ご了承ください。


道路標識の思想

 本来、数字や文字を使うとピクトグラムとは言いにくいのだが、道路標識にはピクトグラムの要素が巧みに取り入れられている。

 標識に使われている形は丸・三角・四角・菱形の四種類、色は白・赤・青・黄・緑の五色だけだ。形と色だけで、標識はいろいろなことを伝えてくれる。

 標識は「赤×三角」の組合せが最も目立ち、絶対禁止のメッセージを発している。一〇〇以上ある標識の中で、この組合せは「止まれ・徐行」の二つしかない。標識の体系は、この二つを最重要項目にしている。

 次に目立つ組合せは「赤×丸」だ。進入禁止・駐車禁止・速度制限など強い規制標識に使われる。「赤×四角」も「歩行者通行止め・歩行者横断禁止」の二つしかない。標識は運転者への指示が中心で、歩行者に対しては「赤×四角」しか使えないが、車に対する「止まれ」と同じくらい強い禁止のメッセージだ。

 青い指示標識の中で最も目立つ「青×三角」の組合せも「横断歩道・自転車横断帯」の二つしかない。指示標識の中で一番重要なのが横断歩道だと伝えている。

 また、落石注意・スリップ注意などの警戒標識の菱形は丸よりも目立つ形で、「菱形×黄色」の組合せは文字通り「警戒」を表している。

 普段何気なく目にしているが、標識は少ない要素で見事に体系化されている。車は「徐行」して「止まれ」、人は「横断歩道」以外「渡るな」、これが交通安全の基本だと道路標識は色と形だけでその思想まで伝えている。

 「止まれ・徐行」という文字や速度制限の数字などを使ってはいるが、わかりやすい形と色だけを使い、標識の重要度を確実に運転者と歩行者に伝えている道路標識は優れたピクトグラムだと言っていいかもしれない。


ピクトグラムの基準

 東京オリンピックを契機に、日本に初めて導入されたピクトグラムだが、その源流はヨーロッパにある。民族や言葉が違う国が集まっているヨーロッパでは大量生産した製品の操作部に全ての言語を記載することが物理的に不可能だったため、言語を使わず操作内容を直感的に伝達することを目的にピクトグラムは生まれた。

 従って、ピクトグラムには次のような基準がある。


1.民族文化言語の壁を越えて、だれでも直感的にわかる絵や記号であること
2.サイズの大小を問わずシンプルで視認性がいいこと
3.デザインに一貫性・統一感があること
4.誰が見ても不愉快な思いや誤解を生じないこと


 現在では、自動車のインパネやOA機器、AV機器の操作部やリモコンなどでピクトグラムは多用されている。ピクトグラムのお陰で、操作部の視認性が向上し、統一感が生まれ、誤操作も減っている。

 アイポッドやウォークマンのすっきりしたデザインも、ピクトグラムに負うところが大きく、製品デザインの大切な要素になっている。


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