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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

モーパッサン短編集 Ⅲ 青柳瑞穂訳 (新潮文庫)

2023-08-13 05:25:26 | 読書メモ

釣りが大好き(?)モーパッサンの短編集。

新潮文庫からの短編集は3巻に渡るのですが、Ⅲは反戦小説と幻想小説を集めたものです。

「二人の友」から「従卒」までは戦争の話です。モーパッサンは20歳の学生時代、普仏戦争に召集された経験を持ちます。前半の短編は、反戦思想が強くでている上に、ストレートな内容で戦争心理の生々しさを感じるものが多いです。

「恐怖」から「狼」までは幻想小説と呼ぶのがしっくりくるでしょうか。
モーパッサンは41歳で発狂し、41歳で没しましたが、「オルラ」のように精神的な不安を表している短編もあります。

最後の2編、「月光」と「パリ人の日曜日」は、戦争ものでも幻想ものでもなく、恋愛や日常を喜劇的に書いた作品で。

モーパッサンは、30歳からおよそ10年間のみの短い活動期間で約360編の中短編小説のほか、長編、戯曲、詩、紀行など合わせて29冊の作品を生んだ多作の作家です。本書はそれらのごく一部ですが、モーパッサンのバイタリティを十分に感じる本でした。

冒頭に、釣りが大好きモーパッサンと書きましたが、本書では、「二人の友」、「パリ人の日曜日」に釣りの場面が登場します。また、本書には掲載されていませんが、「あな」も釣りをシーンがでてくる小説です。日本とフランスでは釣りも相当違うので、どんな釣りをしていたのかは詳しくわからないのですが、釣り好きなことは確かな気がします。

文庫本は1971年。作品は1881年から1888年に書かれたものが多いです。王政と帝政を繰り返したフランスが第三共和制になって安定しつつある時期ですね。
日本は明治時代でプロイセン憲法を模倣し大日本帝国憲法が制定されつつある時期。坪内逍遥が小説神髄を記したのが1884年、尾崎紅葉の金色夜叉が1889年です。

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p.s. このところ飲みが多いので気をつけよう。


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