
ここ最近、どういうわけか、「雨月物語(上田秋成)」「中世(三島由紀夫)」「一月物語(平野啓一郎)」と、幻想的な小説に惹かれるようになりました。文章表現の美しさ(雨月物語は現代語訳^^;)や、ストーリーの奇抜さ、非日常への逃避、がその魅力でしょうか。
幻想小説の大御所、泉鏡花はいままで読んだことがありませんでした。
夏の夜の読書にはぴったりじゃなかろうか、とまず選んだのは『高野聖』。
泉鏡花の作品は、すでに著作権が切れているので、青空文庫で読むことができます。
わたしは、スマホにビューアをインストールして、寝転がりながら読んでいます。
高野聖の図書カードはこちら。
独特の文体です。
一回めは、不思議な物語に引き込まれるように一気に読み終わりました。読後には多くの疑問が残ります。
二回めは、ストーリーの結末について、途中で伏線になるところを探しつつ、後戻りもしながら、時間をかけて読み進めます。ああそっか、ああきっと、ああなるほど、と心の靄が晴れる箇所がしばしば、面白い。
ストーリーの幻想性もさることながら、情景描写がまた独特の美しさと独特のテンポを持っています。僧侶の寝物語で語られる不思議の世界、蛇の原から蛭の森にかけての世紀末的な描写、山中の女性の不可解な所作、など。
記憶力があって感受性も今より高かった若い時に読んでおきたかった。
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もっと泉鏡花の作品を読んでみよう、と、続けて『外科室』、『夜行巡査』を。
こちらは、強烈なインパクトを感じる短編。観念小説の典型でしょうか。
さらに、『春昼』『春昼後刻』を。
これまた幻想的。まるで緩やかな川の流れに突然として滝が現れるようなエンディング。泉鏡花ワールドをかいま見た気がします。鮮やかな風景描写、テンポよく進む文体ながら、和歌の解釈、○△□など難解な部分も多く、理解できていないところも多々あると思われ。
この作家については、時間をおいてまた読んでみるつもりです。
余談ですが、泉鏡花にはピンク・フロイドがよく似合う。
『春昼後刻』のBGMにWish you were hereを流しながらの読むのは格別。
p.s. 酢飯は塩分かなり高い、注意すべき食材。
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