
こないだカラマーゾフの兄弟を読んで、ロシア文学への興味が膨らみ、トルストイの戦争と平和も読んでみました。
カラマーゾフの兄弟が読みやすかったので、今回も光文社古典新訳文庫。
全6冊と、かなり長いです。これまで読んだ小説の中で最長不倒距離かも?
これは第一巻の内容紹介。
この本はジャンルが分けにくいですが、最後にトルストイ自身が書いているのは、長編小説でもないし、叙事詩でもないし、歴史記録でもない、本書の形式により作者が表現しようと思い実際に表現したもの(=散文芸術作品の制約上の形式を軽視したもの)ということです。
わたしのイメージとしては、歴史小説と恋愛小説と歴史評論(歴史学批判)がミックスされた長編小説、という感じでしょうか、、、時代はフランスとロシア、ナポレオンとクトゥーゾフの戦いがあった1805年から1812年(エピローグを含めると1820年)までの間です。
ロシアの貴族三家(ベズーホフ家、ロストフ家、ボルコンスキー家)の面々を中心に、戦争と恋愛を巡るさまざまな思いと事象が描かれ、ところどころに作者の戦争観、歴史観が挿入されます。
最初は登場人物の名前を覚えるのが難儀なのはお約束でしたが、キャラクタが頭に入ってくれば全体的に読みやすい文体ということもあり、カラマーゾフの兄弟よりもすんなり読めました。ただし6巻のエピローグ第2編は難解な内容で、この章だけでけっこう足踏みしてました。
気になったのは、登場人物がいずれも惚れっぽいこと、アンドレイ、ニコライ、ピエールの主役級からデニーソフまで、ほぼ一瞬で恋に落ちるし、ヒロインのナターシャからマリアまでもが一目惚れを演じます。で、醒めるのも早いというか、あっさりとしてる。これはロシア人気質なのでしょうか?
7月に第一巻を読み始めて、9月の半ばまでの約3か月、これまでほとんど知識の無かった三帝開戦や祖国戦争など、Wikipedia はじめネット上の資料をあれやこれやとあたりながら読み進めるのは楽しい時間でした。小説を読むことを通して、深淵なる世界史(ヨーロッパ史)の一部に触れられたことは収穫です。
こちら第一巻の書誌事項。
こんな感じで、2年に渡って刊行されています。
あ、そうそう。系図しおりはめちゃくちゃ役に立ちました。
p.s. 昼にがっつりで、夜は軽く。