DayDreamNote by星玉

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からっぽのわたしたちは

2017年10月25日 | 詩etc.帳
そこに何もないことに
肩を落とし身を寄せて

寄せるだけでは
また何もないことに気づき

わたしたちはからだを離した

ひとりになったこころは
ひとりぶんとひとりぶんと

ひとりぶんとひとりぶんの
空洞をかかえ

街をさがし山をさがし川をさがし
学校をさがし図書館をさがし博物館をさがし

大通りをさがし裏通りをさがし路地をさがし
酒場をさがし寺院をさがし墓場をさがし

森をさがし空をさがし砂浜をさがし
きのうをさがし夜をさがし夢をさがし

それでとうとうさがし疲れて
わたしたちは死んでしまった

ひとりぶんのからっぽを合わせても
重力も浮力も脚力も腕力も足りず

たくさんのからっぽをかかえていることなど
たくさんさがしているうちにすっかりと忘れてしまえと

そんな場面に何度死んだら
出会えるのだろうかと


そして

さがし忘れていた風が
何もない何かを運んでくる音を聞きたくて

くりかえしまたくりかえし
またさがしはじめる

落ち穂の風が
からっぽのわたしたちを巻き上げるまで








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