中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

「歴史的快挙」の理由

2009-09-17 08:43:14 | Weblog
 阪神の「巨人戦5カード連続勝ち越し」という“歴史的快挙”については、ただ感心するしかない。去年の連敗地獄をつぶさに見てきて実力差を思い知らされているだけに、何か信じられないものを見ているような気さえする。過去4カードは、いずれも同じパターンでの2勝1敗で、3連勝は一度もなかった。一度でもあれば「強い!」と思っただろうが、あまりに地味なので、巨人が手を抜いているのでは?なんて勘ぐりもしてしまうほど。ただ、今回の連勝は、優勝目前の巨人を敵地で倒したものだから、より一層価値がある。

 普通、あの展開になれば大敗となる。先制してもすぐに逆転され、突き放され、追いついてもまた勝ち越される。その時点で「ああダメか…」となるのが試合の流れだが、きのうの阪神は実に粘り強かった。浅井の同点三塁打、あれが実に効いた。流れを引き寄せておいて、鳥谷が2発目となる勝ち越し弾。打った瞬間は「これは入らんだろう」と思った打球が、強い意志に押されたかのようにスタンドに飛び込んでいった。「東京ドームアーチ」の典型のような一発だったが、Gの心臓を一突きするに十分な効果を持っていた。

 なぜ巨人戦に強いのか?その答えの1つは、巨人のローテーションにあると思う。今回までの4カード、巨人は内海、グライシンガー、高橋尚の3人を先発させてきた。高橋尚は3度だったが、この3人で常に勝ったのがグライシンガーで、他はすべて負けてきた。内海が能見と当たって負け、グラが阪神のローテの谷間で勝ち、高橋尚が下柳に負ける…。もし、高橋のところがゴンザレスだったら、結果はどうだったか。つまり、巨人が「阪神を叩くローテーション」にしていれば、状況は変わっていたかもしれない。

 勝ち越しを続けているうちに、巨人の方に「またか…」という苦手意識が生まれたような感じもする。これは在京のベテランアナウンサーも言っていたが、確かに、去年の阪神もそうだった。終盤などは勝てる気さえしなかった。

 なにはともあれ、きょうで「今年最後の戦い」になる。もとい「公式戦最後の戦い」になる。来月末の戦いに向け、きょうも勝っておきたい。