"What watch?" "Ten watch." "Such much!?"
先日、テレビで『カサブランカ』を観ました。
モロッコにバーバリーコートでお馴染の映画です。
実際にはバーバリーではないそうですが。
「君の瞳に乾杯」という名訳が有名です。
英語のセリフに日本語の字幕・・・でも、言葉の数が多過ぎて、
字幕に目が追いつきませんでした。
ですから、英語のリスニングの練習を兼ねて、
字幕を読まずに、映画全体をボーっと観てました。
イングリット・バーグマン、綺麗でしたぁ。
アップになると、少しぼやけた感じの映像になるので、
余計に素敵に見えるというか・・・う~ん、映し方ですねぇ。
言葉を聞いていて、印象に残ったのが、
前述のセリフです。
まず、音がいい!!!
「ワット、ウォッチ?」「テン、ウォッチ」「サッチ、マッチ!?」
“ッチ”を繰り返すことで、リズムを生んでいます。
しかも、子音が「w→t→s」ときつくなっていき、
それによって、最後のセリフの驚き加減『!?』が強調されています。
ちなみに、英語としては全く成立していません。
が、言いたいことは分かります。
「何 時?」 「10 時」 「そんなに!?」
アメリカに亡命したい夫婦が、必死で英語を勉強して、
覚えたばかりの英語で会話をしているのです。
友人の高校生が (なぜ高校生に友人がいるのかはさておき)
私に聞いてきました。
「What time...?」
その子は、英語が喋れるようになりたいという、強い夢を持っています。
そして、バイリンガルである私に、英語で話しかけてくるのです。
いや、バイリンガルといっても、
向こうの幼稚園生が話すくらいしか喋れないのですが。
「いつ帰るのか」を聞きたい様子です。
そういう時はね~、whenでいいんだよ~と思いつつ、
” At 7” などと答えます。
要するに、伝わればいいんです。
伝えようと思ったら、あるいは感じようと思ったら、
語学は楽しくなりますし、上達します。
いつのまにか、喋れるようになります。
さて、前述のセリフ、
“ッチ”と繰り返し韻を踏むことによってリズムを生み、
子音がきつくなることによっても効果を上げています。
オペラの歌詞でも芸術歌曲においても、
同じような効果をあげている例はたくさんあります。
例えば、あっちにフィガロ、こっちにフィガロと繰り返す『セヴィリアの理髪師』、
“私は街の何でも屋”
「フィガロ、クワ Figaro qua」「フィガロ、ラ Figaro la 」
「フィガロ、ス Figaro su」「フィガロ、ジュ Figaro giu」
注:アクサン省略
しかもロッシーニの音楽がそれに拍車をかけ・・・
あっちにもフィガロこっちにもフィガロそっちにもフィガロどこもかしこもフィガロ
フィガロフィガロフィガロフィガロフィガロだらけ。
イタリア語がわからなくても、
フィガロの人物像が、なんとなく感じられたら、
それで充分だと思うんですよね。。。
プラス、歌っている歌手のテクニック。
活舌のよさ、表情の面白さ。
伴奏をするオーケストラの音色。
いいえ、それよりも何よりも、
わくわくするロッシーニの音楽。
敷居が高い、という方も、
まずは何も考えずに劇場に出かけて、
とにかく何かを感じてみようと思っていただけたらいいのにな~と思います。
感性を磨いたら、人生が楽しくなりますし♪