備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『オセロー』イヴォ演出版

2017-11-04 09:28:46 | 他言語ストプレ
特異な演出羅列。

幕が開くと同時に、ロックな爆音。

カーテンで囲まれた舞台。
吊されたサンドバック。
(時間経過とともに、三段階で下がる。
しかし、有るのは一幕のみ)

上手と下手にシングルソファがあり、
それぞれ寝ているオセローとイアーゴ。
二人ともバスタオル一枚。

先にイアーゴとロドリーゴとの会話。
オセローはソファに寝たまま。
イアーゴの悪巧み丸聞こえ。


更にデズデモーナの父親が
登場しオセローが目を覚ます。

オセローと娘の結婚にクレーム。
クレーム中、軍服を着るオセロー。

そのクレーム内容は
オセローが黒人であることだが、
黒く塗っている部分は一つも無いことが、
着替える様子から分かる。

これ、一応、バスタオルの下に
ブリーフを着ているけど、
本国では着てない可能性大。

そこにデズデモーナが登場し、
父親に結婚の許しをこう、二人。


場面はキプロスに。

カーテンは、はぎ取られ、
何もない舞台が露わに。
その際、カーテンは客席から
見える位置に片づけられる。(丸められる)

そして、この演出でもう一つの特徴。
ガラス張りの部屋が奥から出てくる。
基本はオセロー宅で、カウチソファが一つ。

ただ、基本的にその中で、
会話されることはなく、全て外で行われる。

イアーゴの企みにより、罠に掛かるオセロー。
最後には取っ組み合いの喧嘩になり、一幕終了。


二幕。
寝室の中身がカウチソファでなくベッドに。
サンドバックは完全に無くなる。
ただ、一幕同様、会話は寝室の外で。

デズデモーナの浮気を確信。

イアーゴのロドリーゴ殺害は、
台詞でなく、大音量の音楽が
流れるなか、ただ、絞め殺す。
すると、ベッドが前の方に移動。

その寝室に横たわるパン1のデズデモーナと、
ベッドの傍らに現れるパン1のオセロー。

デズデモーナを枕で窒息死。
そこにエミリアとイアーゴが現れ、
ハンカチがイアーゴの企みとバレる。

イアーゴはエミリアの首を絞め殺害。
オセローはイアーゴの顔を、
ガラス張りの壁に押しつけ、瀕死に。

そこにキャシオー登場。
オセローは誤解を理解し、
軍服を身につけ、首をカッきる。

寝室が舞台奥に移動するなか、暗転。


Hans Kesting@オセロー
白人が演じるオセロー。
大柄で結構、年輩。
そもそも、オセローの年齢設定って幾つ?
デズデモーナの父親と変わらないような。

話し方がオットリで、
それでいて舌足らず。
ちょっと、鈍いキャラ感。

その話し方が『貴婦人の訪問』CDの、
クラウス役だったイーサン・フリーマンの
二幕のクダをまく話し方を彷彿。


Helene Devos@デズデモーナ
幼い。
ただ、ピュアとか、そういうのではなく、
発言に責任が持てない精神的な幼さ。
空気を読むことが出来ない。

こう、キャシオーを庇うことも、
子供の親へのお願いのような。

それゆえに、オセローに
殺される直前まで、抵抗しない。
(殺されるという事に気づかない)
あるいは、分かっていて受け入れる。


Halina Reijn@エミリア
デズデモーナが殺されるまで、
イアーゴを疑うことがない。

デズデモーナとは、
上司の嫁というよりは、
身の回りの世話を焼く家政婦。
そもそもの設定を忘れたけど。

途中、オセローとデズデモーナの
言い争いを見ているシーンがあるが、
その時点でイアーゴの企みに気づきそうだけど。

むしろ、そのシーンでエミリアが居る意味って。


Robert de Hoog@キャシオー
イアーゴの罠にハマっていることに、
全く気づかないある種、一番の被害者。
生き残るし、結果的には役得。

歳若い妻の浮気相手という、
シチュエーションに何の違和感もないビジュアル。


Roeland Fernhout@イアーゴ
髭の小男。
口から先に生まれた詐欺師感は薄め。
胡散臭い雰囲気がそこまで無く、
行き当たりばったりに生きてる感。

計算高い性格があまり見えない。
ちょっとイアーゴのキャラが弱い。
作品の登場人物というよりは、
狂言廻しで、一人、蚊帳の外のキャラ。

でも、オセローをハメる動機は
エミリアとオセローの仲を疑う処から。


イヴォ演出。
何もないガランとしたセットと、
時折流れる轟音の音楽と、
出演者の無駄に激しい感情の起伏。
(ビンタシーンのリアルさ、
SEで無い、生音が舞台に響く。
音だけ聞くと痛そう。
実際はそうでもないというけど。)


その激しさを表現するのに、
無駄に洋服を脱ぎ、脱がせようとする登場人物。
怒ると服を破くって、何処の格闘マンガ。


会話シーンでの役者の距離感が近い。
特に、イアーゴがキャシオーを唆す時、
シングルソファに二人で
腰掛けて、口から出任せを言ったり。

オセローが疑心暗鬼になり、
セットの奥で歩き回っている時に、
旗持ちとして存在するイアーゴが、
直ぐ真後ろに居て、一緒に歩いたり。
一応、会話をしているけど、ホント真後ろ。


ガラス張りの中で台詞を言うときには、
マイクを通した声が聞こえる。
完全に仕切られているので、
そうしないと聞こえないけど、
字幕だから、聞き取れないという心配は無い。

このガラス張りの寝室。
てっきり、激しい流血とか、そういう客席に
飛ばないような配慮かと思ったら違った。

『橋からの眺め』で、水を使った演出が
あったので、激しい殺害があるのかと思ったら…。
むしろ、何故、あんな博物館の展示のような
ガラス張りの中でクライマックスを迎えるのか。
ちょっと、謎。


謎の小道具に一幕のサンドバック。
喧嘩シーンで、ボクシングのBGMは
流れるけど、サンドバックが舞台に有る意味って。
吊ってある状態、床についた状態、
半分まで床についた状態の3パターンだけど、
時間の経過という意味以外に必要性が分からない。


もう一つの小道具がハンカチ。
寝室の外で会話が展開されているとき、
ソファで、デズデモーナとエミリアが
オフマイクで会話してるなか、
唐突に登場するハンカチ。

それをヒラヒラさせているので、
アカラサマに印象的に残る。
それをイアーゴが手にするも、
一幕最後のオセローとの喧嘩シーンで落とす。

たぶん、事故だとは思うけど、
そのハンカチに気づかないフリをするオセロー。
ただ、明らかに、それに気づかないは無理が。
いつ、そのハンカチをみるか、視線を気にしていたが、
一度も観ることなく、幕が降りるまで放置。


字幕はステージ上に投影。
板が降りてきて、そこに写される。
その位置は張り出し寝室により、変わる。
前方席でも見やすい、工夫された位置。


照明がちょっと変わっている。
基本下手から当たるので、
寝室の壁に反射して眩しい事も。

基本、寝室の中の演技中は、
反射することは無いが、
寝室外で演技し、なおかつ、
舞台奥側で、座っているイアーゴという
シーンがあり、何をしているのか気になったり。


剥き出しの舞台は兎に角広い。
そして、出番が無いときに、
奥の方でウロチョロする役者。

一番は、デズデモーナとエミリアの
会話シーンで、舞台の端から端までを
行ったり来たりするオセローが、
疑心暗鬼というよりは、熊のようで。

或いは、キャシオーとビアンカの
会話シーンでも、やはり、言ったり来たり
するオセローなのだが、その後ろを、
一時も離れないイアーゴという構図。


ムダに肌の露出が多い。

裸(正確にはバスタオル一枚)で
始まり、軍服を着て終わるという流れ。

『橋』も冒頭にシャワーシーンがあったが、
あれはギリギリ見えない演出だったが、
今回の最後の本国版は全裸で殺害とか。

結構、シュールだとは思うけど、
ちょっと観てみたい。
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