備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『赤シャツ』

2015-06-11 12:38:28 | 国内ストプレ
ざっくりなアラスジ。

一幕一場。
ウラナリが赤シャツ宅の居間に現れるところから始まる。

その日は、月に一度、参加者の一人が
作品を発表し、他の参加者がその作品を
論じる”ミューズの会”の日であった。

そこに、当主の赤シャツ、野だいこ、
それにマドンナが現れ、会が始まる。
その日の発表者はウラナリ。

そして、いざ、ウラナリが発表しようと
したその時、マドンナから、ウラナリと
婚約を破棄した事実が皆に伝えられる。

理由はウラナリの経済的な問題と告げ、
本日のミューズの会は解散、
ウラナリは気まずくなり、帰宅。

野だいこも慌てて、追いかける。
マドンナと赤シャツが残ると、
急に赤シャツに迫るマドンナ。

あくまで、
”赤シャツがマドンナに好意を持っていたのでなく、
マドンナが赤シャツに好意を持っていたという”流れ。

一幕二場。
ところ、変わって、料理屋『角屋』の座敷。

そこでは、一人、山嵐が食事をしている。
誘われた相手、赤シャツを待っているのだった。

そこに、遅れて現れる赤シャツ。
会食の目的は、今度、新しく東京から、
赴任してくる教諭(坊ちゃん)の指導を頼むことであった。

ここでも、あくまで、赤シャツは
”山嵐のことを疎んじているわけではないという”ながれ。

しかし、山嵐は赤シャツがウラナリから、
マドンナを奪い取った信じ込み、邪険に扱う。

そこに芸者の小鈴が現れる。
この小鈴、赤シャツが大層、ご執心。
しかし、山嵐の手前、他人のように振る舞うが、
山嵐にはマドンナだけでなく芸者までと、
更に誤解を与える結果に。

挙げ句、客とのトラブルで、
小鈴は山嵐に好意を持つことに。

一幕三場。
赤シャツの書斎。

赤シャツは客を待っていた。
その客はウラナリで、ウラナリに
マドンナを諦めないよう説得しようとしていた。

経済的な問題なら、地方の学校であるが、
給金が上がる話を持ち出すが、あくまで、
同じ職場で働きたいという赤シャツに対し、
この職場から、しいてはマドンナから
距離を置きたいウラナリは
その話を引き受けると言い、帰ってしまう。

ここでも、あくまで、
”赤シャツはウラナリを遠ざけたのでなく、
ウラナリ自らが望んだという”ながれ。

二幕一場。
ウラナリの送別会後、
一人、書斎にいる赤シャツ。

心からウラナリとの別れを悲しみ、
早々に送別会から退出した赤シャツ。

そこに、野だいこが小鈴を連れてやってくる。

小鈴は亡くなった兄の香典のお礼を言いに来たのだった。
そこで、ウシの息子も徴兵され、戦死したことを知り、
戦争でなくなった二人を悼む赤シャツ。

すると、赤シャツの義弟・武右衛門が現れ、
徴兵逃れをした赤シャツにそんなことを
言う資格はない、と言い、兄弟げんかに。

実は、赤シャツは徴兵逃れを
するため、籍を北海道に移していた。
しかし、それを友達から指摘された
武右衛門は、バカにされ、その友達と喧嘩に。

その一件から、赤シャツと武右衛門の仲は険悪に、
武右衛門は海軍士官学校を目指すようになっていた。

ウシは武右衛門を連れ戻そうとするが、
雨のなか出て行ったので、着替えを持って行くようにと、
あくまで、弟思いな赤シャツ。

二幕二場。
坊ちゃんと山嵐の師範学校との
生徒との乱闘騒ぎ後、校長室。

そこでは、校長がその乱闘記事が
書かれた新聞記事の訂正を求めるため、
山嵐を同席させ、新聞者の記者を待っていた。

しかし、山嵐は
赤シャツが、坊ちゃんを主任にしようとして、
山嵐を追い出そうと企んでいると校長に告げる。

記者が現れるも、記事の訂正どころか、
山嵐を追いつめる記者に、怒って授業に
戻ってしまう山嵐。更に険悪な雰囲気に。

そこに現れる、赤シャツ。
先に警察に行っており、
山嵐に非がないこと、また、新聞記者にも
上手く話を進めるが、逆に小鈴のことを突っ込まれ、
山嵐を辞職させることが一番の解決と、言い、去る記者。

あくまで、
”山嵐を残し、自分が辞職するという”赤シャツ。
しかし、マドンナの父親の手前、
赤シャツの辞職を考え直すよう、逆に説得される。

また、坊ちゃんを主任という話も、
更に教師を補充するための、繰り上げ昇進であり、
決して、山嵐を追い出すためではない事実が明らかに。

二幕三場。
結局、山嵐は辞職。
そして、山嵐の赤シャツへの報復、直後。

山嵐に襲われた話を聞き、
赤シャツ宅に訪れる小鈴。
しかし、肝心の赤シャツは居ない。

そこで、ウシに昨日、赤シャツからプロポーズされた話をする。
そこに、全身傷だらけで現れる赤シャツ。

ちょうど、その日が武右衛門の謹慎が解かれた日で、
赤シャツは武右衛門の士官学校行きを許し、二人は和解。

また、小鈴は赤シャツのプロポーズを受ける。
そして、坊ちゃんの東京への帰宅モノローグ後、終幕。


大沢@赤シャツ
ヒゲの気弱な中間管理職。
『坊ちゃん』でのイヤミな教頭イメージを
180度くらい覆す、気弱なキャラ。

なのに、マドンナに好意をもたれたり。
(文士という経歴に対してだけど)
ひたすら、その行動が裏目に。

いわゆる、誤解を受けやすいキャラ造形。

春風@ウシ
女中。
位置的には、それほどメインではない。

ただ、気づくと、居る。
(思いっきり、盗み聞き常習犯)

で、ポイント、ポイントで、
良い話を差し込み、舞台上で、謎の存在感を発揮。


澤田@ウラナリ
関西弁(京言葉系)を話す物静かな挙動不審男。

『坊ちゃん』では、マドンナを一方的に取られる男だが、
マドンナを好きゆえに、経済的事情で一緒になれない
不甲斐なさや、マドンナから離れるために、自ら進んで
転任を希望するとそれなりにキャラが立っている。

でも、結局、なんの見せ場もなく、途中退場。

小林@野だいこ
配役を聞いた瞬間に、
やはり、というキャスティング。

そして、安定の太鼓持ち。

桑原@マドンナ
清楚で大人しいキャラなのかと、
思いきや、自転車を乗り回す明朗な女性キャラ。
で、赤シャツにアピールするも一場でフェードアウト。

坊ちゃん同様、ストーリーの記号として登場。

間瀬@山嵐
大変に実直な男で、本編と変わらず。
なのに、結構、出ずっぱり。
”坊ちゃん”の代わり?

渡辺@小鈴
貴重な女性キャラ。
それほどのインパクトは無いが、
最後、普通に赤シャツとくっつくと、
ちょっと意外なオチに。

大内@武右衛門
マサカの学生役。
実年齢知らないけど、学生とは。

坊主にすると、学生に見えなくもない。

金内@狸
映像のイメージが無いが、
なんか吹き替えな存在感。


セットは回転する座敷を一場毎に回転。
その上に、なぜか、編んだ木のようなものが
浮かんでいる。これが、何を意味しているのだろう?


夏目漱石の『坊ちゃん』の登場人物、
赤シャツをメインにした戯曲。

そのため、坊ちゃんが来る前、
(前任の教師が芸者と駆け落ちした直後)
から、始まり、場ごとに『坊ちゃん』の
モノローグが入り、その後の展開が続いていく。

ただ、既に『坊ちゃん』を読んだのが昔すぎて、
だいたいのアラスジしか覚えておらず、
細かい設定の伏線とか、見逃しているかも。

それでも、赤シャツはイヤミな役でなく、
中間管理職にありながら、他の教諭のことを
考える良い人キャラというのが前提で、
『坊ちゃん』本編の行動は、他のキャラの
思いこみにすぎないという設定に。

それゆえ、オチはどうなるのかと思ったら、
小鈴とくっつくという、結構、意外なオチ。

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