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視聴者は残酷を求めてるんです【箱根駅伝&やれるんか!】

2008-01-07 23:19:33 | スポーツ
年末年始のスポーツ中継,各闘技の『やれんのか!』と
関東ローカルなのに新年の風物詩として完全定着した・箱根駅伝。
いずれも高視聴率を記録したようですが,いずれも深刻な
問題を抱えていたようです。

箱根駅伝、記録更新の裏に給水問題が…関係者が警告(2008年1月4日(金)夕刊フジ- goo ニュース)

第84回箱根駅伝は3日、駒大が3年ぶり6度目の総合優勝。レースの高速化が進んで区間新記録が3つ出る一方、3校が棄権するサバイバルレースとなった。関係者からは「ルールを変えないと大惨事を招く」との警告も聞こえてくる。

 競技終了後、都内ホテルで行われた閉会式。共催の読売新聞グループ本社の内山斉社長は、棄権した選手たちが必死にたすきをつなごうとしたことに触れ、「根性に感動した」と賛辞を贈った。
 しかし、直後に主催者代表としてあいさつした関東学生陸上競技連盟の青葉昌幸会長は「内山社長にはお褒めいだだきましたが、複雑です」と苦渋の表情。というのも、3校のリタイアは箱根駅伝の長い歴史でも初めての事態となったからだ。
 昨年優勝の順大は、往路5区の小野がゴール直前で路上に倒れた。これを受けた監督会議での申し合わせにより、復路は15キロの給水所より前に、監督らが水を1度だけ手渡せるよう規定を変更。だが、9区で大東大、最終10区で「2強の一角」とされた東海大が途中棄権を余儀なくされている。

 優勝した駒大の大八木監督は「最近の陸上はスピード化している。春先からスピードをつける練習をしてきた」と勝因を語り、「前よりハイペースで、最初から突っ込んで入るので、最後にフラフラになる走者が多くなった。スピードだけつけても、タフさがないと難しい」とも。
 大八木監督はレース中、自ら全選手に伴走して8-9キロで給水させたが、「水だけじゃなく、スポーツドリンクとかで糖分を補給できたほうがいい」と指摘した。
 さらに別の関係者は「マラソンは5キロごとにスペシャルドリンクが取れる。根性論もいいが、高速レースの時代に『箱根の伝統』とか言っていたら、いつか大惨事につながる」と警鐘を鳴らす。脱水症状から脳や内臓に障害が残ることもあり得るのだ。


とにかく,今年の箱根駅伝は面白すぎました。

3区・5区で区間賞を獲得し往路トップの早稲田と
同2位の駒澤大が激しい優勝争いを繰り広げ鮮やかな逆転優勝をした
優勝争いも素晴らしかったですが,何といっても波乱が多かった。

昨年の覇者・順大が1区でなんと最下位の波乱,2区18位,
3区・4区19位と低迷した挙げ句になんと5区でリタイア。
1区でトップの城西大が繰り上げスタートの屈辱で往路16位
エース区間2区でモグスが4人抜き区間賞でトップに躍り出た
山梨学院は4区までトップも5区で3位,最終的に6位。
4区で区間賞の国士舘大は,なんと最下位でたすきを受けて
1つも順位を上げられずに5区につないでおり,
過去2度区間新を記録している佐藤悠基が7区で3つ目の
区間新を記録した東海大が3位に押し上げるも9区でなんと棄権。
で,往路4位の関東学連選抜が結局最終でも4位を守り
来年大会の予選会出場枠を1つ増やす健闘ぶり。

とにかく,1人強いランナーがいたと思ったら
その大学の他の選手たちがさっぱりで
ことごとく潰れていく展開の目まぐるしさ。
区間賞は8区だけという駒沢が優勝したわけですが
いかに分厚い選手層をつくることが困難かということですね。
予選会10位以下の大学からでも上位の選手たちを選抜して
構成された学連選抜が4位に食い込んだように。
東海大棄権10区荒川じん帯損傷/箱根駅伝(日刊スポーツ) - goo ニュース
によると,94年までわずか3件だった棄権が、95年以降では8件目。
「これだけ注目されると、体調が悪くても走ってしまう選手もいる」
とのことですが,箱根駅伝って,例年スタート前に各大学がほとんど
必ずといっていいほどメンバーチェンジをしますよね?
あれを見ると,当日になって外された選手の気持ちはいかほどか…
そこをあえて替える理由は何なのか?チーム内の実力はそんなに伯仲しているのか
実力差が容易に逆転するほど当日になって体調が劇変するものなのか…?
と思ってたのですけど,監督には選手のコンディションを見極める力量と
交替を決断する判断力が要求される時代になっているんですね。

しかしまぁ,その波乱続きの展開がショーとしては面白く,
実質主催の読売グループ社長も舞い上がって
「根性に感動した」などという脳天気コメントを発したわけですが,
F-1じゃあるまいし,20チーム中3チームもが
10人完走できなかったなんて過酷なレースが学生スポーツとして
健全なわけないんです。

F-1といえば,その昔,ビートたけし御大が
「F-1見てる奴なんて,たいてい『亜○里死なねぇかな』って
 期待しながら見てるんだよ」と語ったことがありますが,
自動車レースはよく衝撃映像番組に使われるなど
クラッシュシーンがある意味見所(観客の目を引く場面)のひとつ
だったりするわけです。亡くなったり重態になったりしたら
気まずいですが,そうならない程度に車体が吹っ飛んだり
ちょっと火だるまになるくらいなら誰もが見たいわけです。

そう,読売G本社・内山斉社長が
劇的な展開でコンテンツ価値を高めてくれた選手たちを
賞賛するのは,極めてふつうの行動なのです。視聴者的には。

2001年夏場所,右膝亜脱臼をおして千秋楽の大一番に出場,
優勝決定戦で横綱武蔵丸を倒したものの
結果的に力士生命に終止符を打つことになった
「平成の大横綱」貴乃花光司氏に対して世間の凡人や変人は
「痛みに耐えよく頑張った・感動した!」と褒めそやしました。

大怪我を負った横綱が取り返しのつかないような負荷を
己の体に強いながら一瞬の戦いにすべてを賭ける,
その潔さと気迫,そしてその一念が生み出す技の輝きや美しさ・
劇的な勝利が生む感動は何物にも代え難いすばらしさがあるのです
…といえば恰好いいですが,
要するに庶民は,スポーツを見る際に選手たちが
勝利に向かって苦しみもがけばもがくほど嬉しいんですよ。

その結果当人がどんな犠牲を払うことになろうが
知ったこっちゃない。
その後,回復が思うにまかせず1年以上も治療に苦しむ
ストイックな大横綱に対して,7場所連続休場に至ると
「出れないならさっさと引退しろ」と大ブーイングしたわけで。

夏の甲子園にしたって,たかだか高校の野球部の部活を
40度にもなろうという夏の炎天下に試合をさせて
自分たちはクーラーの効いた屋内で中継見てるわけで。
最近になってようやく準決勝の後1日空けたり連投制限を
設定するようになりましたけど,たいてい高校野球は
1人の傑出したエースがいるチームがその力に頼ることで
勝ち上がっていくわけで,負けたら終わりなのだから
いけるところまでとことん酷使するのが当たり前。

そう,敗者にとって残酷なルールであるほど見るものにとって
面白い劇的な展開が演出できるんです。
負けたら終わりのトーナメント戦はポピュラーな方式ながら
残酷で劇的な要素をもともと持っているわけで,
長いレギュラーシーズンを戦い抜いた後,
実はトーナメント方式のプレーオフが本番という
アメリカ3大スポーツはスリリングな戦いを演出する術を
求めルールを見直し続けた歴史が作り出した極上コンテンツと
いえるでしょう。

そして,残酷さの最たるものといえば,格闘技。
相手が攻撃できなくなる,立てなくなるよう
ダメージを与え合う・傷つけ合う競技なだけに
選手の安全を確保するため
厳密にルールが設定され守られなければなりません。

大晦日に行われた『やれんのか!大晦日2007』で,
ヌルヌル秋山こと秋山成勲が三崎和雄に顔面を蹴られて
負けたそうですが,そのシーンを6日の『サンデーモーニング』で
見て,愕然としました。

これがOKのルールなら,
競技自体,地上波で放送しちゃ駄目だろ!

まして日曜の朝ファミリー層も見る『サンデーモーニング』で。

対戦後,これが三崎選手の反則ではないかという議論が起こり
ネットでは,大会のルールに曖昧な点があるものの
蹴られた瞬間,立ち上がる途中だった秋山の体勢は
頭部・顔面へのサッカーボールキック・踏みつけが反則とされる
「4点ポジション」にはあたらないという主張が優勢で
その線で収束していったようですが,
『やれんのか!大晦日!2007』オフィシャルルール主要ポイント
両手両足(一般的には両膝)がついているとかいないとか
ルール上反則にあたるのかあたらないのかいう以前に,
直立でない頭を下げた状態の顔面を靴を履いた足で蹴るって
あまりにも野蛮じゃないですか。

この大会は,解雇された旧PRIDEのスタッフによる一夜だけの復活興業
ということでしたが,このような試合をやるのがPRIDEのクオリティ
だとしたら,昨年PRIDEが“消滅”した際に前田日明氏が
「ざまあみろ」と言った理由がわかるような気がします。
前田さんは雑誌のインタビューで,馬乗りになって相手を殴るなど
アメリカ全州,ブラジルでも殆どの州で地上波放送禁止であり,
PRIDEは日本の格闘ファンが総合格闘技を見る目を養う前に
なんでもありの危険なルールを持ち込んで
刺激的な戦いで感覚を麻痺させてしまった
旨語っていました。

見るほうとしては,鍛えた選手同士が承知の上で戦ってるんだし
柔道だって相撲だってラグビーだって大怪我するときはするんだし
まぁいいんじゃないの?という感想を持っていましたが,
あのシーンは…ダメでしょう。

秋山については前年のK-1Dynamiteで格闘技競技者として
許されざる反則を行い,本来なら2度とリングに上がることが
許されない,ましてやたった1年で無期限停止が解けて国内大会に
復帰するなどありえないと思っています。
K-1ヌルヌル試合騒動
なので,ここでも秋山のことは呼び捨てにしますし
下馬評で優勢を見られていた相手に無惨な負け方をして
気の毒というよりむしろ救われた(今後国内で戦うための
禊ぎが済んだ)結果になったという意味で面白くないと
思っているくらいです。

しかし,案の定,あのキックで秋山は鼻骨骨折,
手術を受け骨のかけらが摘出される全治1ヶ月の怪我だったわけで
秋山が2カ月の重傷、リング復帰3月以降(日刊スポーツ) - goo ニュース
ここで左膝の靭帯損傷のほうが大きな問題にされているように
格闘家にとって顔のけががどれくらいの物なのか知りませんが
あんなけがが簡単に起こるようなルール,
それを見せ物にする興業は,問題ありだと思いますけどね…。

【おまけ】
清原、視線の先は格闘技…大みそか秋山KO負けに怒り(夕刊フジ - goo ニュース)
記事を書く側が勝手に清原氏のキャラを作って
書いている感がありますが,それにしても正直言って
色々な点でバカというか,今の自分の状況・立場を考えて
力を入れるべき所がどこなのかという考えがずれていてもう…。
清原和博,それじゃ老醜。見苦しいよ…(06/04/27)


第84回東京箱根間往復大学駅伝競走最終日
(3日、神奈川・箱根町-東京・大手町)▽総合成績(10区間217.9キロ)
(1)駒大11時間5分0秒 
(2)早大2分29秒差 (3)中央学院大6分5秒差 
(4)関東学連選抜 (5)亜大(6)山梨学院大 (7)中大 
(8)帝京大 (9)日大 (10)東洋大11時間17分12秒 
(11)城西大3分7秒差 (12)日体大3分18秒差 (13)国士大 (14)専大 (15)神奈川大 (16)法大 (17)東農大 
(棄権)東海大10区 大東大9区 順天堂大5区


第84回『東京箱根間往復大学駅伝競走』公式サイト

『やれんのか!大晦日!2007』オフィシャルサイト

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コメント (2)
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