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カーボン素材についての考察(2)

2011-07-23 10:26:53 | ロードバイクの科学

 GIANTやPINARELLOといった主要メーカーのフレーム素材として主に使用されているのが東レのカーボン繊維です。カーボンファイバーの世界シェアNo.1も東レで34%、2位が東邦テナックスで19%、3位が三菱レイヨンの16%と続きますので、何とカーボンファーバーの7割が日本メーカーの製品ということになります。Dogma_60mh1k
 GIANTでは東レのT-700やT-800というカーボン糸を自社でプリブレグ生成していますし、PINARELLOは東レのプリブレグを使用してフレームを作成しています。炭素繊維の特長は、何と言っても軽くて強いこと。比重が1.8前後と鉄の7.8に比べて約1/4、アルミの2.7あるいはガラス繊維の2.5と比べても軽い素材です。その上に強度および弾性率に優れ、引張(ひっぱり)強度を比重で割った比強度が鉄の約10倍、引張(ひっぱり)弾性率を比重で割った比弾性率が鉄の約7倍と優れています。これが、炭素繊維が従来の金属材料に代わる軽量化材料として本命視されている理由です。その上に疲労しない、錆びない、化学的・熱的に安定といった様々な特性を有し、厳しい条件下でも特性が長期的に安定した信頼性の高い材料となっています。
 東レの炭素繊維はボーイング社のジャンボジェットの主翼や胴体にも使用されている高品質製品ですからこの素材が自転車に使用されているというだけで驚きです。東レの高性能炭素繊維はTORAYCA(トレカ)と呼ばれ、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料にしています。一口に東レのカーボンと言っても、糸の段階で引張弾性率が23500kgf/mm2のT300から60000kgf/mm2のM60JBまで様々です。GIANTのADVANCEDシリーズに使用されているT700というカーボン糸は引張強度500kgf/mm2、引張弾性率23500kgf/mm2です。ADVANCED SLに使用されているT800になると引張強度600kgf/mm2、引張弾性率30000kgf/mm2になります。
 kgfという単位は重量キログラムで1kgの重さの物体が受ける重力の大きさを表す単位です。1 kgf = 9.80665 N(ニュートン) になります。引張強度や弾性率は平方ミリメートルの加重で表されるため、この単位が用いられているのです。
Tcr_advanced_sl_se_2011  残念ながらGIANTのCOMPOSITE(2011年モデルではTCR COMPOSITEのみでしたが、2012年モデルからはDEFYシリーズにもCOMPOSITEモデルが登場します)モデルに使用されているT600は東レの製品表には掲載されていませんが、製品番号的にはT300とT700の間の製品であることは間違いないと思います。T300とT700は引張弾性率は同じですが、密度が異なるため引張強度と伸率が異なります。
 ちなみにT800の引張強度はフィラメント数6000(6K)及び12000(12K)のもので560kgf/mm2、24000(24K)のもので600Kgf/mm2となっています。引張弾性率は共に30000kgf/mm2です。T700にはフィラメント数6000(6K)の製品は無く、12000(12K)と24000(24K)は共に引張強度500kgf/mm2、引張弾性率23500kgf/mm2です。

 
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