CYCLINGFAN!!

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ツール2024の傾向と対策(4)

2024-07-17 10:36:20 | ツール・ド・フランス
 今年のツールも最終週に突入しました。ただ、平坦コースということもあり、途中で何度か寝落ちしそうなほど単調なレースになり、結果、総合を争うチームはアシストを十分に休ませることのできる理想のステージになりました。このツールでは2回目となるファンデルプールの発射台から飛び出したフィリップセンがステージ3勝目を挙げました。

 マイヨヴェールのギルマイの落車があり、マイヨヴェール争いは最後までもつれそうですが、おそらく総合上位の順位は大きく変わることはなさそうです。休養日前に史上まれにみる戦いを繰り広げたポガチャルは終始リラックスした走りを見せていました。昨年は最後の休養日明けにバッドデイを迎え、マイヨジョーヌ争いから脱落してしまったのですが、今年はどうやら違うようです。

 そのポガチャルが休養日のインタビューで興味深い発言をしていたのでご紹介します。「6年前はとりあえず炭水化物を多く食べることに注力していた。朝はパスタや白米にオムレツだったものが、いまはもっと”普通のもの”を食べている。おかゆやオートミール、オムレツ、パン、パンケーキなどなど。この食へのこだわりが差を作る。もう僕たちは朝にパスタを食べなくていいんだ。」というものです。
 これだけ激しい競技で1レースで7000~8000kclをもエネルギーを消費するのに、毎朝パスタではさすがに選手はストレスフルになるはずです。一時プロツールで蔓延していたドーピングもこうした食事面でのストレスも大きかったのではないでしょうか?何故なら個人もチームも最も安上がりでパフォーマンスを上げられるのがドーピングだったからです。
 それが、ポガチャルの言うように食事にある程度の自由が与えられれば、選手のストレスは確実に減るはずです。食事と補給と科学的トレーニングでパフォーマンスを上げられるのなら、リスクを冒してまでドーピングに手を染める必要はなくなるのです。ただ、残念ながらこれは世界的にみても大きなチームの優れた選手のコメントだということには留意しなければいけません。
 資金力が乏しいチームで優れた管理栄養士やスタッフを雇用できないチームでは。今でもドーピングに手を染める誘惑に負けてしまう選手がいても不思議ではないのです。ただ、ポガチャルのこのコメントはかなり影響力があるはずで、今後、下部のプロツアーにも、こうした変化が生まれることを願っています。

 ポガチャルがこうした発言をしたのは、第11ステージで補給をミスしヴィンゲゴーにゴールスプリントで敗れたことが一因かもしれません。食事や補給の大切さをこうして自分の言葉にすることで、自分にもしっかり言い聞かせることにもなるからです。
 この食事発言の前にもポガチャルは「自転車ロードレースはすごい速さで発展している。チームを悪く言いたくはないが、僕が加入した5、6年前と比べると別物になっている。たとえば1年目に走ったブエルタ・ア・エスパーニャのチームは、いま考えるとアマチュアチームのようだった。その時は”これがプロか”と思っていたが、その後チーム同士が切磋琢磨し、栄養やトレーニングプラン、高地合宿などを発展させた。ヴィズマとUAE、イネオス、トレック、クイックステップなどが競い合い、限界を押し上げていったんだ。」と言っているのです。チームは勿論、選手同士も切磋琢磨し合い、その結果が今のレースだというのです。

 さらに、「それが昨日の山岳での走りに繋がった。この光景は毎年見られるだろう。なぜなら皆がディテールにこだわり、食べ物のグラムやワット数まで神経を張り巡らせているからね。」と続けています。
 また、機材の進化についても「またバイクの面で言えば、6年前からタイヤが大きな変化と言える。その他にもホイールや空力性能の上がったフレームなど、素晴らしいほど進化したよ。」と語っていました。このブログでも書いて来たことですが、機材の進化と補給の改善が今の超ハイペースのレースを支えているのです。それに、ライバル同士の切磋琢磨が加わり、あの超級プラトー・ド・ベイユでの歴史的なレースに繋がったのです。あの伝説のクライマーのパンターニの記録を3分以上も短縮したレースの目撃者になれたことを嬉しく思います。

 今日は勾配の緩い丘陵コースで、最後は登りゴールですが、逃げを総合優勝を狙うチームがどこまで容認するかに注目です。個人的には2日続けて敢闘賞を獲得したEFのメンバーの逃げ切りを願っています。第14・15ステージはゴール数キロまで逃げ粘ったものの、総合争いに巻き込まれてはひとたまりもありません。ヴィンゲゴーもヴィスマもこのステージで動いて来るとは考えにくいので、ほぼ逃げでのステージ勝利になるはずです。見所は最後の3日間になります。また、歴史に残るような名勝負が見たいものです。


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