CYCLINGFAN!!

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ポガチャルのWツール制覇を考える(5)

2024-07-02 15:41:08 | ツール・ド・フランス
 ツール・ド・フランスの第3ステージはスプリントステージで、総合争いに変化は無いだろうと思っていたら、ゴールまで残り2.3kmで集団の右側で大きな落車事故が発生し、集団はカオスとなってしまいました。今日の優勝候補筆頭だったフィリプセンも巻き込まれて区間優勝のチャンスを失ってしまいます。ゴールスプリントを征したのはエルトリアのビニヤム・ギルマイでした。早めにスパートしたマッズ・ピーダスンは中間スプリントは取ったものの、肝心のゴール前では敗れてしまいました。しかも、ステージ4位という結果に終わっています。

 この日は、ここ2日の厳しいステージの影響か逃げらしい逃げは生まれず、唯一フランスのファビアン・グルリエの逃げも最大50秒差というものでした。スプリンターを抱えるチームが積極的にコントロールするころもなく、最初の3時間の平均速度は39km/hという、近年まれにみるほどのスローペースでした。
 このままスプリントゴールになるものとばかり思って見ていたのですが、ゴールが近づくにつれ、集団の速度が上がり、ポツポツと単独の落車が続きました。その中にアルカンシエルのファンデルプールの姿もあったのです。ゴール前の集団落車でタイム差は付かったのですが、ゴール順位で総合順位が入れ替わってしまったのです。この日のマイヨジョーヌのポガチャルは1日でそれを手放すことになりました。

 この日マイヨジョーヌに袖を通したのはcannondaleのSupersix EVOに乗ったEFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパスでした。過去には東京オリンピックの金メダルやジロの総合優勝など輝かしい戦歴を持つ31歳のエクアドル人。昨年、イネオスから移籍し、EFのエースとして期待されたツールでは初日の落車でリタイヤという悔しい結果に終わっています。TTのエクアドル・チャンピオンですが登りも登れる選手なので、表彰台を狙って欲しいものです。この日までのステージを見る限り調子は良さそうです。
 それにしても、今年のツールは何か不思議な感じがあります。総合優勝を狙うチームのエースに不安があるのか、どこか互いに牽制し合っている隙を突いた走りでジャージの色が決まってしまう。まだ、序盤とはいえ。ここまでマイヨジョーヌが日替わりなのも珍しい。

 第2ステージは最後のサン・ルーカでポガチャルがアタックを見せるも、どこか本気の走りには見えませんでした。アシストのアダム・イエーツの表情からしても、あれ行っちゃったのという感じでした。ただ、このアタックに即反応できたのはヴィンケゴーだけで、ビッグ4の一角のログリッジはアダムの引きで既に遅れていたのです。
 登りでのアタックには反応できなかったエヴェネプールとカラパスが下りと平坦で追いついて来たのも不思議な感じでした。ポガチャルとヴィンケゴーのアタックで遅れた選手が追いつくシーンは珍しい。今年のジロの初日、ポガチャルの登りのアタックに下りで追いついたイネオスのナルバエフがツキ一から勝利したシーンを思い出しました。

 この時のポガチャルはあくまで様子見をしていて、勝てるのなら勝ちたいと思っていたのかもしれませんが、勝てなくても結構という感じでした。実際、翌日にステージ優勝し、手にしたマリアローザは結局最後まで手放すことはありませんでした。この日ももう少し前に位置していれば、マイヨジョーヌを手放すこともなかったのですが、落車が発生したのでタイム差は付かないと判断し、脚を止めてしまった総合上位勢はこぞって後方でのゴールとなり、ポガチャルが総合2位、さらに後ろでゴールしたヴィンケゴーはエヴェネプールに順位で抜かれ4位へ後退。タイム差が無いので慌てることはないというのは、いかにもヴィンケゴーらしい。

 ただ、ジロでのポガチャルはスプリントステージでもゴール前では安全確保のため、必ず前に位置していたのです。前日の厳しいステージでもポガチャルがアタックするまでアダムが先頭を牽いていたのですが、この日は平坦アシストはほとんど働いていませんでした。結構、強い選手を集めて来たUAEですが、果たしてチームポガチャルとしての役割を果たし切れているのかが少し心配です。
 第2ステージでライバル勢の登りの脚と平坦での脚を確認したポガチャルなら今日のガリビエでは必ず動くはずです。下りゴールなので決定的な差は付けられないと思いますが、再度ヴィンケゴーとのマッチアップになって欲しいと思っています。まずはライバルを揺さぶること。一昨年、ヴィンケゴーがポガチャルに仕掛けて来た作戦です。やはり、昨年のTTの結果を見る限り、Wツールの実現には最終日までにヴィンケゴーと1分のタイム差は欲しいところです。
 
コメント
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