「五輪いらない派」からすれば、「2020東京五輪」は「COVID-19」によるパンデミックで中止になることがベストであったが、五輪を最大の政治利用にしてきた安倍晋三にとっては、「中止」は息の根を止められることに等しかった。
いかにも、昨日のIOC会長との電話会談で決まったかのような印象操作をしたが、水面下では数週間前から準備が進められていたらしい。
それでも今朝の朝刊では在京大手紙には微妙に表現に差異があった。
■朝日新聞 「五輪延期『これほど早く決まるとは』 封じられた中止論」
◆毎日新聞 「東京オリンピック延期 各国に追い込まれたIOC 追加費用や会場確保 課題は棚上げ」
●讀賣新聞 「首相、直談判で『五輪1年延期』言質取る…森元首相と握手・小池知事とグータッチ」
ローカル紙の東京新聞は独自の見方をしていた。
「首相主導の五輪、難局 1年延期 在任中に開催」
東京新聞より】
上記の画像を見ればいかに安倍晋三が五輪を自分のために利用していたことがよくわかる。
すでに「延期」は免れない状況になった時点で、延期の「期間」に攻防があったようである。
御用評論家の「スシロー」こと田崎史郎は、この数日間は情報番組に積極的に出演し、安倍晋三の意を酌んだように、「今年の秋から遅くとも来年の春ころ」と政府広報官のようにしゃべっていた。
「1年」と「2年」が延期期間として候補に挙がっていたが、なかには大胆に4年後に「順延」という見方もあり、決してむげには否定できない内容であった。
「東京五輪『2024年への順延』が最も現実的な選択肢ではないか ~『国際社会の要請』の観点で考える」
結果的には安倍晋三の狙い通りに来年の同時期の開催が濃厚になったわけだが、最近アクセス数が上昇しているこのローカル紙がその間の事情を解説していた。
<首相根回し中止回避 トランプ氏説得、G7も活用 五輪1年延期> 2020/3/25 西日本新聞 東京五輪・パラリンピックの延期が24日、決まった。安倍晋三首相が提案した約1年の先送りを、国際オリンピック委員会(IOC)が受け入れた。五輪をレガシー(政治的遺産)にしたいと意気込む首相は、世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的大流行)を表明した11日には、7月開幕の通常開催は困難と覚悟。トランプ米大統領との盟友関係も利用し、中止や他国開催ではなく、延期に持ち込む国際世論づくりを主導した。 「1年程度の延期を検討していただきたい」。24日午後8時。首相はIOCのバッハ会長との電話会談開始直後に切り出した。「2022年では、もはや東京開催の雰囲気ではなくなってしまう」と2年延期論を否定し、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、完全な形で開催したい」と言葉を重ねた。バッハ氏から「100パーセント支持する」との賛同を引き出すのに、さして時間はかからなかった。 「延期は前例がなく、中止の恐れは大きかった。開催できなければ日本にとって致命傷になる。首相や官邸はよく努力した」。自民党幹部はたたえる。 東京五輪・パラリンピックは首相が自ら招致した大イベントだ。演説や外交の場でもたびたび持ち出し、政権浮揚の材料にしてきた。その首相が、東京での通常開催に危機感を募らせ始めたのは2月下旬だったという。ロンドン市長選の有力候補が同市での代替開催のアイデアを披露し、IOC委員が中止の可能性に言及。当時は欧州で本格流行する前で、患者が続出したクルーズ船など日本の感染状況が大きく報じられていた。中止や他国開催論が世界で高まる恐れがあった。 日本で開催できなければ、経済効果は台無しとなり、自身の政治的求心力も急低下するのは目に見えている。「首相は焦っていた」と与党関係者。首相はその後、3月上旬にかけ、全国一斉休校や中国、韓国からの入国制限などの強い措置を矢継ぎ早に打ち出した。 だが、今度は欧米で感染が加速。WHOは11日にパンデミックを宣言する。12日にはトランプ氏が延期に言及。バッハ氏も、「WHOの助言に従う」と表明した。日本だけの対策ではどうにもならない状況に、首相は通常開催断念の意向を固め、中止や他国開催を避けるための国際世論形成に注力する方針に転換する。 「トランプ氏を説得したのが勝因だった」。官邸周辺は振り返る。首相は13日に早速、トランプ氏と電話会談。「日本でシンゾーの時に開催してくれ」との同意を取り付けた。テレビ放映権を通じてIOCに強い影響力を持つ米国の支持を追い風に、フランス、英国とも電話首脳会談。16日には先進7カ国(G7)首脳緊急テレビ電話会議で「完全な形での開催」を表明して賛同を得た。 大会組織委員会の森喜朗会長らと頻繁に情報交換。国内の調整も進めた。公明党の山口那津男代表にも延期の考えを説明。「聖火が日本に着きさえすれば、日本開催は揺るがない。聖火が到着する20日まで『東京開催を人類がウイルスに打ち勝つ証し』と前面に出して中止論を抑え込む」。同党関係者には、官邸から首相の戦略が伝えられた。 ただ、1年後に感染が終息している保証はない。延期に伴う巨額の追加費用の負担スキームも未定で、会談に同席した橋本聖子五輪相と小池百合子東京都知事はともに「協議したい」などと述べるにとどめた。今後、政治的な混乱要因になる可能性もある。「首相が安心するのはまだ早い」。政府関係者は指摘した。 |
「来年のことを言うと鬼が笑う」という諺があるが、現在の「パンデミック」状態が完全に来年終息することは誰もわからない。
例えば1年前には、オジサンは「首脳会談の回数では外交成果はあげられないというアホな見本」とつぶやいていたが、その数日前には、こんな他愛無いツイートを紹介していたほどであった。
百田尚樹、マジ最っっ低!
— 菱山南帆子 (@nahokohishiyama) March 20, 2019
ジュゴンは辺野古周辺を餌場にして生息してたんだよ!
そこに汚い土砂を投入したら死んじゃうよ。
勝手に死んだんじゃ無くて殺されたに他ならないんだよ。
あんたも同じ目にあってみろよ。自宅に土砂投入されて食べるものも無くなってしまう思いをしてみろ。 pic.twitter.com/4axlIhFfKe
さて、「コロナ騒動」で今までの「モリカケ」や「桜」疑惑を封じ込めようとしていた安倍晋三だが、自らの発言によって結果的には死者まで出してしまった財務省の公文書改ざん事件が再燃し始めている。
在野のアナリスト氏は、「株高と安倍政権の醜聞」と題したブログの中でこう分析していた。
東京五輪を1年延期要請、という話題で一色ですが、森友問題で自殺した財務省職員の手記、そして妻の手紙がでてきて、安倍首相は「発言が原因」、麻生財務相は「私の言葉を捻じまげ」、「この2人は調査される側」と痛烈です。まさか、とは思いますが、安倍政権が五輪延期を容認に傾いたのも、この報道から目を逸らすためでは? ともされます。つまりもう通常開催は難しく、どのタイミングで発表するか、コトを起こすかといった段階ででた醜聞だけに、目くらましにちょうどいいと判断してここで動いた、ということです。 本当は、年度が切り替えてからの発表を狙っていた。来年度の業績悪化は確実、さらに五輪延期となったなら、株価は目も当てられなくなる。しかし先週の文春砲をうけ、今週仕掛けると決め、日系の証券会社には相場下支えをするよう指示。日銀は金利ゼロで3.4兆円を金融機関に貸し付け、資金繰りをバックアップ。SBGも大量の自社株買い発表で、日経225先物を下支えする動きをみせた。何だかここ数日の動き、実に辻褄が合っているのです。GPIFも円安を促す策を提示し、株高期待を醸成させる動きをバックアップします。 |
たしかに安倍晋三は「滑舌は悪い」し狡猾だが、綿密な戦略を立てるほどの知恵はない。
ヒョットすると安倍晋三を「裸の総理大臣」として祭り上げたほうが自分たちにとって都合が良いと思っている連中が官邸に闊歩しているのではないだろうか、とオジサンは思う。