新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

閣議決定された「安保3文書」を予算委員会の俎上に載せなければならない

2023年01月11日 11時45分58秒 | 防衛費

昨日、「日本に巣くう旧統一協会と電通を放置してはならない」というつぶやきの最後のほうで、オジサンはこんな一文を書いた。
 
昨年、某テレビ局社員でレギュラーコメンテーターが本番中の番組で『電通』という固有名詞を出しただけでネット上ではネトウヨ連中を中心に激しいバッシングを浴び、番組内で発言の撤回と謝罪をしたにもかかわらず、その番組への出演が当初は10日間の謹慎であったが、謹慎後にレギュラーコメンテータ-を降板させられたという忌まわしい出来事があった。
常日頃から真っ当な政権批判をしていたのだが、時の政権よりもはるかに大きな影響力を示したのが電通であったという次第。
 
あえて実名は伏せたのだが、すでに多くのメディアでも取り上げられていたのでバレバレであったのかもしれない。
 
そしてすでにこんな記事が出ていると教えてくれた人もいた。
 
ビートたけしと瀬古利彦が「玉川徹待望」発言もテレ朝は玉川を政治に触らせない方針! 安保3文書改定の日に三國シェフインタビュー

安倍晋三・元首相の国葬での菅義偉・前首相の弔辞が電通の演出だったとする事実誤認発言により、昨年10月に『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)のレギュラーコメンテーターを降板し、不定期出演となっている玉川徹氏。だが、ここにきて、玉川氏の完全復帰を望む声が一段と高まっている。
 たとえば、1月4日放送回では、番組恒例となっている箱根駅伝の生解説をおこなった元マラソン日本代表の瀬古利彦氏が「きょう、箱根駅伝ど素人おじさんがいないじゃない」と玉川氏がいないことを指摘。MCの羽鳥が「ちょっと今年はいないんです」と答えると、瀬古氏は「なんで?」と畳み掛け、「これが楽しみで来てるのに」と玉川氏の不在に不満を漏らした。
 

 また、「週刊ポスト」(小学館)1月1日・6日号に掲載されたビートたけしの連載では、玉川氏の番組レギュラー降板について「「事実確認を怠った」という意味でちょっと迂闊だったけど、それでも可哀想なところはあるよな」と言及。こうつづけている。
「権力や大企業に忖度するコメンテーターなんてつまんないし、そういうのばかりだからドンドンテレビがダメになっていく。そういう意味じゃ、こういう暴れん坊にはもっと頑張ってほしいんだけどさ」
 

 
 こうした「玉川徹復帰待望論」はネット上でも大きくなっている。というのも、岸田文雄首相は昨年末、「敵基地攻撃能力の保有」や防衛費増額の方針を明記した安保3関連文書の改定を閣議決定。さらに原発の新増設や運転期間の延長を認める方針を打ち出した。ところがテレビのニュース番組やワイドショーは、安保政策の大転換を防衛費増額の財源問題にスライドさせ、原発政策の大転換についてもエネルギー価格の高騰を強調して問題を矮小化。かたや、原発や安保問題は玉川氏が繰り返し『モーニングショー』で取り上げてきたテーマであり、「いまこそ玉川氏に鋭く切り込んでほしい」という声が大きくなっているのだ。
 だが、このような視聴者の声とは裏腹に、『モーニングショー』に不定期出演する際、玉川氏は政治的なテーマを不自然なほどにやらせてもらえていない状況にある。
 あらためて振り返ると、玉川氏が番組内で謝罪をおこない、レギュラーを降板したのは昨年10月19日。その翌日の10月20日には統一教会問題を扱ったコーナーに出演し、解散命令請求についてスタジオでレポートをおこなった。
 しかし、その後に玉川氏が番組出演したのは21日後となる11月10日。久々の登場にTwitterでは「玉川さん」「モーニングショー」がトレンド入りするなど大いに沸いたのだが、肝心の玉川氏による取材報告のテーマは「インバウンドの現状」。訪日外国人に成田空港で日本に来た目的を尋ねるという、さながら『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京)のような拍子抜けする特集だったのだ。
 だが、もっとも拍子抜けしたのは、12月16日放送回だろう。
■安保3文書改定の日に出演した玉川徹がなぜか三國シェフのインタビュー まるで幻冬舎本のパブ
 11月10日の出演以後、11月17日放送回にも玉川氏は出演予定だったが、新型コロナ感染で欠席。12月1日に元気な姿を見せてくれたが、この日のテーマは緊急承認されたコロナ治療薬「ゾコーバ」について。コロナの問題は玉川氏が追いかけてきたテーマであるため、まだ理解できるものではあったが、つづく12月16日の出演回のテーマは、なんと12月28日をもって閉店したフレンチレストラン「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三シェフのインタビューだったのだ。
 言っておくが、三國シェフのインタビューが放送された12月16日は、岸田政権が安保3文書改定を閣議決定し、戦後安保の大転換を図った日だ。そのような歴史的な政策転換がおこなわれるという日に、玉川氏がやる必要などない三國シェフのインタビューを特集するとは──。
 しかも、三國シェフといえば、幻冬舎の見城徹社長と昵懇の仲であることは有名な話で、12月14日に発売となった三國シェフの自伝『三流シェフ』の版元も幻冬舎だ。見城氏はテレ朝の放送番組審議会の委員長を務めており、テレ朝のさまざまな報道・情報番組で安倍政権に批判的な出演者が降板させられ、政権批判報道が減った背景にも、見城氏の影響があると言われてきた。
当然、安倍政権批判を繰り返してきた玉川氏に対しても、睨みを利かせてきたと思われる。ところが、“見城案件"としか思えない三國シェフのインタビューを、よりにもよって玉川氏がおこなったのである。
「玉川氏の『電通』発言問題が議題となった審議会でも、見城氏は強行姿勢をとったと囁かれています。なのに、幻冬舎から出たばかりの本の宣伝ともいえる三國シェフのインタビューを玉川氏に担当させたのは、見城氏へのご機嫌取りの意味合いがあったとしか考えられません。玉川氏は無理矢理やらされたんでしょう」(テレ朝関係者)
 当然、この12月16日の放送回で、玉川氏が安保3文書改定の閣議決定や防衛費増額について発言する場面はなし。その後、玉川氏は12月28日放送回にも出演したが、この日のテーマはコロナ後遺症だった。
■玉川徹の完全復帰を阻むテレ朝上層部 スタジオ出演が急遽キャンセルになったことも…
 あきらかに、政治的テーマを取り上げること、政治的テーマにかんする発言を封じ込められているようにしか見えない状況に追い込まれている玉川氏。その背景には、やはりテレ朝上層部による圧力があるらしい。
 その筆頭が、テレ朝の篠塚浩社長だ。篠塚社長は、報道局長時代から“テレ朝のドン"である早河洋会長の腰巾着的存在で、安倍官邸の意を受け、報道現場に露骨な圧力をかけてきた。
その忖度ぶりは早河会長よりも露骨で、玉川氏についても、早河会長が視聴率の取れる玉川氏の起用をある程度まで許容する姿勢であるのに対して、篠塚社長はストレートに降板させることを虎視眈々と狙っていると言われてきた。
 そして、「電通」発言の際も、篠塚社長はそのまま玉川氏を退社に追い込もうとしていたと見られている。
 だが、本サイトでもお伝えしたように、玉川氏の謹慎処分後、テレ朝には「玉川さんを降板させるな」という抗議電話が殺到。さらに玉川氏がテレ朝を退社するような事態となれば、これまでの圧力を暴露されるというリスクもあるため、完全降板ではなく出演回数を減らすというかたちで落ち着いたのだという。
「しかも、自民党に忖度した上層部は、復帰に際して、“玉川には政治に関わる問題でコメントさせるな"と条件を突きつけたらしい」(前出・テレ朝関係者)
 玉川氏は生謝罪をおこなった翌日の10月20日に出演、統一教会問題について解説したが、翌10月21日にも出演して、同じく統一教会問題を取り上げる予定だったという。
ところが、急遽それがなくなり次に出演したのは21日後の11月10日だった。これも「篠塚社長が20日にスタジオ出演して統一教会問題で解説しているのを見て激怒し、現場に出演そのもののストップをかけたのではないか」という見方が局内で流れたという。
  しかも、玉川復帰の障害は上層部だけではない。本来なら、こうした圧力に声をあげるべき報道局の政治部がむしろこうした圧力を後押ししている。
「報道局はもともと、記者経験のない玉川さんが脚光を浴びているのが面白くない。しかも、政治部は自民党の政治家からしょっちゅう、『玉川をどうにかしろ』と文句を言われていますからね。
政治部のボスである篠塚社長に『○○先生が玉川に怒っている』『○○先生が玉川を許さないと言っている』といった政治家の声をあげて、圧力をかけさせている節もある」(前出・テレ朝関係者)
■玉川徹不在の『モーニングショー』が政権擁護垂れ流し状態に 原発も防衛費増額も…
 不定期出演というかたちに追い込まれたばかりか、いまなお玉川氏の報道活動には厳しい制限をかけられている──。それでなくても、玉川氏がいなくなった『モーニングショー』では、ほとんど政権批判がおこなわれていない状態だ。
たとえば、防衛費にかんする問題についても、12月15日放送回では田崎史郎氏が「『エイヤ!』と決めないと決まらない」などと岸田政権を露骨に擁護。12月12日放送回にいたっては、石原良純氏と山口真由氏が“防衛費増額は当然"“増税やむなし"と喧伝する始末だった。
 無論、玉川氏がレギュラー出演していれば、こんな政権擁護が垂れ流しにはなっていなかっただろう。いや、むしろ玉川氏がいれば、岸田政権の決定を徹底批判したはずだ。
 現に、岸田政権が次世代型原発の建設を検討する方針を公表した昨年8月には、当時、レギュラーコメンテーターだった玉川氏は「いまの電力不足の問題と新増設の問題って全然関係ないですからね」とズバリ指摘した上で、地震が来て壊れないっていう原発は日本に一個もありませんから」「電気代が高くなっているという機に乗じてこんな話を持ち出したとしたら、僕は不誠実だと思うしセコイと思います、やり方が」と批判していた。
 また、防衛費GDP比2%の増額目標についても、玉川氏は「教育に予算を増やすべき」と繰り返し主張。昨年5月の「そもそも総研」では「そもそも『GDP比1%=約5兆円』という予算で何ができるのだろうか?」と題して取材をおこない、「(5兆円があれば)暮らしやすくするという意味では、病院の窓口負担がゼロになり、住宅の補助もできる、教育への投資で出生率も上がる。日本の大きな問題が解決できるかもしれない」と提案していた。
 しかも、安保3文書改定の閣議決定がおこなわれた12月16日、じつは玉川氏は東京新聞にコラムを寄稿していた。
 コラムで玉川氏は、防衛費増額にかんする議論について〈突っ込みどころが多すぎて、頭がクラクラします〉といい、国債の発行で賄おうという案を〈無謀な戦争に国民を道連れにした元凶である戦時国債と一緒。日本は過ちから学んだはずです。許せません〉と猛批判。
さらに、日本以外の先進国がこの30年でGDPを1.5〜2倍に増やした一方、日本はほとんど変わっていないことを指摘し、〈もし日本がGDPを二倍にしていれば防衛費はGDPの1%のままでも額は今、目指している二倍です。経済政策に失敗しています〉と喝破。敵基地攻撃能力についても〈さらなる軍拡を誘発するだけ。議論をやり直すべき〉と直言している。
 テレビのコメンテーターとして、本当ならばこうした政策批判を、きっと玉川氏は番組でおこないたかったはずだ。だが、肝心の玉川氏の発言は封じ込められ、テレビは政権が敷いたレールを走るだけの報道やコメントばかり。「ここに玉川さんがいれば」「玉川さんには政治のテーマをやってほしい」と視聴者が考えるのは当然だ。
 今年で玉川氏は定年を迎えるが、退職後もテレ朝と嘱託契約を結ぶのではという噂も飛び交っている。しかし、自由な報道活動を制限し、口を封じるような、どうしようもないテレビ局に残って何になるのか。いっそのこと、玉川氏はフリーとなったほうがいいのではないだろうか。

 

 
テレ朝社員ながら報道局員ではないにもかかわらず、ジャーナリストとしての矜持を持っている玉川徹なので、「自由な報道活動を制限し、口を封じるような」テレ朝と屈辱的な嘱託契約を結ぶ必要は全くないであろう。
 
むしろ、外に出ていままで言えなかった「タブー」を明らかにしたほうが、腐りきったテレビ報道界のためになることであろう。
 
この玉川徹がおそらくは「モーニングショー」の「そもそも総研」で一番やりたかったことを、軍事評論家ではなく、提灯持ちジャーナリストでもないファイナンシャルプランナーの原 彰宏が、「素人の肌感覚」で複雑な「安保3文書」の中身をかみ砕いて解説していた。
 
少々長いのだが、全文を紹介しておく。
 
敵基地攻撃も可能「安保3文書」まで閣議決定で済ます岸田政権の狡猾さ。結論ありきの防衛費増額・大増税を疑うべき7つのツッコミどころ=原彰宏
 
■反撃能力の保有を含む「安保関連3文書」を“閣議"だけで決定
政府は、臨時閣議で「国家安全保障戦略」など3つの文書を決定しました。
敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となります。
このような日本の安全保障の根幹を変更することが、臨時国会を閉じた後に閣議決定で決まりました。
戦後日本の安全保障方針が大きく転換される「“反撃能力"を新たに持つ」ことができるという決議は、私たち日本国民に説明したうえで国会で十分に議論する“必要はない"ということなのでしょうか。
「反撃能力」も持つために必要なお金を、私たちが納めた税金で賄う。あるいは(国民負担ではないという議論もありますが)私たち国民が返済しなければならない国債発行で賄うという判断に対して、私たち国民にお伺いをたてる必要は本当にないのでしょうか?
国会こそが私たち国民が選挙で選んだ議員が議論する場です。
国会での議論があってこそ、代議制民主主義において私たち国民は、政治に参加することができるというものです。
民主主義が崩壊してきている……このことはここ数年、ずっと問われていることです。
■すべてを「閣議決定」で進める政府ってどうなの?
昨年に多く見られた“すべてを「閣議決定」で決めてしまう"政府ってどうなのでしょう。行政プロセスとして国民は“蚊帳の外"になる状況って、民主主義として果たして正しいのでしょうか?
各紙世論調査では、数字割合は違えども、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に賛成の意見が多いという調査結果が出ています。
だからといって、国会審議を軽視して良いということになるのか、世論調査結果が「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有を国民が容認したことになるのでしょうか。
民主主義ってそういうものでしたっけ…。
余談ですが、「“多数決"が民主主義」ではありません。“多数決"は、あくまでも物事を決めるための手段のひとつに過ぎず、民主主義とは“広くみんなの意見を聞く"、つまり“少数意見にも耳を傾ける"ことが「民主主義」なのです。
「“多数決"が民主主義」ではありません。
そもそも、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と、呼び名を変えることに、すごく違和感を感じています。
「世界基督教統一心霊教会(略称:統一教会)」が名称を「世界平和統一家庭連合(略称:家庭連合」に変えた背景を、好意的に感じている人はほとんどいないでしょう。
それと同じ感覚がしてしまいます。
“敵基地攻撃"と“反撃"では、言葉から受け取るイメージが全然違ってきますからね。
集団的自衛権審議のときも「平和安全保障法案」と、後から“平和"という文言が付け加えられましたよね。
“平和"がつくだけで、法案の印象がぜんぜん変わってきます。
そもそも名称変さらには、そのものが持つ本質を隠す目的があるとするなら、裏を返せば、その本質が知られては困るということになりませんか。
名称変更って、どうしてもネガティブに捉えてしまいますね…。
■「安保関連3文書」を検証してみる
この決定プロセスに問題があることを指摘しながらも、当たり前のように日本が武装強化することが前提となっている風潮について、素朴な疑問をいくつかの「問い」を立てて検証していきたいと思います。
まずは閣議決定した3つの合意文書の内容を、NHKニュースをもとに確認します。
※参考:安全保障関連3文書 政府が閣議決定 「反撃能力」の保有を明記 | NHK | 自衛隊(2022年12月16日配信)
1. 外交・安全保障の最上位の指針である「国家安全保障戦略」
2. 防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」
3. 防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」
このうち、「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」には、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することを明記しています。
「反撃能力」を「必要最小限度の自衛の措置」と定義し、「専守防衛」の考え方に変わりがないことを強調するとともに、日米両国が協力して対処するとしています。
「反撃能力」はこれまで「敵基地攻撃能力」とも呼ばれ、これを明記してきたことは、これまでの「専守防衛」に限定することとの整合性も含め、日本の安全保障政策の大きな転換となります。
また、「国家安全保障戦略」には、安全保障上の課題として中国と北朝鮮のほか、ウクライナへの侵攻を続けているロシアも新たに加えられています。
焦点となっている中国の動向については、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述し、アメリカの戦略と足並みをそろえています。
ここでのポイントは「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有の明記ですが、まずは“ロシアによるウクライナ侵攻"、並びに、“アメリカの戦略に足並みを揃える"というところにフォーカスして「問い」を立ててみたいと思います。
<問1. 日本に迫っている緊急の“危機"とはなんですか?>
こんなに急いで日本の軍備を、しかもこんなに大規模に拡充する背景には、いったい何があるのでしょう?
政府見解としては、以下としています。
「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」
「(中国について)我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的な挑戦」
「(ウクライナ侵攻を続けるロシアは)中国との戦略的な連携と相まって、安全保障上の強い懸念」
ロシアによるウクライナ侵攻の文脈から「日本もウクライナみたいに他国に攻められるのではないか…」ということについて、考えてみましょう。
ロシアがウクライナに侵攻した前後で、日本における「危機感」の捉え方が変わったように思えます。言い換えれば、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、日本では安全保障の議論が高まったと言えそうです。
このことが、政府にとって「反撃能力(敵基地攻撃能力)を明記するならこのタイミングしかない」と思わせたような気がしますね。
果たして、今のウクライナは、明日の日本なのか…?
ウクライナは何もしていないのに、突然他国が軍事侵攻してきたという話なら、たしかに日本にも同じような事が起こる可能性があるといえるでしょう。
でも、ロシアがウクライナに軍事侵攻するまでに、両国の間では何もなかったのでしょうか。
NATOの東方拡大、ミンスク合意の問題など、これまで長年にわたってロシアとウクライナの間でいくつかの問題があったことは否めません。民族紛争も、たびたびあったと思われます。
いま起きている現象だけをピンポイントで捉えるのではなく、時間を巻き戻して、今日に至るまでの経緯を冷静に検証すると、果たして単純に“ロシアがウクライナを武力で攻めた"ということで説明がつくのでしょうか。
ただし、武力行使を容認するものではありません。実弾で人を殺しても良いという道理はこの世の中どこにも存在しません。
ロシアの軍事行為は、世界から責められて当然だと理解しています。
そういった問題を、今の日本は他国との間で、民族紛争のようなものが、差し迫った問題が、ロシアとウクライナの間にあるような歴史的に緊迫した緊急課題は、あるのでしょうか。
例えばロシアは、ウクライナに侵攻したことと同じように日本に軍事侵攻する可能性はあるのでしょうか。どのような理由で、ロシアが日本に侵攻すると考えられるのでしょうか。
中国や北朝鮮が日本に軍事侵攻する可能性が、本当にあるのでしょうか。どのような理由で日本に軍隊を進めるのでしょうか。
NATO非加盟国のウクライナと違って、日本には日米安保があります。つまり、日本に武力行使をすれば、それは世界一の軍事大国である米国を相手に戦うことになります。そのようなことを、ロシアや中国や北朝鮮は、敢えて選ぶのでしょうか。
いざとなったら米国は日本を救わない……そんな見方をする人もいますが、中国との間にある「尖閣諸島問題」に関しては、かつてのオバマ政権もトランプ政権も、「尖閣諸島と日米安保第5条に関するアメリカ政府の立場」を公言してきた、つまり尖閣問題は「日米安保の範囲内」というのが確認されています。
そのこと自体を、日本が独立した防衛力を持っていないことへの嘆きとする、自軍で防衛できないことへの怒りとして捉える意見もあります。
ただ事実として、日本を攻撃することは、米国に弓矢を引くことになるという証にはなると思われます。
NATOにおいても、NATO加盟国が軍事攻撃を受けたら、他のNATO加盟国が助けるということになっています。
北朝鮮は、たしかに何度も日本海に向けてミサイルを飛ばしています。でもそのミサイルの先は、日本ではなく米グアムだとも言われています。
また北朝鮮は、ちゃんと日本海に着弾するように発射しています。最新の注意を払って、日本本土に着弾しないようにミサイルを飛ばしていることでしょう。
もし何かの間違いで日本本土に着弾するようなことがあれば、それこそ米国との全面戦争になります。
余談ですが、“地球の自転"の関係で、必ずロケットは東の方向に発射するようになっているのですね。
核兵器にしても「あるぞあるぞ」と見せかけることが大事で、実際に使ったら抑止効果はなくなるという指摘があります。それはウクライナ戦争におけるロシアも同じで、軍事専門家の間では、核兵器は「実際には使えない兵器」と言われているそうです。
でも世論は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射もさることながら、ロシアがウクライナに侵攻したこと、さらには中国の台湾海峡における有事を結びつけて「日本も同じ目に合うのでは」という思いから、安全保障議論が始まっているように思えます。
でも、この前提は正しいのでしょうか。
ロシアの恐怖?
中国の侵略?
北朝鮮の攻撃?
そもそもその前提が正しいのかどうかによって、この議論の本質は変わってきます。
「問い」に戻りますが、いま盛んに言われている日本の「安全保障上の危機」の正体は、いったい何なのでしょうか…。  
<問2. 反撃能力(敵基地攻撃能力)が想定する「敵」ってどこですか?>
「国家安全保障戦略」には、安全保障上の課題として中国と北朝鮮のほか、ウクライナへの侵攻を続けているロシアも新たに加えられています。
「仮想敵国」という表現がありますが、それは明確に何処かの国を「敵国」にすることで、その「敵国」がどのように日本を攻撃してくるのかを具体的にシミュレーションをして、日本は具体的な対策を練り、そのために必要な予算を見積もることになっているのでしょうか。
なんかマーケティングにおける「ペルソナ設定」に似てませんか。ビジネスの世界では、「ペルソナ設定」があやふやな計画者や見積書は否定されます。「敵国」と指定するには、感覚や感情ではなく、きっちりとした根拠をもって捉えられているのでしょうね。
そもそも何を持って「敵」とみなすのか…。
中国とは、日本だけでなく多くの国が経済的な関係を強くしています。もはや中国なくして経済は成り立たないと言っても過言ではありません。
その中国が、本当に日本にとって「敵」になるのでしょうか。中国にとっても日本は「敵」なのでしょうか…。
もし中国が日本に軍事攻撃を仕掛ければどうなるかは、あれだけ米国と経済戦争をしてきた中国自身が、よくわかっているはずです。
中国が台湾に軍事侵攻したら、周辺国の有事として日本も中国と戦わなければならないということが言われています。そのときの中国は「米国の“敵"」になります。米国は明確に、中国が台湾に軍事侵攻したら軍隊を派遣することを述べています。
ということは、その時に日本の自衛隊が出動するのは「専守防衛」ですか、それとも「集団的自衛権」行使ですか。その時の「敵基地攻撃」って日本の“敵"ですか、それとも米国の“敵"を攻撃することになるのでしょうか。
集団的自衛権行使 × 敵基地攻撃能力 = 同盟国の敵攻撃に加担?
誰のための自衛隊攻撃能力強化?
誰のための防衛費増額?
「問い」に戻りますが、「仮想敵国」とは、具体的にどこの国で、その国が“敵"と認定される根拠は何でしょうか。どのような行動を日本に仕掛けてくることが想定されていて、その対策として日本は何をして、どれだけのお金をかけるのでしょうか…。
<問3. 「反撃能力(敵基地攻撃能力)」って、憲法の枠内の行為ですか?専守防衛の延長線上にあるのですか?>
“そもそも"という話にはなりますが、このような根本的な「問い」に関しては、もう議論は出尽くしていて、すでに解決している問題なのでしょうか。
当然、立場によって意見が異なるでしょう。自民党と公明党は「Yes」という立場で「3文書」に合意したのでしょうからね。立憲民主党は、解釈を巡って意見が党内でも分かれているようですし、共産党ははっきりと「No」ですね。
この「問い」に対する答えを求めても時間ばかりが掛かって、ある一定の答えを導き出すことはできなさそうです。
それこそ国民を二分するような議論を「閣議決定」で、国会審議を経ずに決めてしまうという行為を、どう考えれば良いのか、そちらのほうが気になってしまいます。
あっ、だから「閣議決定」なのですかね…。
<問4. 「反撃能力(敵基地攻撃能力)」発動のタイミングはいつですか?>
ここは与党側も、いま議論中だとのことです。
このようなことを明確にしないままで「反撃能力(敵基地攻撃能力)」という文言が明記されたのでしょうか。相手を殴るかどうかの判断は、拳を振り上げたときなのか、上腕二頭筋に力が込められたときなのかと言うようなものですね。でも上腕二頭筋に力が込められたことは、目視で確認できるのでしょうかね。
発動タイミングに関しては、ミサイルに燃料が込められたときに攻撃の意志があるとみなされるとか、どうやらそういう議論のようですが、それを日本側が主張したところで、日本の判断でミサイルを打ったとしても、それは国際世論で日本の「専守防衛」と認識してくれるのでしょうか。
相手がミサイルを打とうとしたから先に打ったという話を、国際世論は素直に理解してくれるのでしょうか。そもそも「反撃」の証明は、どっちの国が行うのでしょう…。
すごく素人な質問で申し訳ございません。でも素朴な疑問です。
またこんな記事があります。
政府案では、敵のミサイル拠点などをたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」について「日米が協力して対処していく」と明記。米国との安保協力を強化させる一環として、「反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整」を挙げた。<中略>
出典:敵基地攻撃、日米協力を明記 政府案、専門部隊を新設 自衛隊は「盾」、大きく変質:朝日新聞デジタル(2022年12月14日配信)
さらに記事にはこうあります。
具体的には「相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力」と説明した。
その上で、敵基地攻撃について「弾道ミサイル等の対処と同様に、日米が協力して対処していく」とした。また、日米の抑止力・対処力を強化する取り組みの一つとして、「反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整」を挙げた。
出典:同上
「日米が協力して対処」「反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整」……記事の中の「スタンド・オフ防衛能力」とは、遠方から敵を攻撃する能力で、具体的な装備は、長射程ミサイルを念頭に置くと解説しています。
日本の予算で長射程ミサイルを配備し、そのオペレートは日米強力で管理するということですか。日本の“敵"である相手のミサイル発射基地を叩くのに、日米が協力して、反撃能力などの運用調整を日米間で行うってどういうことでしょうか。
誰がどこで判断してミサイルのボタンを押すのか…。日本単独で「反撃」はできないということなのでしょうか?「敵基地攻撃能力」の“敵"って、いったい“誰"の敵なのでしょうか…。
<問5. 今の自衛隊の実力では不足なのですか?>
軍事分析会社グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)は、軍事力、財政、兵站、地理など50項目を超える要因を加味した軍事力指数軍事力指数(Power Index/PwrIndx)を用いて算出した2022年版の世界軍事力ランキングを発表しました。
それによると日本の軍事力の実力は、世界5位だそうです。
1位は「米国」で、以下2位は「ロシア」、3位「中国」、4位「インド」、そして5位に「日本」がランクインしています。6位から10位を見てみますと、韓国、フランス、イギリス、パキスタン、ブラジルと続きます。
順位だけを見れば、日本は十分な「軍事大国」と言えそうです。
グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)は、50項目もの要素を分析して、各国の軍事力に「PowerIndex(PwrIndx)」スコアを付けています。
最も完全な軍事力は「0,0000」となり、数字が小さいほど国の理論上の戦闘力は強力になります。ただし、核能力は考慮されていないそうです。
このスコアをもとに各国の軍事力の差を見てみますと
1位 アメリカ 「0.0453」
2位 ロシア  「0.0501」
3位 中国   「0.0511」
4位 インド  「0.0979」
5位 日本   「0.1195」
アメリカ、ロシア、中国はだいたい軍事力が拮抗していて、インドから差がついていくような感じで、日本から見てロシア、中国との軍事力の差は、大きいと言えそうです。ちなみに北朝鮮は30位で、スコアは「0.4621」になっています。
世界の軍事費は、2021年に初めて2兆ドルを超えたとロイター通信は報じています。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)調査によるものですが、同研究所は、世界の武器取引の動向に関する調査も発表していて、2017~2021年の武器取引量は、それ以前の5年間に比べて減ってはいるものの、米国だけは武器輸出が大幅に増加していることを伝えています。
それを伝えているのは中国新華社であることは、書き添えておきます。
※参考:世界に動乱をもたらし危害を加える米国の武器輸出増加 – 人民日報(2022年3月17日配信)
米国における軍需産業の存在が、いろんなところで話題になっていて、日本の防衛費増額、米国より大量の武器を購入することと、決して無関係ではないのかもしれませんね。
政府は、「世界5位」の軍事大国の状態から、さらに防衛費を倍増すると言っています。そのあり方に必要性はあるのか、考えさせられます。
問6. 外交の力、国連の役割、安全保障とは?
国連常任理事国であるロシアが、武力でウクライナに侵攻しました。同じく常任理事国である中国が香港に行ってきた非人道的な行為、さらにこれから台湾にしようとしていることを、国連はどう平和裏に対応することができるのでしょうか。
いま、国連の存在が問われています。
もともと安全保障の本質は、「戦争が起きたらいかにして国を守るか」という議論ではなく、「いかにして戦争を起こさないようにするのか」を議論することではないでしょうか。平和裏に国家間紛争を解決することが、国連に求められる役割だと思ってしまいます。外交能力が問われます。
自衛隊は、日本国家の安全を守るために存在するとするなら、誰のための「安全保障」かと問えば、それは“国民の安全"のためだと即答されるでしょう。
その安全保障は、他国からの侵略だけでなく、「災害国」日本においては、自然災害が起きた時に住民を守ることにも、自衛隊は大きな役割を担ってくれています。その面から、日本の誰もが自衛隊の人たちに感謝しない人はいないでしょう。
その自衛隊員が、瓦礫を取り除くための道具を、人を殺戮するための道具に持ち替えて戦地に赴くことを、誰が望んでいるのでしょうか。専守防衛として国民を守るのならまだしも、他国のために命を犠牲を強いられることの合理性を、どう考えれば良いのでしょうか。
外国で日本人が危機に面しているときに、今の法律では自衛隊員は日本人を救うことができないとか、自衛官は警察法のもとにあり軍法会議がないことの不自由さとか、改善する議論は大いに進めるべきです。現場からの訴えには、耳を傾けるべきです。
話が、取り留めのないものになってきましたが、世界における国連という役割や枠組みなどは、今後は見直すべきところにきているのでしょうね…。
■問7. 「事が起こってからでは遅い」と言うが、優先順位は正しいですか?
安全保障に関しては、事が起こってからでは遅いので事前に準備しておかなければならないという意見は理解できます。
問題は、その金額と優先度にあると思います。一言で言えば「リスクの捉え方」です。
会社経営と国家運営を一緒に論じることはできないのでしょうが、ここまで考察してきた、日本が他国からの侵略危機に備える優先度は、日本が抱える社会的課題解決と比べて、優先度は高いのでしょうか。
会社経営と国家運営は違う……それはそのとおりですが、会社経営では、状況判断を冷静に行い、適切なリソース配分が、何より重要になってくるのです。
日本の未来への投資と安全保障のためのコスト負担、今はどちらを優先すべきなのでしょう。「ゼロサム」ではないので、予算のウエイトを見直すことも重要かと思います。
だとすると、最初から「GDP比2%」という予算設定ありきの対策というのは、いかがなものでしょうね。NATOが「2%」という数字を用いているから、先進国がどうとかというのは、説得力を持つのでしょうか。
ずっと放置されてきた「少子化対策」
日本の明日を支える世代を育てる「教育への投資」
世界の頭脳に追いつく「大学への投資」「研究開発への投資」
社会制度再構築に向けての社会保障制度や医療制度への資金投入…
コロナによる貧困対策も急務ですよね。
世界と比較してもそうですが、今の日本の世界での立ち位置を上げていくには、教育や研究開発に力を入れていくことに加えて、さらにはDX推進、テクノロジー分野へのさらなる投資が重要であるのは、誰の目にも明らかです。
これらの課題解決に向けてのリソース振り分けと、安全保障への配分とを考えた上で「防衛費をGDPの2%にまで増やす」という結論になったのなら、まだ理解はできます。
それでもその判断に至った経緯や、税金を使うことは、ちゃんと国民に説明し、国会で議論すべきことです。
軍事費がこうも簡単に数字が先行して決まっていくプロセスを見ていると、なんか日本が沈没する音が聞こえるような気がしてしまいますね…。
「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しを検討
ここまで「反撃能力(敵基地攻撃能力)」を中心とした「問い」を立ててきましたが、ここからは、その周辺の話になります。
安保関連3文書では、防衛装備品の移転を円滑に行うため、「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しを検討するほか、新たに、経済安全保障の考え方などを盛り込んでいます。
日本は長らく「武器輸出三原則」で武器輸出を原則禁じてきましたが、第2次安倍政権の2014年に「防衛装備移転三原則」を制定して、条件付きで輸出を認めるようになりました。
現行の運用指針では、外国との共同開発などを除くと、輸出できる装備品を「安全保障面での協力関係がある国」に対し、「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5つに限っています。
今年3月、ロシアの侵攻を受けたウクライナへ防弾チョッキを提供するのにあたって、その運用指針を改定しています。
輸出品目を拡大したい……「地雷除去」や「教育訓練」に関する装備品に拡大するだけでなく、護衛艦や戦闘機など殺傷能力のある装備品にも拡大したいようです。
政府が装備品を提供する相手として念頭にあるのは主に東南アジアのようですが、その背景には、日本の軍需産業を育てる狙いがあるような気がしますね。考えすぎですかね…。
■防衛力整備計画の期間を「5年」から「10年」に
「防衛力整備計画」は、期間をこれまでの「5年」から「10年」に延長したうえで、前半の来年度から5年間の防衛力整備の水準を、今の計画の1.6倍に当たる43兆円程度としています。
「中期防:中期防衛力整備計画」は防衛費の総額の規模や、防衛装備品の調達目標を定めるもので、今の計画は2019年度からの5年間で、総額27兆円余りとしています。
防衛備品調達を長期で行う…なんか役所が「備品調達」ってワードを持ち出すと、なんかいろんなことを考えてしまいます。43兆円って、決して少ない金額ではないですからね。こういう細かい部分がついつい気になる、悪い癖ですね…。
能動的サイバー防御、「航空宇宙自衛隊」に名称変更
イバー被害の拡大を防ぐため、先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」の導入、それに海上保安庁について、体制を拡充し、自衛隊と連携を強化することを盛り込んでいます。
ウクライナ戦争で学んだことは、通信網が遮断されたら終わりだということです。
米宇宙開発企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏は、人工衛星に基づくインターネット接続サービス「スターリンク」をウクライナへ無償提供し続けていることで、つまり、ウクライナは「スターリンク」のおかげで、ロシアによる侵攻後も市民や軍がネット利用環境を確保できているのです。
もし日本が有事に巻き込まれた際には、何が何でも通信網は確保しなければならず、そのためには予算を立てて自前の衛星通信網を構築するか、イーロン・マスク氏と親密な関係を構築しておくことが必要ではないでしょうか。
トマホークミサイルを大量に購入することも大事ですが、それ以上に衛星通信網の構築を考えることが大事なような気がします。
世界における情報戦への対処も大事です。
サイバー領域でも対応を強化するため、自衛隊のサイバー防衛部隊などの要員を、2027年度をめどにいまの4倍以上のおよそ4000人に拡充するとしています。
また、「国家防衛戦略」では、陸・海・空だけでなく宇宙・サイバー・電磁波の領域も含めて対処できるよう「多次元統合防衛力」を抜本的に強化するようで、宇宙の領域での対応を強化するため、2027年度までに航空自衛隊は「航空宇宙自衛隊」に名称を変更するようですよ。
自衛隊の運用を一元的に指揮する常設の「統合司令部」を新たに設置します。
宇宙にまで自衛隊を広げるとなると、どれだけ予算を拡大しなければならないのでしょうかね。今の予算でも足りないでしょう。
こんなことも閣議決定していたのですね…。
2027年度に防衛費と関連経費を合わせてGDP2%の予算措置を講じる
ここからは「お金」の話です。
改めて「安保関連3文書」は以下の3つでした。
1. 外交・安全保障の最上位の指針である「国家安全保障戦略」
2. 防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」
3. 防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」
これらに5年間で総額およそ43兆円を確保します。現行防衛費が5年間で約26兆円ですから、増額部分は17兆円になります。
報道によると、「国家安全戦略」と「国家防衛戦略」に明記された、敵の射程圏外から攻撃できる「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の中心になる「スタンド・オフ防衛能力」の分野におよそ5兆円を充てる方針です。
また、航空機や艦船といった装備品などの維持整備におよそ9兆円、自衛隊の施設の老朽化対策などにおよそ4兆円、弾薬や誘導弾の購入におよそ2兆円を充てる方針です。そして無人機、宇宙、サイバーの分野にそれぞれおよそ1兆円を計画しています。
政府はいまより増やす防衛費約17兆円の財源として、以下で対応すると説明しています。
・歳出改革
・決算剰余金の活用
・「防衛力強化資金(仮称)」の新設
それでも不足する部分は「税制措置」で対応すると。つまり、「増税でまかなう」考えを示しました。
■反撃能力(敵基地攻撃能力)に5兆円
増額17兆円のうち、約5兆円が「反撃能力(敵基地攻撃能力)」にかかわる兵器費用です。
反撃能力(敵基地攻撃能力)に必要なのは「スタンド・オフ防衛能力」、遠方から敵を攻撃する能力で、具体的には「長射程ミサイル」をイメージするものです。
防衛費増額のポイントは「スタンド・オフ防衛能力」にお金をかけることだと、岸田首相も強調しています。

陸上自衛隊保有の「12式地対艦誘導弾」能力向上(射程を大幅に伸ばす)量産費用約1兆円、JASSM 戦闘機に搭載する射程距離を伸ばすミサイル購入約1000億円、国性巡航ミサイル「トマホーク( 30年前の湾岸戦争使用されたもの)」購入額等は未定となっています。
“射程を延伸する"「12式地対艦誘導弾」能力向上や「JASSM」ですが、TBS「サンデーモーニング」の報道によれば、前者の射程距離は1,000Km、校舎は900Km、トマホークミサイルは2,500Kmだそうです。
中国を「仮想敵国」と想定してるとして、中国のミサイル発射基地は、どうやら内陸部のゴビ砂漠にあるという報道があります。Googleによると、日本からゴビ砂漠までの距離は「2,921Km」だそうです。
※参考:中国の砂漠に「仮想・横須賀基地」 ミサイル実験場か [米中争覇] – 朝日新聞デジタル(2019年4月7日配信)
本当に中国ゴビ砂漠にミサイル発射基地があるのかどうかは定かではありませんが、もし敵基地攻撃を目的とした武器購入なり改良なりであったとしたら、「なぜトマホークなの?」という、素朴な疑問が浮かんできます。
2027年度までに最大500発のトマホーク購入が検討され、相手の発射拠点をたたく手段とするようですが、トマホークは、もう開発から40年以上経過しており、実戦での効果を疑問視する声も出ています。「米国の不良在庫処分」なんて揶揄する声も見られます。
さらに、射程が2,000キロから3,000キロとされる「極超音速ミサイル」も開発し、2030年代に配備するとしています。
そのほかに、「防衛力整備計画」では、イージス艦や戦闘機など、自衛隊の主要な装備も増強するとしています。
航空自衛隊の戦闘機については、現在の計画のおよそ290機の体制からおよそ320機の体制に増やすとしています。F15の退役を進める一方、レーダーに捕捉されにくいステルス性能などを備えたF35を5年間で65機調達するということです。
次期戦闘機については、F2の退役が始まる見込みの2035年までに配備を始められるよう、5年間でおよそ7,700億円をかけてイギリスとイタリアとの共同開発を進めるとしています。
米国からの武器購入は「米国のFMS(対外有償軍事援助)を利用し兵器の購入を進めている」と、ジャーナリストの半田滋氏は述べています。
※参考:価格は言い値、過払金も未精算…日本の防衛費増大の裏にある米国製兵器“爆買い"問題 – NEWSポストセブン(2022年12月13日配信)
FMSは米国の武器輸出管理法に基づき、米政府との直接取引で装備を購入する仕組みで、米国製の最先端兵器を購入できる反面、米国の「言い値」で価格が決まることや「納期」の遅れ、実際の費用が見積価格を下回った時に生じる「過払金」の未精算もたびたび発生しており、会計検査院が同制度の問題点を指摘していると、記事で述べています。
直接民間企業から買うんじゃないんだ?米国の軍需産業が米国政府に依頼して武器を売る?疑問はどんどん出てきます。
日本は米国からしか、兵器を買うことはできないのでしょうか。購入価格は、比較検討できないのでしょうかね…。
令和5年度与党税制大綱には「防衛費増額のための増税」とある
令和5年度与党税制改正大綱が、2022年12月16日に取りまとめられました。
大綱決定前の話題は、もっぱら防衛費増額に伴う財源として税制をどう変えるのか、法人税、所得税、たばこ税を増税する制度変更でした。
大綱では「第一 令和5年度税制改正の基本的考え方等」において「P.22」に増税率が書かれています。
1. 法人税
法人税額に対して、税率4〜4.5%の新たな附加税を課す。
2. 所得税
所得税に対し、当分の間、税率1%の新たな附加税を課す。
家計状況考慮により復興特別所得税の税率(現行2.1%:2037年まで課税)を1%に引き下げるとともに、課税期間を延長する。
3. たばこ税
1本あたり3円の引き上げ
以上の措置の施行時期は、令和6年以降の適切な時期とする
防衛財源の確保に向けて「歳出・歳入両面から安定的な財源を確保する」とし、増税について「2027年度に向けて複数年かけて段階的に実施し、2027年度に1兆円強を確保する」と明記しました。
増税「1兆円」ですか。附加税……復興特別所得税の付け替えのような…?しかも、復興特別所得税の税率を下げて課税期間を伸ばすって?なんか全体的に“こすい"感じがするのですけどね。
■反撃能力を持つ根拠「日本の危機」の正体とは?
最後に…。
これだけ巨額な防衛費が必要というのは、すでに購入している米国兵器の「兵器ローン返済」に必要なのではないかという話もあります。
トマホークも、500発買う約束を、もうすでにしているのではないでしょうか。
安倍政権のときに、トランプ大統領との「日米物品貿易協定」で、日本の自動車産業を守るために、米国から大量の兵器を買うことを受け入れたということもありましたね。
反撃能力は、どのように表現を変えても「敵基地を攻撃するぞ」というファイティングポーズを取ったことにほかなりません。そうなると相手国の標的にされるのは間違いありません。
戦争をしない、手を出さないということで反撃されないのでしょうが、敵基地を攻撃すると明言しているのですから、間違いなくもう標的にされているということですね。
日本の安全保障を考えることは重要です。
社会学者の宮台真司東京都立大学教授は「重武装中立が望ましい」とおっしゃっておられます。「重武装」が抑止力になる…。
抑止力って何なのでしょう。外交って何なのでしょう。
防衛問題を、議論から避けてはいけません。ただ冷静に、それこそ産業界の利権がらみで、支持者層の思想を忖度して議論すべき問題ではありません。まあ、そういう言い方をすれば、なにも安全保障に限ったことではなくすべてそうなんですけどね。
安全保障を考えるとき、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」を必要とする前提となった「日本の危機」の正体を、もう一度よく考えてみましょう。
これで日本が、“戦争をしない"国から“戦争をする"国になってしまって良いのでしょうか。これも立派な「安全保障」議論だと思いますね…。


 
今月23日に召集される通常国会。
 
6月21日までの150日間の期間中にぜひ野党は突っ込みどころ満載の下記の7つの質問を予算委員会で岸田文雄と防衛相に問いただし、特に岸田文雄は国民が納得できるようにお得意の「丁寧な説明」をしてほしいものである、とオジサンは思う。  
 
<問1. 日本に迫っている緊急の“危機"とはなんですか?>
<問2. 反撃能力(敵基地攻撃能力)が想定する「敵」ってどこですか?> 
<問3. 「反撃能力(敵基地攻撃能力)」って、憲法の枠内の行為ですか?専守防衛の延長線上にあるのですか?>    
<問4. 「反撃能力(敵基地攻撃能力)」発動のタイミングはいつですか?>    
<問5. 今の自衛隊の実力では不足なのですか?>
<問6. 外交の力、国連の役割、安全保障とは?>
<問7. 「事が起こってからでは遅い」と言うが、優先順位は正しいですか?>     

 

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