新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

国際紛争を解決できる救世主はあらわれるのか

2023年06月13日 12時02分08秒 | 安倍外交

ポンコツ振り丸出しのマイナンバーカードを巡るトラブルで、デジタル庁の河野太郎は「自らの処分をうんぬん」と言っていたらしいが、岸田文雄の、「岸田首相、河野デジタル相に対する更迭要求を拒否『職責を果たしてもらいたい』」との一言で、それが国民を欺くパフォーマンスであることがバレテしまった。
 
そして出来損ないのマイナンバーカードにますます個人情報を集めようと画策している。
 


 
こんな運動も出現しているらしい。
 

そして、「マイナカード紐付け大失敗が致命傷に。いま総選挙に踏み切れば岸田政権終了の危機到来へ」となれば大喝采なのだが、岸田文雄の周辺が躊躇している解散・総選挙なので、そんなにうまくいくことは期待できない。
 
さて、国際紛争の話になると国内の年金暮らしのオジサンなどは海外情報には疎いのだが、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治による、こんな記事には興味が出てくる。
 
完全に孤立した独裁者プーチン。敗戦濃厚で加速する国際社会の“ロシア離れ”
 

■ウクライナの本格攻勢に徹底攻勢の露軍。プーチンは核を使うのか
ウ軍は、形成作戦を終え、本格的な攻勢のフェーズに入ったようである。3つの地域で攻勢に転じている。バフムト、ドネツク西部、ザポリージャ東部であり、特にザポリージャ東部がメインのようである。
ハルキウ方面
ベルゴロド州ノバヤ・タボルジョンカとシェベキノに親ウ派軍団がウクライナ領に撤退した。
ロ軍は、大規模な増援部隊をシェベキノやノバヤ・タボルジョンカに送ってきたことを確認して、撤退した。
この侵攻目的がロ軍の分散を謀ることであり、目的は達したことになる。
バフムト方面
ウ軍はバフムト北西郊外で、M03号線を市内方向に進撃して、ロ軍は潰走して、市内に向かっている。M03号線の北側にもウ軍は攻撃して確保している。ウ軍戦車がバフムト方面への攻撃でロ軍を断ち切って前進を続けていると、シルスキー司令官は言う。
ベルキウカ貯水池に向けて攻撃してるウ軍は、ベルキウカ市内に到達して、市街戦になっている。一部ウ軍部隊は、パラスコビウカに向けて攻撃中である。
ロ軍はこの地域に増援を送っているが、ウ軍戦車の前進を止められないでいる。
トリボボバシュリフカにいるロ軍は孤立する危険性があり、撤退するべきであるが、オリホボバシュリフカに攻撃して、ウ軍に撃退されている。
ベルキウカに向かうウ軍の一部が、ヤヒドネに攻撃をしている。
バフムト市内のロ軍は攻撃なしで、防備を固めている。
バフムト南西のウ軍第24と第3突撃旅団はクリシチウカやアンドリウカ方向に攻撃しているが、とうとう、クリシチウカからバフムトの連絡道路を切断した。このため、ロ軍は、ウ軍攻撃部隊にテルミット焼夷弾を撃ってきたが、野原では効果が薄いようである。
毎日1km程度の前進をしているので、バフムト包囲が近いようである。
ボハレダラ方面
ボハレダラ南東のノボドネツクをウ軍は奪還して、オキチャブルスクに向けて攻撃をしている。もう1つがウ軍はブラホダトネを奪還している。
そして、ドネツク州の州境に近いヴェリカ・ノボシルカ付近のロ軍の防衛線が、およそ約20kmが後退したというが、攻撃開始は6月4日であり、1週間での成果である。しかし、今のところ、ここがメインではないようである。
しかし、まだ、メイン部隊が投入されていないことで、まだ、分からない。
ザポリージャ方面
ロ軍陣地が準備している3重構成防御網のザポリージャ東部にウ軍は攻撃した。このため、大きな損害を出している。ウ軍のザポリージヤ攻勢に伴い失った兵器は、現在のところ
3x Leopard 2A6(破壊1,放棄2)
4x M2 Bradley(放棄)
1x VAB APC(放棄)
1x Oshkosh M-ATV MRAP(放棄)
であり、防御の厚い所を攻撃するので、損害は出る。まだ、初期段階で、この被害であるから、今後も大きな損失になることが確実である。
放棄車両は、砲撃でやられた車両のそばを通り、地雷でやられたが兵員装甲車は、対地雷対策があり、兵士は生存している。最初の部隊は、地雷原突破で地雷除去後で塊になって進撃中に砲撃を受けたことが原因である。しかし、レオパルド2の1両はロ軍戦闘ヘリの対戦車ミサイルを受けた可能性がある。
■F-16の供与遅れでウクライナが被った大損失
攻撃地点の1つが、ウ軍はストジョベを南を進行中で、機甲部隊と機械化部隊が進撃している。
もう1つが、リビノピリを攻撃中であるが、ロ軍の踏ん張りでウ軍は陣地を突破できずに、苦戦中。
もう1つが、ノボダリウカの南にウ軍が攻撃して、ロ軍陣地を攻略中。
もう1つは、ロボティネを突破して、市内に入った。ネスチリアンカとコパニはロ軍陣地を突破できていない。
もう1つは、ロワコベに入り、夜襲をかけて市全体を奪還した。
最後に、オリヒウから東に向かったウ軍であるが、マラトクマテから南東に向かったが、8日、逆襲に合い、電子戦でレーダーをかく乱され、無人機を無効化され、ウ軍防空部隊を叩かれて、砲撃着弾点に入ったところで砲撃に会い、装甲車両を4両、レオパルド2を2両、地雷除去車2両を失った。
それと、戦闘ヘリがスティンガーの射程外から対戦車ミサイルを打ち、もう1両のレオパルト2戦車が被弾して、乗員も戦死したようである。砲撃と地雷損傷のブラッドレーの乗員は逃げられたようだ。このため、2個小隊の損害が出た。
8km先の多数の戦闘ヘリからミサイルが飛んできた。ウ軍の想定外の数であり、電波妨害のレベルも高く、防空システムのレーダーを無効化されたようだ。ドローンの運用もできなかったようだ。
このため、部隊を後退させたようで、この方面での第1攻撃は失敗であったことになる。プーチンも「ウ軍を撃退した」と述べている。
その後9日は、この陣地を迂回して、夜間攻撃などでノボカリウカ、ノボクロフカ、ベルボブ付近で、激しい戦闘になっている。
今の所、この方面がメインようであるが、一番難しいコースであり、ここを進むと、トクマクからベルジャンスクのルートになる。
ロシア側から見て、ザポリージャ戦線でウ軍の車両約50両が前進してきているとの報告がある。
このため、ロ軍は、増援部隊として、第10軍団の9個機甲旅団を送ってきている。ポロフィーに到着したという。
このため、戦車戦になり、大激戦になることが確実である。
ウ軍は航空優勢がなく、攻撃するのでロ軍戦闘ヘリの待ち伏せ攻撃に合い被弾した。これはF-16の供与が遅れて、損害が大きくなることは事前にわかっていたが、それでもウ軍に大きな損失を与えている。
もし、F-16数十機のエアカバーがあれば、ロ軍戦闘ヘリなど前線から数十km以内に近寄れなかったのですが、残念ですね。
トクマクは鉄道の拠点であり、トクマクを奪えば、ロ軍の東部からザポリージャやヘルソン南部への補給を断つことができる。トクマクの奪還は大きいことになる。よって、ロ軍も全力で反撃してくる。
この状況で、プーチンは9日、ウ軍の大規模な反転攻勢が「間違いなく始まった」とし、しかしロ軍の応戦によりウ軍は「どの戦線でも目標を達成できていない」と強調し、撃退に自信を見せた。ウ軍は予備兵力を投入し、反攻が続くとみて兵器増産を急ぐと表明。
また、攻勢をかけるウ軍に、ロ軍の3倍を上回る「著しい損失」を与えたとした。
しかし、「確かに現代的な兵器が足りない」と述べ、ロ軍に高精度のミサイルや新しい戦車などが不足していることも認めた。
一方、英国防省は10日、過去48時間に同国の南部で大規模な作戦を実施し、「いくつかの地域では前進し、ロシアの第1防衛線を突破した可能性が高い」とした。
ゼレンスキー大統領も10日、「ウクライナで反攻と防御の軍事行動が取られている」と述べ、ロシアに対する反転攻勢を開始したことを初めて認め、作戦に自信を示したが、一方で「どの段階にあるかは明言しない」とも述べ、作戦の詳細には言及しなかった。
■証明されつつあるロシア軍のダム破壊
カホフカダムが、6月6日に破壊された。ウクライナ保安局は9日、カホフカ水力発電所のダムをロシアの「破壊工作グループ」が爆破したことを証明する通話を傍受したとし、証拠とする1分半の音声データを投稿。2人の男がダム破壊についてロシア語で話し合っている。
また、米当局者は、赤外線センサーを搭載した衛星が大爆発と一致するレベルの熱を検知していたという。
さらにノルウェーの研究財団によると、ルーマニアの地震観測所のデータは爆発があったことを示しており、ダムが決壊したという報道と一致するタイミングという。
ダム破壊には内部からの爆発が必要と米構造専門家は言うので、どんどん、ロ軍が破壊したことが証明されつつあるようだ。
このダム破壊で4万5,000人が避難必要となっているが、ウクライナ側の住民は避難ができるが、東岸のロシア支配地オレキシの住民の避難が、ロシア占領当局の外出禁止でできない事態になっている。
その上、ロシア非常事態省は、ロシア占領地ヘルソン州オレシキへのボランティアの立ち入りも拒否している。
さらに、洪水中で避難したヘルソン市内の人に対して、ロ軍は砲撃をしているため、少なくとも2人が死亡し、9人が負傷した。ウ軍はロシア占領地オレキシの住民の避難も進めているが、砲撃があり苦渋している。
今後、このダム破壊で、クリミアやヘルソン南部の農業地帯に水がなくなり砂漠化する危険性と、ザポリージャ原発の冷却水が数か月後になくなることが心配である。
このダム破壊で、ザポリージャ戦線での反攻に合わせて、ウ軍は渡河作戦を計画していたが、当面渡河ができなくなるが、10日も過ぎれば水は引くので、その時はロ軍陣地もなく、前線突破ができることになり、ウ軍はザポリージャの前線より、こちらの攻撃の方が成功率が高くなる可能性もある。
その上、ドニプロ川の渡河はできないと、ヘルソン州に展開するロ軍をザポリージャ州に回すので、狙い目ではある。
また、キエフ市長クリチコは、「大型飲料水タンク、フィルター、食料キットなど、1億フリヴニャの量でヘルソン地域への財政援助の割り当てに関する決議案を提出するという。
日本も約7億円の被害援助をすると表明した。赤十字や国連もこの災害に援助をするになるが、一番のネックがロ軍の砲撃であろう。
■露軍サイドに配備されていた中国製装甲車
クピャンスク方面で、ロ軍はマシュティフカを占領後、南に攻撃を続けているが、撃退されている。
リシシャンスク方面では、ロ軍は、ビロホリフカへの攻撃を中止した。ここの部隊をベルゴロド州の防衛に転用した可能性がある。
反対に、ウ軍がヤコブリフカに攻撃をしている。ロ軍は撤退しているので、T1302号線を通り、バフムト方向に向かう可能性がある。
アウディーイウカ方面で、ロ軍は要塞とプレボマイスクに攻撃したが、撃退されている。
マリンカに、チェチェン軍を投入して攻撃したが、撃退されている。チェチェン軍に大きな損害が出ている。そのチェチェン軍には、中国製の「タイガー」という11人乗りの装甲車が配備されている。中国はウクライナ侵攻に対し中立の立場を強調していて、ロ軍にもウ軍にも武器を提供していないと主張している。
ロ軍占領地である港湾都市ベルジャンシクでは、連日大規模な爆発が複数回、発生している。8日は燃料備蓄所が爆発・炎上した。
ルハンスク市では、工業地帯をストームシャドーで攻撃されて、軍車両の修理工場が爆破された。
ロシアのウファでは鉄道駅付近で火災が発生、約60立方メートルの燃料が燃えている。
逆に、10日朝未明のロ軍によるウクライナへのミサイル、ドローン攻撃で、ウ軍は巡航ミサイル6発中4発、イラン製自爆ドローン16機中10機の撃墜を報告した。キーウの防空は相当なレベルに達しているものの、他は西側の防空ミサイルも足りず、被害が大きくなっている。
イランで製造されたドローンはカスピ海に面するアミラバードから、ロシア南部のマハチカラに海上輸送され、ウクライナの北部と東部に近いロシア領内の各拠点に運ばれ、首都キーウ(キエフ)への攻撃に使われているという。この輸送経路を空爆しないと、ロ軍の空襲はなくならない。
■ロシア領内攻撃のためミサイル独自開発に動くウクライナ
ウ軍へ米国は、最大21億ドル相当の新たな支援策を発表。パトリオット、防空システム、HAWKミサイルの追加弾薬、砲弾、プーマドローンが含まれる。しかし、一番必要なのが、F-16などの戦闘機である。
ウ軍の大攻勢は、7月のNATOサミットまでには、成果が欲しいが、現時点で見ると、ザポリージャ戦線の突破は、そう簡単ではないように見える。
カナダのトルドー首相がキーウを訪問し、76両のセネター装甲車を含む5億ドルの援助のほかに、カナダがロシアから差押さえたAn-124輸送機をウクライナに引き渡すとのこと。
また、ロシア領内を攻撃するために、ウクライナは、射程1,000キロ以上のミサイルを独自に開発製造するという。西側兵器の供与にはロシア領内への攻撃に使用しないという条件があるためだ。
■ロシアの負けを見越し進む各国のプーチン離れ
ベルゴロド州知事が、ロ軍の増援部隊がなく、プリゴジンに援助依頼をしたことが問題視されて、6月4日にクレムリンで会議が開かれ、地方自治体に対する完全な統制が導入されることになった。自由な発言もできなくなったことになる。
プーチンは、ベラルーシへの核兵器の配備は7月7日から8日の準備完了後に開始されると述べた。その代わりに、ルカシェンコ政権は、年間で131.5千トンの弾薬をロシア連邦に渡した。
アイスランドは、モスクワの大使館を閉鎖するとした。国交断絶ということになる。ロシアの負けが近いので、多くの国がロシアから離れていく。
ドイツのショルツ首相は10日、プーチンと近々話をするつもりだと発言した。同時に同氏は、公正な平和の前提条件はロシアによるウクライナ領からの軍の撤退でなければならず、それは理解せねばならないことだと強調した。
ザポリージャでのロ軍の負けが確定したら、停戦交渉になるということである。どこかで、停戦の交渉を開始しないといけない。
ウ軍は、今の兵器を用いてはロシアへの本格的な侵攻はできないことで、ロシアを全面的に負かすことはできないので、ロ軍がウクライナ領内からいなくなれば、停戦となるしかない。

 
しかしながら、記事を熟読してみても、具体的な和平への道筋は全く素人にはわからなくなっている。
 
それならば、航空自衛隊で階級的には上位から3番目の元空将補というまさに職業軍人であった横山 恭三のこんな記事はどうなのだろうか。
 
日露戦争と朝鮮戦争から見たウクライナ戦争終結の方法
和平交渉か休戦協定か、仲介役を務める国、国連の役割

 
■1.戦争終結の流れ
伝統的な戦争終結方法は、休戦交渉、休戦協定の締結、和平交渉、平和条約(または講和条約)という経緯をたどるとされる。
 ここでの休戦協定は、和平交渉の間の敵対行為を停止させる軍事的側面にとどまり、和平交渉が決裂すれば敵対行為が再開される。
また、休戦には全般的休戦と部分的休戦がある。
これに対し、平和条約は領土や賠償など武力紛争の政治的・経済的・社会的側面を包括的に扱うものであり、和平交渉が成功した結果として締結され、これにより戦争は終結する。
しかし、現実はその通りにはなっていない。
後述する朝鮮戦争では、休戦協定が締結されたが、平和条約は未だ締結されていない。
また、日露戦争では講和会議の最終段階で休戦協定を締結している。
ちなみに、「停戦」であるが、「停戦」と「休戦」は、同じ意味で使われることも多く、違いはそれほどはっきりしていない。
■2.戦争終結の実例
(1)朝鮮休戦会談(中略)
 
 (2)日露講和会議(中略)

■3.ロシア・ウクライナ和平交渉の見通し
(1)仲介者
 現在、中国の習近平国家主席とブラジルのルラ・ダシルバ大統領が和平交渉の仲介に意欲を示しているが、両者ともロシア寄りの言動をとっており、筆者は両者とも不適格であると考える。
 和平交渉の仲介者は中立でなければならい。そこで、筆者は国連とトルコによる仲介を期待したい。
 2022年7月、国連とトルコの仲介で、同年2月のロシアのウクライナ侵略以降、途絶えていたウクライナの穀物輸出が、国連、トルコ、ウクライナ、ロシアによる4者合意により黒海を通じた輸出を再開した。
 この4者合意による穀物輸送の航路の安全確保というのはある意味で休戦協定である。
 国連とトルコには、この4者合意を取り纏めた経験を生かして、和平交渉にも頑張ってほしい。
 本来、和平交渉は、当事国が直接交渉すればよいのであるが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍がウクライナ領から撤退しない限りロシアと対話しないとの立場を明言しているので、仲介者がいないと交渉は始まらないであろう。
(2)早急に開始すべき部分的休戦協定
 6月6日、ロシアが占拠するウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが爆破された。
 ジュネーブ諸条約の第1追加議定書の第56条(危険な力を内蔵する工作物および施設の保護)は、次のように規定している。
危険な力を内蔵する工作物および施設、すなわち、ダム、堤防および原子力発電所は、これらの物が軍事目標である場合であっても、これらを攻撃することが危険な力の放出を引き起こし、その結果文民たる住民の間に重大な損失をもたらすときは、攻撃の対象としてはならない。
 明らかな国際法違反である。国際法はいとも簡単に踏みにじられている。
 さて、ウクライナのザポリージャ原発は現在ロシア軍が占拠していて、今後も周辺で激しい戦闘が予想されることから、事故などの危険性が高まっている。
 国際社会は、できる限り早くザポリージャ原発の安全確保のためザポリージャ原発周辺地域の休戦交渉を開始しなければならない。
 この休戦交渉の仲介役は、穀物輸送船の航路の安全確保に成功した国連(IAEAを含む)とトルコに期待したい。
 この際、交渉対象にはチェルノブイリ原発も含めるべきである。
 原子力周辺地域に限定した休戦協定であれば、ロシアとウクライナ両者の妥協点を見つけることも可能であろう。
 原子力事故の怖さを知っている日本が、この休戦交渉の早期開始を国際社会に訴えるべきである。
 筆者は、この休戦が成立した場合には、国連は総会決議により第1次国際連合緊急軍のような平和維持部隊を派遣すべきであると思っている。
 3)休戦交渉または和平交渉
 これから始まる大規模な反転攻勢でウクライナ軍が大勝利を収めれば、ウクライナは休戦協定または和平交渉を有利に進めることができる。
 休戦協定になるか和平交渉になるかは、ウクライナ軍が反転攻勢でどの程度失地を回復できるかである。
 2つのシナリオが考えられる。
第1のシナリオ:
 ウクライナの攻勢を受け、大部分のロシア軍がウクライナ領土から撤退する。この場合は和平交渉が開始される。
第2のシナリオ:
 ウクライナの攻勢にもかかわらず、ロシア軍がほぼ現在の占領地を維持する。この場合は休戦交渉が開始される。
 休戦交渉も和平交渉も仲介者は国連とトルコで、場所は第5回停戦交渉が行われたイスタンブールである。
ア.シナリオ1の和平交渉の場合
 主要協議事項は、①捕虜と強制移住者(子供を含む)の返還、②ロシア軍のウクライナ領内からの撤退、③ロシアがウクライナに払う賠償金および④戦争犯罪等の処罰となるであろう。
 ①については、捕虜等に対し本国への帰国を希望するかどうかについて直接確認するために朝鮮休戦協定のような中立な送還委員会を設立する。
 ②については、ウクライナは、ロシア軍のウクライナ領土からの完全撤退を要求するであろう。
 一方、ロシアは、クリミアの併合承認や、親ロシア派の武装勢力が事実上、支配している東部ドンバスの独立承認などを求めてくるであろう。
 最後までロシアが譲歩せず、ウクライナが和平交渉の成立を優先するならば、筆者の考える妥協点は、ロシア軍は2月の侵攻開始前のラインまで撤退し、クリミアの併合承認や東部ドンバスの独立承認の問題は今後15年間で、外交交渉で問題解決を図るとするしかないであろう。
 ③については、戦争による損害の賠償金は通常、敗戦国が支払うが、ロシアは敗戦国の立場を認めず、支払いを拒否するであろう。
 2022年9月、ウクライナのシュミハリ首相は、7500億ドル(約103兆円)が必要になるだろうと述べた。
 ウクライナはこのような巨費を単独では調達できないし、ロシアからの賠償金も当てにできない。
 よって、世界銀行、欧州投資銀行(EIB)、欧州復興開発銀行(EBRD)といった国際開発機関が資金供給する必要がある。西側各国政府(日本を含む)、欧州連合(EU)の貢献も求められるであろう。
 ④戦争犯罪等の処罰については、自国で裁判可能な場合以外は、国際刑事裁判所(ICC)に捜査を付託するしかない。
 ICCは、「集団殺害犯罪」「人道に対する犯罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」を行った個人を裁く、常設かつ独立した裁判所である。
 2023年3月17日、ICCは戦争犯罪の容疑でロシアのウラジーミル・プーチン大統領に逮捕状を発出した。
 しかし、ICCは容疑者不在の「欠席裁判」を認めないため、訴追には容疑者の逮捕と引き渡しが不可欠である。

 ウクライナはプーチン容疑者をICCに引き渡せと要求するであろうが、プーチンが失脚しない限りその可能性はほとんどない。
イ.シナリオ2の休戦交渉の場合
 休戦協定は、最終的な平和解決が成立するまでウクライナの領域(領土・領空・領海)における戦闘行為の完全な停止を保証するものである。
 主要協議事項は、①捕虜と強制移住者(子供を含む)の返還、②休戦ラインの設定、③休戦を監督する機関の設定となるであろう。
 ①については、上記和平交渉と同じである。
 ②については、ウクライナは昨年2月24日の侵攻開始前のラインを要求するであろう。一方ロシアは現在の両軍が対峙している接触線を休戦ラインにすることを要求するであろう。
 ここで、仲介者である国連、トルコの役割が重要である。
 国際法を順守するようにロシアを説得できるかどうかである。両者が譲歩しない場合は、休戦交渉は決裂するであろう。
 ③について筆者は、国連は総会決議により第1次国際連合緊急軍のような平和維持部隊を派遣すべきであると思っている。日本もこの平和維持軍へ要員を派遣するべきである。
 さて、話は変わるが、ゼレンスキー大統領はロシアによる再侵略の防止のために「キーウ安全保障協定」を提案していた。
 具体的には、「キーウ安全保障協定」と呼ばれる法的拘束力のある条約を米欧やカナダ、トルコ、オーストラリアなどの保証国と結び、保証国は武器や技術の輸出、軍事訓練などでウクライナの防衛力を高める。
 ウクライナが将来に再び攻撃を受けた際は政治、経済、軍事面で支援する。
 最近、NATO(北大西洋条約機構)は、ウクライナに対して長期的な安全保障を提供する新たな枠組みについて検討している。
 これは、イスラエルとの関係をモデルにした安全保障協定といわれる。7月にリトアニアで開かれるNATO首脳会議の主要議題になる見通しである。
■おわりに
「戦争は始めるより終わらせる方が難しい」という言葉がある。
 1904年に日露戦争が始まったとき、日本の為政者には終戦の絵図も念頭に入っていた。
 開戦が決まった直後、前司法大臣の金子堅太郎を米国に派遣した。金子はハーバード大学に留学したとき、セオドア・ルーズベルトと同窓であり、そのとき以来、金子とルーズベルトは親友であった。
 この目論見は成功した。
 ロシアはルーズベルトの斡旋に応じ、両国は1905年にポーツマス条約を結んで講和した。
 一方、戦争の終結のことを考えずに太平洋戦争に突入した日本は、敗戦の色が濃くなった戦争末期に、ソ連仲介による和平工作やスウェーデン仲介による和平工作などに動いた。
 日本政府は、対日参戦を密約(1943.10.30モスクワ会談)したソ連仲介による和平工作を1945年6月8日の御前会議で正式に決定した。
 案の定、和平工作は上手くいかず、無条件降伏を受諾することとなった。
 ところで、ウクライナの休戦交渉または和平交渉であるが、筆者は、仲介役には国連事務総長が最適だと思っている。
 かつて1953年から2代目の国連事務総長の地位にあったスウェーデン人のダグ・ハマーショルド氏は、危機の平和的解決に尽力し、国際の平和と安全を維持するという国連の目的の遂行に寄与した。
 しかし在職中の1961年9月18日、コンゴ問題の和平ミッション遂行中、飛行機事故に遭って帰らぬ人となった。彼は、困難な国際紛争の解決に尽力し、国際社会から高い評価を受けていた。
 現事務総長のグテーレス氏には、これまでのところ、ハマーショルド氏のような積極的な行動が見られない。
 国連憲章は事務総長に対し、国際の平和と安全を脅かす問題が生じた場合、安全保障理事会に注意を喚起する権限を与えている。
 安全保障理事会が機能不全に陥り何の行動も取れないならば、事務総長自らが行動すべきであろう。それに異を唱える国はないであろう。
 グテーレス氏は、今すぐキーウとモスクワを訪れ、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領と会い、ザポリージャ原発周辺地域の休戦のため仲介の労を取るべきである。
 筆者は、事務総長がそれをできないならば国連は解体すべきであると考える。
 かつて、わが国をはじめ国際社会は、国連に大きな期待を寄せていた。しかし、今、わが国のみならず国際社会は、国連に大きな期待を寄せていない。
 国連を解体し、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する民主義国家で新たな国際機関を創設することを検討すべきであろう。


 
「ウクライナの休戦交渉または和平交渉であるが、筆者は、仲介役には国連事務総長が最適だと思っている。」のだが、その期待される事務総長が休戦に向けた仲介の労を取らなければ、「国連は解体すべき」という。
 
最後の砦の国連が解体されて、「基本的価値を共有する民主義国家で新たな国際機関を創設」されても、世界のならず者集団にはなんら効力を発揮できないことぐらいは、オジサンでも容易に想像できるというものである。  
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 解散風を弄べばその風に飛ば... | トップ | マイナンバーカード廃止を最... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

安倍外交」カテゴリの最新記事