カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

巣立ち5:追記

2006-07-30 22:19:25 | 繁殖

 先日の「巣立ち5」のお騒がせ雛のその後をお話ししたと思う。相変わらずほとんどの時間を地面で過ごしていた。兄弟の方は地面に降りる事なく上手に枝伝いに移動していた。親の方はというとお騒がせ雛を守ろうと必死になっていた。相変わらず特定の人物を除いて蹴りなどの攻撃は行っていなかった。しかし性質の悪い人物がおり、故意に雛の近くに行き親が蹴りを入れるのを待っているのだ。その目的は「カラスに攻撃された。危ないから巣を撤去しろ!!」という実に子供染みた考えだ。私も毎朝お騒がせ雛がどうしているのか気になって仕方がなかったし、2回目の営巣なのでこのブトには何が何でも無事に子育てをして欲しいという願望があった。

 地面に降りてしまって4日後の朝の事だった。思いがけない場所で雛の声が聞こえて来た。声の主は何とお騒がせ雛だった。親は雛の居場所を把握していないのか?それとも違うブトの縄張り内なので入って行けないのか?雛のおねだりの声が木霊していた。暫くしてここの縄張りのブト一家がやって来て、お騒がせ雛に興味を示し始めた。このブトには3羽の雛がいて巣立って一ヶ月程経過していた。この親に攻撃でもされてしまったら一溜まりもないだろうと思いつつ様子を見ていた。しかし幸いな事に親ガラスからの攻撃はなかった。それより3羽の雛の反応が面白かった。雛はお騒がせ雛の事が気になって仕方がない様子だ。雛に近寄るとお騒がせ雛が翼をバタつかせておねだりをするので少し戸惑っているかのように見えた。

 親が近くにいないので人に対する威嚇はなかったのだが、給餌をしてもらう事が出来ない。3羽の親がお騒がせ雛に給餌をする事はあり得ない。私は少し不安になってしまった。暫く考えた末に「雛を移動させよう!!」と思いついた。さて、一体どうやって移動させようか?と考えていた所に、馴染み深い人が現れたのである。私はとっさに「雛を移動させたいので手伝ってくれますか?」とお願いをした。快く引き受けてくれたので、2人で雛を追い立てるようにして親の縄張りの方へ導いた。親もそれに気が付いたのか途端に威嚇しながら飛んできた。蹴りを入れられても仕方がないと思っていたのだが、親は低空飛行すらしてこなかった。何とか親の元へ雛を戻し一件落着となった。

 しかし地面にいる状態なので通行人への威嚇鳴きは治まる事はなかった。枝に止まらせてあげない限り親は落ち着く事は出来ないのだろう。今度は雛を捕まえて枝に乗せようと思いついた。人が近くに寄っても逃げる事はないのだが、いざ捕まえようとしてもそう簡単には捕まらない。最終的に網で捕まえるしか方法がなかった。網を借りて雛を捕まえ枝へ止まらせた。今回も親の反応は同じだったのだが、私を見ると威嚇をするようになった。
  
 枝に止まらせてから雛も落ち着いたのか地面へ降りて来る事はなくなった。親の安心なのだろう、給餌に専念する事が出来ていた。雛のいる位置は低いのだが数日経てば高い所へ移動出来る事だろう。その後も騒動はなく穏やかな日々が続いていた。

 そうして今日の午後雛の様子を見ていたら、何とあのお騒がせ雛が自分の力で飛んで移動したではないか!!そう、巣立ってからというものの自力で飛び上がる事が出来なかった雛が飛んでいるのである。鳥が飛ぶという事がこんなに嬉しいと思った事はない。私は思わず「わぁ~飛んでる!飛んでる」と口ずさんでしまったのである。

 ここまで自力で飛ぶ事が出来るようになったのだからもう安心しても良いのではないか?今年の繁殖も全て終了したと言っても良さそうだ。後は雛の独り立ちまで思う存分家族で楽しんで欲しいと思う。私もカラス一家の楽しい一時を見させてもらおうではないか!!ブトもボソも本当にお疲れ様でした。そしてありがとう!!

画像:お騒がせ雛(居眠り)

コメント (2)
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