カラス

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巣立ち5

2006-07-25 21:34:30 | 繁殖

 7月も終わろうとしているにも関わらず、あちこちで巣立ったばかりと思われる雛の声が聞こえて来る今日この頃である。私の周りも例外ではなく2回目の繁殖に成功したブトの雛が2羽巣立った。何の問題もなく巣立ってくれる事を祈っていたのだが、最後の巣立ちに相応しいといったら良いのだろうか?お騒がせ雛なのである。

 このブトは雛数も多く威嚇も激しかったので心配していた。今年は人による巣への悪戯があり、抱卵期から既に攻撃をしていた番の一つでもある。このブトが再営巣を始めたのは5月下旬の頃だった。1回目の繁殖時には雛が3羽いた筈で、日々給餌に励んでいた。しかしある日巣が傾いた状態になり雛の姿もなかった。証拠がないので私の推察に過ぎないのだが人のよる何らかの行為があったとしか思えなかった。

 巣の場所も今までの営巣場所から少し離れて割と低い木に造巣を始めた。巣は10日程で完成しすぐさま抱卵に入った。これからまた最初からやり直しだ・・・・・。夏になり気温が上がると抱卵している♀も見張りをしている♂も体力の消耗が激しいのではなかろうか?と心配になってしまった。しかし6月に入り思っていたよりも気温が上がらなかったので営巣自体は楽そうだった。

 抱卵から約20日が経過したある日の事である。♂が口一杯に食べ物を詰め込んで巣に入って行った。最初は♀へ給餌をしていたのだが、その後♀が雛へ給餌をしているのを確認出来た。雛は無事に孵化していたのである。一先ずは安心した。雛数は何れ分かる事なので後はそうっと観察するのみである。

 7月に入り巣立ちの日が近付くと私も何となく落ち着かない気分だった。雛はちゃんと上手く枝伝いに移動出来るだろうか?五体満足だろうか?と本当に切がなかった。しかし私が公園を離れていた時に巣立っていたらしく、公園に着いた時には既に親の激しい威嚇鳴きが聞こえていた。 
 
 しかし威嚇の声の方向は巣とは掛け離れていた。雛は地面に降りてしまい何も分からない状態で歩き出してしまったらしい。親にしてみたら気が気でないだろう。雛はベンチの上にあどけない表情で止まっていた。見たところ尾羽はほとんど生え揃っていなかった。しかし枝を掴む力もあり、自分の力で上に飛び上がれないだけらしい。

 親の攻撃はどうなのかというと、激しく威嚇鳴気はするものの低空飛行や蹴りを入れる事はなかった。もちろんいつも攻撃を加える人にはちゃんとそれなりに攻撃をしていた。通行する人々は「何で今頃になって攻撃されるの??」といった表情だった。

 もう1羽の雛は樹上にいるので親もある程度は安心なのだろう、一日のほとんどをこの雛に費やしていた。心無い人が多いので必死になり人を追い払おうとしている姿を見ていると不憫で仕方がなかった。親は地面にいる雛にも欠かさず給餌をしていたのだが、やはり地面という事もあり落ち着かないのだろう。

 この雛がちゃんと飛べるようになるまでには数日、もしかしたら数週間掛かるかも知れない、その間雛が無事でいてくれる事を願わずにはいられない。

コメント (4)
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