カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

掃除

2005-10-20 17:15:30 | その他
 人は自分の部屋などを定期的にきちんと掃除をする。放っておくと足の踏み場もなくなり衛生的に好ましくないだろう。鳥も巣の中は極力清潔を保つようだが、種によってはダニがたくさんいる場合もある。

 数日前に巣箱の掃除をした。巣箱の掃除は結構お楽しみがあるので良い。使っている巣材や巣の形、そして孵化しなかった卵など・・・・・・。しかし私が巣箱掃除で一番楽しみなのは鳥がいなくなった巣箱にいろいろな生き物がいる事である。ほとんどが昆虫なのだが、クモや他の節足動物もいるのだ。

 巣箱の蓋を開けると最初に目に付く生き物は小さなクモである。これは網状の巣を作らない地蜘蛛の仲間になるのだろうか?このクモたちは正しく「蜘蛛の子を散らす」ように動き出す。次に目に付くのがワラジムシたちである。たまにダンンゴムシがいる事もあるが、こちらではまだダンゴムシの数は多くはない。このワラジムシ君、巣箱でちゃっかりと子育てをしている。まだ色が薄く小さなワラジムシがたくさん動き回っている。巣箱の高さは4~5mはあるのだが一生懸命よじ登ったのだろう。

 そして巣材を出すのだが、一つの巣箱に2~3組が営巣していた形跡がある。巣が何個も重なっているので分かる。巣材を出すと今度はもっといろいろな昆虫が出てくる。巣箱の壁面には先程のクモの卵塊(らんかい)になるのだろうか?白い綿状の物が幾つもついている。巣箱の蓋や裏側には以前登場した「マイマイガ」の卵塊がついている。今年は昨年以上にマイマイガの卵塊を見かけるのだが多いのだろうか?取ってしまうのも気の毒なのでそのままにしておいた。

 忘れてはならない昆虫がいる。それはハンサミムシである。この公園ではハサミムシは「キバネハサミムシ」のみしか生息していないようである。見た目で簡単に判別が出来る昆虫である。多分このハサミムシ君もここで卵を産み子育てしていたのだろうか?しかしそうなると疑問が出てくる。ハサミムシは子育てをする事で有名なのだが、♀は土中で卵塊を守り、幼虫が羽化すると親の体を食べ尽くすのである。しかしあまり深く考えると作業が進まないのであっさりと流して考えるようにしている。

 あとは恒例のアミメアリのような小さなアリ達である。以前巣箱にスズメバチが巣を作っていたと聞いた事がある。掃除をする頃には巣は崩壊している時期なので見つけてもそんなに驚く事はないだろう。しかし巣箱の大きさでは巣も小さくて風通しも良くなさそうに思える。雨・風をしのぐのには非常に良いかも知れない。最初に巣を構えた女王バチの選択により巣の運命は決まってしまう。

 次に面白いのは使っている巣材である。この公園の巣箱は全てスズメに占領されている。カラ類も最初は物色しるのだがたちまちスズメによって阻まれてしまい合えなく退散せざるを得ない。巣箱はスズメの天下と言っても過言ではない。

 巣材のほとんどが枯れ草なのだが、犬の毛・紐・お菓子のセロハン・細かい枝・鳥の羽根である。鳥の羽根で一番多いのがドバトである。その他はマガモ・ヒヨドリ・スズメなどの小鳥である。意外とカラスの羽根も多く使われているのだ。産座の部分には羽毛が多く使われている。今年の繁殖期頃にヤマシギがオオタカに捕食されて羽根が散らばっていた。綺麗だったので回収したのだが、ちゃんとスズメも巣材として回収していた。
 
 しかし面白い事に全ての巣箱にヤマシギの羽根が入っていた訳ではない。ヤマシギが捕食された場所から半径15m以内の巣箱に限定されていた。これから推察するとスズメのおおよその行動範囲が掴めるかも知れない。巣箱を中心に縄張り自体がどの位で採食場までの距離や、巣材を調達する距離などそれぞれ違いがあるとは思う。しかし明らかにそんなに遠くまでは行かない事が分かった。と言ってもここは公園なので巣材に困る事はないだろうから、そんなに遠くまでは行かなくても済むという結論になってしまうかも知れない。機会があったら色つきの毛糸などを置いておくと面白いかも知れない。

 巣箱を掃除しているとカラスが興味津々で見に来ている。古い巣材にはまだたくさんの昆虫がいるので茂みに置いてくるのだがすぐさまカラスが引っ張り出して遊んでいた。巣箱掃除を終えた設置し終えると早速スズメ達が巣箱点検をしていた。

画像:スズメ
コメント
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