カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

出戻り

2005-10-13 18:33:55 | 行動
 子供が独り立ちをすると親はある意味「ほっとする反面心配も多い」と言う複雑な気持ちだと聞いた事がある。親子というものは幾つになっても変わらないのである。どんなに年を取っても親であり子である事実に変わりはない。

 カラスも雛が独り立ちをしてほっとしている事だろう。最近は縄張り争いもなく平穏な生活を送っているようである。しかし中にはそうでもない番もいるのだ。
 
 以前にお話した「いじめられっ子」の親である。いじめられっ子が未だに縄張りにいる事に関しては当たり前の事のようで気にしている様子もない。問題なのは今年の雛である。もうとっくに独り立ちをしていた筈なのだが、最近また親の縄張りに戻って来てしまっている。親も追い出す素振りはなく、♂の方はおねだりをされると給餌までしている始末である。この♂は♀よりも遥かに甘やかす傾向が強い。いじめられっ子の時もそうだった。

 私が雛の出戻りに気が付いたのは一週間程前だった。親の縄張りの外から雛のおねだりの声が聞こえていた。この雛は他に類を見ない程赤ちゃん声なので判るのである。最初は縄張りの外からだったので「まだ周辺をうろついているんだなぁ」と思っていた。しかし日を追う事にその姿が確認出切るようになっていた。縄張りに入って来ていたのである。

 しかし一日中いる訳ではなかったが、何処かへ出掛けていても戻って来るのである。まるで自分の縄張りのように・・・・。♀は時々追い払っているようだが本気とは思えない。雛もすぐに戻って来る。この光景は数年前のいじめられっ子の時と全くと言っても良い位同じである。もしかしたらこのような現象は他の場所でもあるのかも知れない。

 そうかと言って3羽一緒に枝に止まったりする訳ではなく、雛は5~6m離れた枝から様子を見ている状態である。そこにいじめられっ子もいる訳なので何とも不思議な状況である。

 雛は決して自分で採食が出来ない訳ではない。しかし独り立ち前から気になっていたのだが、公園内の雛と遊ぶとか、他の縄張りにお邪魔するとかいった事がほとんど行われていなかった。「もしかしていじめられっ子のように他のカラスとコミュニケーションが取れないのでは?」と思っていたのである。他の雛が入って来た時も自分から遊びに加わる事はなかった。

 雛も一日中いる訳ではないので、縄張りにいない時は何処かへ行っている筈である。これは時々旅に出るいじめられっ子と一緒である。その際に他のカラスとの関係はどうなっているのだろうか?仲間に入れなくて何時も単独で過しているのだろうか?非常に気になるのだが、追跡が難しいので詳細は定かではない。

12月頃になっても雛が出入りしているようなら独り立ちは完全には出来ていない事になるだろう。いじめられっ子と共に親の縄張りを行き来するのだろうか?そうなると来春の繁殖期が楽しみである。

画像:ハシブトガラス雛
コメント (2)
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