カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

反応

2005-10-22 18:40:52 | その他
 人や生き物の行動や反応を見ていると意外な発見をしたり、時には驚かされたりと刺激があって良いかも知れない。生き物の行動や反応は本能的要素が高いが人の場合理性を伴う要素が高いと言えるだろう。

 公園という場所は多くの親子連れで賑わう。特に週末はその数も多い。それに伴いカラスへの反応も実に面白いと言おうか時には呆れてしまう場合もある。私は時々公園の遊具広場に集まる親子連れの行動や反応を観察している。

 ある日遊具広場にベビーカーを押しながら若い母親がやって来た。特に珍しい光景でもない。しかしその時に一羽のボソが母親の前に降り立った。ボソを見るなりその母親はまるで銃口を向けらた獣のように凍り付いてしまった。ボソはただ目の前にある水溜りで水を飲んでいるだけであった。その後ボソは「ガァーガァー」としわがれた声で数回鳴いた。すると母親は子供を抱きかかえて地面にしゃがみ込んでしまった。

 ボソがいた時間はせいぜい3~4分だったのだが、母親にとっては何時間にも感じた事だろう。ボソが飛び立つと様子を見ながら子供をベビーカーに乗せて歩き出した。その表情と言えばまるで蝋人形のようで生気が失われていた。たったこれだけの事でここまで反応があるとは思わなかった。見ている私の方が凍り付いてしまった。こんな事では外へ出られないのではないだろうか?増してやカラスのいる公園にやって来るなんてそもそも選択が間違っているとしか言えない。

 子供が数人芝生広場へやって来た。しかし芝生広場にはボソの番がテクテ歩きながら地面採食を楽しんでいた。子供達はボソを見るなり「カラスめ!!あっち行け~」と言いながら手当たり次第に小石を投げ付けていた。子供が投げ付けて石はボソに当たる事はなくボソは一先ず飛んで枝へ移動した。これで終わりかと思っていたのだが更に続きがあった。子供達の母親が後からお喋りに花を咲かせながらやって来たのである。子供達は透かさず「カラスがいる。怖くて遊べない」と
言い放った。すると母親は辺りを見回して「カラスなんていないでしょう?」と子供に言った。子供は「あそこにいるよ!」と言って枝を指差しながら再び小石を投げ付けた。その光景を見て「危ないから石を投げるのは止めなさい!」という言葉が出るものかと期待していたのだが、その細やかな希望は無残にも打ち砕かれた。注意をするどころか子供の勇敢?な行動を誇らしげに見ながら「カラスがいるから向こうへ行かない?」と言いながら子供を連れて移動したのである。

 この2つの事例は多少行動が違っていても日頃結構見られる事である。子供が「石を投げ付ける」という行為に対して「注意をする」という行為が全くない。そもそも何かに物を投げ付ける行為自体危険を伴う可能性がある。子供が石を投げる訳だから辺りに人がいるかどうかなんて確認する筈もない。仮に人に当たったらどうするつもりなのだろうか?

 これは親子連れに限らず小学校の生徒などが行っても教師からは何の注意もない。それどころかゴミまで捨てて行く始末である。カラスがいるだけで進路を変える親子もいる。これらの行動は全て「過剰反応」と言えるだろう。都会に生活の場を構えている以上カラスに出会わない確率の方が遥かに低い。そんなにカラスに出会いたくないのなら夜になってから行動する事をお勧めしたい。カラスが嫌いなのは仕方がないと思うが余りの過剰反応に呆れてしまうと言うか悲しくなってしまうのである。

画像:ハシボソガラス
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする