「ピーク」という表現は日頃から良く使われる言葉である。紅葉のピークとか混雑のピークとか・・・・・。ピーク=Peakとは「山の頂上」と言う意味だ。つまり「ある状態が一番盛んな時」を意味する。
今はいろいろな事がピークに達している。紅葉もそうだし、それに伴う人の混雑もそうである。生き物にも今あるピークに達している者がいる。彼らはとても小さな生き物であり、特に人に被害がある訳でもないので話題にも上らない。
その生き物とは「ワタムシ」という名称で呼ばれる事が多い「アブラムシ」の仲間である。北海道では「雪虫」と呼ばれる「トドノネオオワタムシ」というアブラムシが有名である。彼らが出現すると「2週間以内に初雪が降る」とさえ言われているが確実ではない。たまたま最低気温が急激に下がる時期と合致しているに過ぎないような気がする。
しかし今年は彼ら以上にピークを迎えているアブラムシの仲間がいるのである。それは「ケヤキヒトスジワタムシ」と言って「ケヤキハフクロフシ」という「虫こぶ」を形成する昆虫である。彼らは「ケヤキ」にしか産卵しないようである。名前からしてそうなのだが・・・・。
「ケヤキ」はニレ科ケヤキ属の落葉樹である。分布は本州・九州・四国である。では何故北海道にあるのかというと大きな公園などでは植樹されているのである。アブラムシが海を隔てて移動して来る事はあり得ないので、苗木に卵が付着して来たのだろう。海を隔てても彼らは負ける事なく子孫繁栄に全力を注いでいる。
毎年この時期になると彼らは大群になって隙間がない位飛び交いケヤキの樹皮は部分的に黒く染めたようになる。良く見てみると彼らが折り重なっているのである。彼らは春に羽化しケヤキの葉の裏側から吸汁して虫こぶを形成する。虫こぶを破り今度はササやタケの根へ移動し単為生殖する。有性世代が10月に再びケヤキに戻り♂と交尾をして卵を体内に持ったまま樹上で死亡する。冬季の風雪により体皮は裂けて翌春には卵が露出するらしいのだが生態についてはあまり自信がない。
6月頃にケヤキの下にいると彼らが出る際に破った虫こぶの一部が降って来る。屋根などに落ちると「パチパチ」と音が聞こえて来る。アブラムシの生態は実に謎めいている。何故そのような形で子孫を残すのだろうか?通常の昆虫のように最初から有性世代では都合が悪いのだろうか?そう考えると実に不思議な生態の昆虫である。
しかし春に彼らが形成する虫こぶは鳥にとってはこの上ない大切な食料である。スズメ・カワラヒワ・ムシクイ類がこぞってケヤキに集合して虫こぶを啄ばんでいる。食べても食べても食べ尽くせない程の虫こぶがある。たまにヒヨドリやムクドリもやって来る。フライングキャッチが得意なヒタキ科の鳥はあまり見掛けない。習性上合わないのかも知れない。 カラスには少々物足りないと言うかじれったいのだろう。虫こぶを食べるというよりはそこの集まっている鳥を狙っている方が多いかも知れない。
しかし今の時期は虫こぶの中は空っぽな筈なのだが、以前として鳥が啄ばんでいる。実は数年前に開いていない虫こぶを分解して見た事がある。虫こぶの中には小さなカメムシが入っていた。顕微鏡で拡大して見ると「クロハナカメムシ」と言うハナカメムシの仲間にそっくりだった。彼らは虫こぶの中に入り込みアブラムシを食べているのである。多分今集まっている鳥達はこのカメムシを食べているのだろう。
公園の中でもケヤキがない場所では彼らの姿は全くと言って見掛けない。ヤチダモには雪虫が同じように集団で産卵している。この不思議な光景はこの公園ならではの現象であり、貴重とも言えるのではないだろうか?しかし残念な事にこの事実に気が付いている人はほとんどいないのである。誰もが皆「ただの雪虫」だと思っているらしい。もったいない!!
追記:ケヤキヒトスジワタムシ=別名ケヤキフシアブラムシ
画像:飛び交うケヤキヒトスジワタムシ(雪虫と混群)
今はいろいろな事がピークに達している。紅葉もそうだし、それに伴う人の混雑もそうである。生き物にも今あるピークに達している者がいる。彼らはとても小さな生き物であり、特に人に被害がある訳でもないので話題にも上らない。
その生き物とは「ワタムシ」という名称で呼ばれる事が多い「アブラムシ」の仲間である。北海道では「雪虫」と呼ばれる「トドノネオオワタムシ」というアブラムシが有名である。彼らが出現すると「2週間以内に初雪が降る」とさえ言われているが確実ではない。たまたま最低気温が急激に下がる時期と合致しているに過ぎないような気がする。
しかし今年は彼ら以上にピークを迎えているアブラムシの仲間がいるのである。それは「ケヤキヒトスジワタムシ」と言って「ケヤキハフクロフシ」という「虫こぶ」を形成する昆虫である。彼らは「ケヤキ」にしか産卵しないようである。名前からしてそうなのだが・・・・。
「ケヤキ」はニレ科ケヤキ属の落葉樹である。分布は本州・九州・四国である。では何故北海道にあるのかというと大きな公園などでは植樹されているのである。アブラムシが海を隔てて移動して来る事はあり得ないので、苗木に卵が付着して来たのだろう。海を隔てても彼らは負ける事なく子孫繁栄に全力を注いでいる。
毎年この時期になると彼らは大群になって隙間がない位飛び交いケヤキの樹皮は部分的に黒く染めたようになる。良く見てみると彼らが折り重なっているのである。彼らは春に羽化しケヤキの葉の裏側から吸汁して虫こぶを形成する。虫こぶを破り今度はササやタケの根へ移動し単為生殖する。有性世代が10月に再びケヤキに戻り♂と交尾をして卵を体内に持ったまま樹上で死亡する。冬季の風雪により体皮は裂けて翌春には卵が露出するらしいのだが生態についてはあまり自信がない。
6月頃にケヤキの下にいると彼らが出る際に破った虫こぶの一部が降って来る。屋根などに落ちると「パチパチ」と音が聞こえて来る。アブラムシの生態は実に謎めいている。何故そのような形で子孫を残すのだろうか?通常の昆虫のように最初から有性世代では都合が悪いのだろうか?そう考えると実に不思議な生態の昆虫である。
しかし春に彼らが形成する虫こぶは鳥にとってはこの上ない大切な食料である。スズメ・カワラヒワ・ムシクイ類がこぞってケヤキに集合して虫こぶを啄ばんでいる。食べても食べても食べ尽くせない程の虫こぶがある。たまにヒヨドリやムクドリもやって来る。フライングキャッチが得意なヒタキ科の鳥はあまり見掛けない。習性上合わないのかも知れない。 カラスには少々物足りないと言うかじれったいのだろう。虫こぶを食べるというよりはそこの集まっている鳥を狙っている方が多いかも知れない。
しかし今の時期は虫こぶの中は空っぽな筈なのだが、以前として鳥が啄ばんでいる。実は数年前に開いていない虫こぶを分解して見た事がある。虫こぶの中には小さなカメムシが入っていた。顕微鏡で拡大して見ると「クロハナカメムシ」と言うハナカメムシの仲間にそっくりだった。彼らは虫こぶの中に入り込みアブラムシを食べているのである。多分今集まっている鳥達はこのカメムシを食べているのだろう。
公園の中でもケヤキがない場所では彼らの姿は全くと言って見掛けない。ヤチダモには雪虫が同じように集団で産卵している。この不思議な光景はこの公園ならではの現象であり、貴重とも言えるのではないだろうか?しかし残念な事にこの事実に気が付いている人はほとんどいないのである。誰もが皆「ただの雪虫」だと思っているらしい。もったいない!!
追記:ケヤキヒトスジワタムシ=別名ケヤキフシアブラムシ
画像:飛び交うケヤキヒトスジワタムシ(雪虫と混群)