幸子１１

一番手前の棚に目をやると、靴がいっぱい置いてあった。
幸子は自分のサイズがなさそうなので、とりあえず靴は無視した。
その次の棚に移動すると、Ｔシャツがいっぱい置いてあった。
幸子はグリーンハウスのＴシャツの事を思い出し、
端からこそこそと漁ってみることにした。
ツタンカーメン、ウイリアムバロウズ、ノースウエスト先住民族、アフリカの泥染めなど、
流行ってなさそうで妙なＴシャツがいっぱいあった。
いっぱい見ていくと、その中にアムステルダムの飾り窓のＴシャツがあり、
そしてアムステルダムのコーヒーショップ・ブルドッグのＴシャツも発見した。
間違いない。幸子はこのお店はアムステルダムと関係があると確信した。
（注　この物語はフィクションです）
ただ、探していたグリーンハウスは見つからなかった。
聞いてみなきゃ。
幸子は意を決して、店主のほうをみた。
店主はパソコンを見ながらコーヒーを飲んでいた。
なんとのんきな・・・。
幸子の視線を感じたのか、店主がこちらの方を見た。
幸子は一呼吸置いて「グリーンハウスのＴシャツありますか？」と単刀直入に尋ねた。
その瞬間、店主の瞳がぎらりと輝いたような気がした。

つづく

只今のそふつ音楽「密林のポリフォニー」　ピグミー族の人々