softs日記 blog版

そふつ日記のblog版です。よろしくね。

幸子39

2010-11-29 16:26:08 | 幸子
でもそうなると当然代理人としての報酬が発生するわよね。
たまにニュースでプロ野球選手の代理人と球団が交渉して、
巨額の報酬を受け取ったりしてるのみたことあるわ。
幸子は先日買ったばかりのあいほんで以下の単語を急いでぐぐった。

「プロ野球 代理人 報酬」

ふむふむ・・・なるほど・・・。
だいたい代理人報酬は選手年俸の数%が相場だから、
うまくやれば私にもひるずチャンスがあるわ!よし!

幸子の中で人助けと金儲けが完全に合致した瞬間だった。

そのとき店主は、あいほんをいじってからずーっと考え事をしている幸子をみながら、
この人にどうやって穏便に帰ってもらおうかと考えていた。

つづく


幸子38

2010-11-29 15:53:12 | 幸子
え、今から保険の鑑定人がいらっしゃるんですか?ここに?
幸子は聞き返した。

店主は答えた。
はいそうなんです・・・、ですからそろそろ・・・。
店主は話を切り上げて一刻も早く幸子に帰ってもらおうとした。

しかし幸子はこう考えていた。
この人気が弱そうだし押しにも弱そうなので多分このままだと鑑定人にいいようにやられるわ。
きっとすずめの涙ほどの保険金で身ぐるみはがされてこの冷たい路上に放り出されるのよ。
ああ、あわれ。

でもだいじょうぶ。
なぜなら私がいるから。
私があなたの代理人になって助けてあげる。
わたしはオランダに行ったことがあってやくそうの種類にも詳しいの。
保険の鑑定人なんてどうせやくそうのこと何も知らないから、
わたしが相場と効き具合をちょっと割り増し目で言ってあげる。
そうすればこの人もきっと損はしないわ。

幸子は妙な使命感に燃えていた。

つづく
 





幸子37

2010-04-07 19:04:58 | 幸子
そのとき、店主はおびえていた。
この人の目、なんかぎらぎらしてすごい怖い・・・。
いったい何を考えているんだろう?
でもきっとなんか危険なことに違いないよ。
だって試合中の格闘家とバーゲンセールの先頭集団を足したみたいな目の色なんだもん。
だいたい思い起こせばこの人の行動はいきあたりばったりの小説とはいえおかしすぎるよ。
店でストックルームをのぞこうとしてぶっ倒れたりするし、
へっどぽーたーのわーる持ってるし。そういえばこの人のおかあさんだってへんだもん。
もう正直この人と目を合わせるのも怖いよ・・・。
この辺でなんとか無事に切り上げてさっさと帰ってもらおう。
このままだと何されるかわかったもんじゃないよ。
あなた(作者)もこんなしょーもない小説に書く暇があったらひとのこないお店の宣伝方法でも考えなよ。

作者の声
うぐっ・・・、ずぼし・・・。
あまりにずぼしすぎて腹がたったのでまだ続けてやる・・・。
くるしめ~くるしめてんしゅよ~。

な、なんだろう?この不吉な感覚は・・・。
なんかやな感じがするのでほんとにさっさと切り上げよう。
店主は意を決して言った。
すいません、もうすぐ保険の鑑定人とお話ししなければならないので・・・。

つづく。

ほんじつの教訓

あまりにずぼしすぎるとひとはいこじになりますよ。


幸子36

2010-03-17 16:46:08 | 幸子
幸子は素早く頭を働かせた。
ここでうまくこの坊主に取り入ればひるず族になれるかも・・・。
サマリヤマンション族からろっぽんぎひるず族への華麗な転身、
これ書籍化すればベストセラー間違いなしで大金がっぽがっぽ。
ひるずの屋上に薬草ルームを作ってせれぶとやくそうざんまい。
幸子は興奮のあまり思わず、保険金ってちゃんとでるんですか?
と単刀直入に尋ねた。

一応仕入れた金額のみ補償してくれるとのことです・・・。
と店主は生気のない声で答えた。

幸子は憤慨して思った。
し、仕入れ金額ですって!
あなた思い切りだまされてるわよ。やくそうは末端価格が命じゃないの!
ここは仕入れた金額じゃなくてきっちり末端価格での補償を求めないと。
しかもこれは北海道産だから~とかアフガニスタン産なので~とか
ちゃんと分類して損のないようにしなきゃ。
まったく人が良すぎるにもほどがある!
わたしにまかせなさい!

幸子の目は怒りと欲にまみれたいへんなことになっていた。


つづく

ってまたこんなの書いてだいじょうぶなんですかね・・・。



幸子35

2010-03-17 16:18:27 | 幸子
店主はあまりの腹痛にその場にうずくまってしました。
それをみて幸子はちょっとやりすぎたかしら、あまりいじめすぎると薬草にありつけなくなるわね、
と思いやくそうぽいんとをげっとするためにヘッドポーターのサイフをしまい白々しくも声をかけた。
「ごめん大丈夫?てへっ」
店主はええ、なんとか大丈夫です・・・、と小さな声で返事をしてゆっくり立ち上がった。
幸子はこれからどうするんですか?と店主に尋ねた。
店主は水害にあった品物は保険会社が引き取ってその代わりとして保険金がもらえるそうですよ、
と元気のない声で答えた。

ええっ?!
幸子は驚きを隠せなかった。
品物はべつにどーでもいいとして薬草は、薬草はいったいどうなるのよっ。
ま、まさか保険会社が?

幸子は思い切って聞いてみた。
「保険会社は被害にあったもの全部持っていくんですか?」

店主ははい、そうです・・・、全部です・・・。
と答えた。

幸子は素早く頭を働かせた。
薬草はグラム4000えんぐらいが相場なので、
ストックルームいっぱいだととんでもない金額になる!

きゅうに目の前の坊主の男がひるず族にみえてきた。


つづく

幸子34

2009-12-30 15:04:33 | 幸子
幸子はいるか亭の前の自動販売機でコーヒーを1つ買った。
「同じのでいいですか?」
と幸子が聞くと店主は、
「あ、ぼくはこっちで」
と幸子からお金を受け取ると裏にある新聞屋の自動販売機でコーヒーを買った。
幸子はコーヒーを一口飲んだ。ぬるかった・・・。
店主のはアツアツそうだ。コーヒーで一息入れた店主はぼそっと呟いた。
「いるか亭の自販機のコーヒーって、たまにぬるいんですよね。」
こ、こ、このはげっ!知っていたならはじめから言えよっ!
しかも私のチョイスは激甘のマックスコーヒー、
これはアツアツじゃないとくどいじゃないのっ!
怒りのあまり幸子は持っていたマックスコーヒーを落としてしまった。
しょうがないので幸子は新聞屋の前でもう一缶買うべくヘッドポーターノワールの財布を出した。
それを見た店主はうぐっ、といったままうずくまってしまった。
ふっ・・・、天罰よ・・・。幸子は勝ち誇った表情で財布からゆっくりお金を取り出して、
「あら、ごめんなさいね。苦手だったわね、この財布。」
と言ってゆっくりと財布をしまう、
ふりをしてそのまま手にもっていた。
幸子の声だけきいて店主は安心しきって立ち上がった所にヘッドポーターノワールの洗礼、
強烈な腹痛が店主を襲った。

つづく

只今のそふつ音楽 モロッコのなぞのCD

幸子33

2009-12-13 14:52:21 | 幸子
あ、あの・・・。
幸子が話し掛けると、店主は
ああ、あの時の・・・。いきなり倒れたからびっくりしたんですよ。その後体調はどうですか?
と返してきた。

幸子
ええまぁなんとか・・・。
ところでさっき母に聞いたんですけど、店内で水漏れがあったとか・・・。

店主
ああ、あのファンキーな方はお母さんですか・・・。ええそうなんです・・・。
そふつの上の階の方がシャワー室の排水溝を詰まらせてしまったそうで・・・。
その水が流れ込んできてストックルームがびしょびしょになってしまったんです・・・。

幸子はへなへなと崩れ落ちそうになった。
ス、ストックルームといえばグロウしたりブロウしたりする所じゃないの!(注 違います)
わ、わた、私の薬草が・・・。すべてパーに・・・。

店主は愕然としている幸子を見て、ああ、こんなに同情してくれるんだ、
この人ちょっとファンキーだけどいい人かも、と勝手に思っていた。
あ、コーヒーでもおごりますよ。何がいいですか?
と幸子に言った。

その言葉で幸子は我に帰り、とてもがっくりしながらも
いえ、店主さん大変でしょうから私おごりますよ。
と言った。

店主は
あ、そうですか。ありがとうございます。それではそこの自動販売機にいきましょう。
とあっさり言った。

幸子は普通この場合はいえ僕がいえ私がと押し問答したところでおまえが出すのがセオリーなのに・・・、
と思ったがしぶしぶいるか亭の自動販売機の前で財布を出した。
幸子の財布はヘッドポーターで買ったもので、黒地に同色でアーガイル柄のステッチが入っているブラックビューティーノワールというタイプだ。
ステッチのおかげで普通のポーターよりもちょっと上品に思え、幸子はとても気に入っていた。

店主はその幸子自慢のヘッドポーターの財布を見ると、急に胸を抑えてうずくまった。

ど、どうしたんですか?
幸子はびっくりして尋ねた。

店主は、
ヘッドポーターのブラックビューティーノワールをみると、色々なことを思い出し胸が、胸がぎゅっと痛くなるんです・・・。
申し訳ないけどそれしまってくれませんか・・・。
と消え入りそうな声で言った。

幸子は、こんなおしゃれな財布を見て胸が痛くなるなんて、
なんて美的センスのない人なんだ、と思いながらも
ああすいません、と二人分のお金を取り出しすぐにしまった。

つづく?

只今のそふつ音楽「ロングシーズン」 フィッシュマンズ

幸子32

2009-11-17 16:31:12 | 幸子
幸子は軽い殺意を持って母に近づいたその時、
母が言った。

そうそう、一階の洋品店が水浸しになったみたいよ。

え?え?どういうこと?
幸子は状況が理解できなかった。

幸子の困惑した顔をみて、母は続けた。
だから、二階からの水漏れでストックルームが水浸しになったんだって。

な、なんと・・・、なんということなの・・・。
しっかり確認はできなかったけどあそこには会員制の薬草お楽しみ施設があるはずなのに・・・。
私も会員になってグロウしたりブロウしたりする予定だったのに・・・。
(作者注 実際は普通のストックルームです。本当なんです。)

幸子?どうしたの?

母が問い掛けた。

幸子は無言で靴を履き、エレベーターまで走った。
エレベーターを待つ間、幸子は思った。
自分の目で確かめなくちゃ。
エレベーターはいつもの調子で一階まで幸子を運んだ。
ドアが開いた瞬間、幸子は走った。
そしてマンションの管理人にぶつかった。
あうっ。
幸子は跳ね飛ばされた。
大丈夫ですか?いきなり飛び出してくるから・・・。
管理人が話し掛けてきた。
そこで恋が芽生えるはずもなく、殺すぞこのじじい!と捨て台詞を吐き、
すぐに立ち上がり洋品店の前まで走った。

そこで幸子が見たものは、
入り口の前で一人ぽつんと佇んでいる店主の姿だった。

つづく

ただいまのそふつ音楽「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースト」ブライアン・イーノ+デヴィッド・バーン

幸子31

2009-08-17 20:32:53 | 幸子
母は踊りながらキッチンにいき、コーヒーを淹れた。
そして冷蔵庫から冷えたクリープを3つ出し、
2つを自分のにいれて、1つを私のにつけた。
母は一口すすり、キッチンにおいてあったせんべいをかじった。
ねぇこのせんべいいつのなの?しけってるわよ。
母は文句を言いながらもかじり続けた。
ねぇ母さん。このCDとめてくれない?頭が痛くなるの。
横になったまま幸子は言った。
枕元におかれたカップから薄く淹れたブレンディの香りがした。
母はそうかい、いい曲なのに。ここから盛り上がるのよ。
と言いながら、CDデッキのツマミをいじった。
急に音が軽くなった。母は低音を切ったみたいだ。
幸子はせんべいをかじりつづける母を見ながらしばらく聴いていた。
低音のないヒップホップはクリープをいれないコーヒーだと思った。
そしてゆっくり上半身を起こし、薄いブレンディを飲んだ。
うすい。当然まずい。
クリープをいれる。しかしまずい。
起き上がり母のそばにいった。
母のカップから濃厚なネスカフェの香りがした。
なんだかいらいらしてきた。

ねぇ母さん。

つづく

ただいまのそふつ音楽 「ディス・イズ・ノット・ア・テスト」 ミッシーエリオット

幸子30

2009-07-21 13:16:11 | 幸子
・。
・・。
・・・、はっ!

幸子は目を覚ました。
あれ・・・、ここは・・・、自分の部屋だ・・・。
あ、目を覚ましたのね。心配したのよ。
母が見つめていた。いつものようにアディダスのミッシーエリオットモデルを着ている。
管理人さんから一階の洋品店で倒れたと電話があったんでびっくりしたのよ。
そういえば、あの洋品店の網のドアを開けた瞬間、うっ・・・、いたたっ・・。
思い出せない・・・。何かあったはずなのに・・・。
思い出そうと集中しようとしたのだが、部屋にかかっている大音量の音楽が邪魔をする。
母の大好きなミッシーのディス・イズ・ノット・ア・テストだ。
急病人にはかなりきついトラックが目白押しだ。
母は安心したのか立ち上がってよくわからない踊りをしている。

幸子はリチャードクレイダーマンが恋しくなった。

母が帰ったらリチャードのCDにしようと思った。

つづく。

只今のそふつ音楽 よくわからないサンバのCD