エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

法律をつくった女

2007年06月25日 | 雑記
我が子の幼稚園は、高校の付属だったので、学園祭がありました。

この日、幼稚園では、よその幼稚園同様、「バザー」があります。

バザーでは、各家庭では、不要品一品のほか「手作り品」をひとつ、提出しなくてはなりませんでした。


ある年のバザー。

なにも手作り品ができなかった家人。

前日夜中に画期的なものをあみ出しました。


それは





 ランチョンマット。





そうです。お弁当にしく、あのランチョンマット。言ってみればただの四角い布。


それでも「布を切る」という作業があるから「手作り品にはちがいない」という、強引な理論でこれを通し、とうとうただの布をギザギザハサミで切っただけの「布」一枚を、なんと提出したのでした。

この勇気!この知恵!

あとはこれで「横着」さえなければ、きっと大成したに違いありません。

「提出はした!」

と、大いばりの家人。


で。「エプロン」や「靴袋」、はたまたすごいのになりますと「ワンピース」などなど、母の愛情と見栄がこもった手作り品がズラリと競う中、そこに並んで、ただの「1枚布」であるランチョンマットがちょこんと居座ったのでした。

これを見た他所のお母様方

「なにこれ~~~~!こんなのアリなわけ~~~~?」
「あたしの作ったスカートの苦労はなんなわけ?こんなの前みごろもヘッタクレもないでしょ~~~」
「どこのお母様かしら!」

白い目が一枚の布にさんさんと注がれます。


さすがに家人。
「ここにはいれないわ」
と、その場を離れておりましたが

真犯人のわからぬまま、ランチョンマットは、その日のバザーの話題を独占したのでした。


しかも売れた(笑)。
ワンピースは売れ残ったのに!



そして翌年のバザー。

この年も、家人は凝りもせず「ランチョンマット」。
柄変えただけ(大笑)。

で。持って行きましたところ

なんとこの年、「ランチョンマット」殺到!

も~~~あっちのお母様もこっちのお母様もランチョンマット。
そりゃそうです。

誰も「ワンピース」などという面倒なもんつくりません。

柄が違う布を切っただけの「手作り品」が大流行となったのでした。


前回は家人のものだけでしたので、売れましたが、さすがにこうなると売れ残ります。



さらに翌年のバザーのこと。
幼稚園からの案内に


「手作り品一品 ※ただしランチョンマットは手作り品に含みません」


新しい法律とは、こうやってできていくんですね。