ある日の風、２

今日はかなり寒い。

先に手袋をつけようとするが途中でやめる。

手袋をつけたらヘルメットのひもがつけられなくなる。

ヘルメットをかぶり、鍵を回す。

セルモーターを回す。

キュルルルなるがエンジンはかからない。

彼女は朝は寝起きが悪いんだ。

もう、たたき起こすしかない。

すかさず、チョークを引く。

セルを回す。

キュルルルル

しぶといやつだ。あまり使いたくないんだが、、、

スロットルを回す。

ドッドッドッドッド

ようやく起きたか、、。

そういえば過去にもそんな彼女いたっけ・・・？

まぁいい・・・。忘れよ！？

おっ、とチョークを戻すのを忘れるところだった。

さすがにチョーク引いたまま走らせるほど僕はSじゃないよ。

アイドリングもやっぱり１０００回転以下だ。

やっぱり寝起きが悪い。

まぁでも学校に遅刻するから、がんばってもらうよ。

そんなこんなでようやく出発。

左手でクラッチを切る。

ギアをfirstに入れる。

ストン。　　ブルン・・・・。

は？　　止まった。

・・・・・

・・・・・

あっ、　スタンド出したままだった。

すまんすまん。

まだまだ、彼女のことをわかってやれない僕です。

気を取り直して、

左足でニュートラルにいれる。

セルを回す。

ちょっと怒り気味か？すねてるのか？

ちょっと間をおいてエンジンがかかる。

ようやく発進だ。

飛ばすぜ相棒！！

ここから、ようやく僕は風になる。

ある日の風、１

今日は晴れだからとてもうれしい。

晴れは多くの人が好きな天気だが、僕の場合はそれだけではない。

バイクに乗れる日だからだ。

雨でも乗れないことはないんだけど、

彼女を痛めつけたくはない。

だから、僕は晴れの日しかバイクに乗らないと決めている。

朝食後、手袋をクローゼットから引っ張り出す。

そういえば食卓の上にもあったな。

でも、今日の朝は寒いから、二重にして手袋をつける。

ズボンも二重にしてはく。下には黒のジャージ上にはジーパン。

上は、セーターにダウンジャケット。

なんか、洋服はどんなものを組み合わせてもなんかしっくりくるのが、

僕のいいところだと思う。

別にルックスとかではなくて、ただ、何を着てもおかしく感じないのだ。

少なくとも僕はそう感じる。

バックバックに荷物もつめた。靴下も長いのを履いた。

ブーツも履いた。ブーツはちょっと背が高くなるから好きだ。

バイクにもよく合う。

ん？そういえばバイクの鍵がない。

どこだ？

ない

そういえば

こっちに持ってきた記憶がない

バイクに鍵を差しっぱなしだった。

まぁ無事でよかった。

とりあえず車庫からバイクを出す。

うちの決まりで、バイクは車庫の一番奥に入れないといけない。

いちいち家にある三台の自転車を一回外に出してからバイクを慎重に出す。

傷一つつけるなよ。

無事脱出！！

また、出した自転車を車庫に戻す。

バイクで出発するまでの準備は大変だ。

それもこれもすべてここからの時間のため。

ここから、俺はバイクと一体化して風になる。