若いころから参加していた楽団を退団したのは6年前だった。 理由はいろいろあったが、いちばん大きなのは路線の違いだ。 その後は音楽を聴くことはあっても、楽器からはずっと離れていた。 ところが昨年末、知り合いの老人クラブ会長から出前演奏をしてくれないかと頼まれてしまい、ちょっと困ってしまったのである。 「私は辞めてからもう永いのよね。だから自分は出られないけど、昔いた楽団に仲介してあげますよ」と伝えると、 「それじゃあ、面白くないでしょ。あなたが出演してこそ意味があるのだから」なんて切り替えされてしまった。 そんなことから再び練習に顔を出すようになった。 演奏することの楽しさはそこそこであるが、なによりも嬉しいのは練習後の打ち上げだよね♪ なかでも福富町の「大鵬」に行ったときは、旨いものを食い、美味しい酒を呑み、バカバカしい昔話に花を咲かせて時間の過ぎるのを忘れるほどだ。 ということで、今日は「大鵬」の記事をアップしておきたい。 冒頭の写真は、4月に行ったときに出てきたお通しである。いつも少し手間暇をかけたものを用意していて、しかも、これが美味しいのだ♪ 5月上旬に行ったときのお通し。 これは5月下旬だったかな。 絶品のシメサバ! 今まで色々なところで〆サバを食べてきているが、これを上回るものにはまだ出くわしていない。 カキフライ♪ これも抜群だね。 プックリしていて、上手に揚げられている。 タコ! 新鮮で旨し! なんだっけ…? サービスでいただいた煮込みだったかな。 こちらのお店、我々が行くと、必ず何かしらサービスの一品があるのよね。 マグロぶつ。 もちろん美味しいよ♪ 呑み食いしながらの話は、今やっている楽曲のことから、楽団の昔話、音楽の歴史・うんちく、世界史・日本史、昨今の政治状況、手品の種明かし、野毛や福富町で吐いたゲロの数々、欠かさず通った本牧ジャズ祭など、仕事のこと以外なら何でもありだ。 そんな中でも話が尽きないのは、楽団員の昔話である。 最高齢のエムさんは予科練帰りの方で、修羅場を潜り抜けてきたとは思えないほど、ユーモアに富んだオジサンだった。(現在は高齢のため演奏には参加していない) 彼は四国の田舎町出身なのだが、その地の結婚式の話がとんでもなく面白いのだ。 昔の田舎だと、どこでもそうだったように、披露宴は自宅で行っていた。座敷にお膳を並べて、呑めや歌えの大騒ぎになる。 そこに参加していたエムさん、宴もたけなわになった頃、トイレに行きたくなったそうだ。だが、あいにく屋内のトイレは使用中だったため、仕方なく屋外で用をたすことに。その用というは「小」ではなく「大」だったところに悲劇の始まりが……。 昔の田舎のことだから、披露宴の参列者は皆さん、着物姿である。エムさんも袴を穿いていたそうだ。 それをうまくたくし上げて用をたしたあと、再び宴会場に戻るのだが、座敷にはお膳が所狭しと並べられているので、自席にたどり着くまでには何人分かのお膳をまたいで行かなければならない。 やっと自分のお膳まで戻ったところで、参会者から「臭い~」「臭っ!」という声があがり始めたという。 「なんだ、この臭いは! その辺のお膳から臭っている…」 「お膳にモロキュウの味噌が付いているけんど、これが臭うわけないべ」 「いや、その辺だ…」 などと、ニオイの発生源を皆で探し始めたところ… お膳に付いていたのは、モロキュウの味噌ではなく… もう話がこの辺になると、メンバー一同、結末を想像して大笑いに。 「まむし事件」というのもあった。 あれは30年ほど前だったろうか、夏の合宿ということで長野県菅平に行ったときのことだ。 練習の合間に林を散策していたら目の前に巨大なマムシがとぐろを巻いていた。 通常の太さの3倍ほどはある! それを見てみんな引き返そうとしたのだが、一人だけヤツを捕まえて帰ると言い出した人がいた。作治さんである。 もともと田舎暮らしの永い人なので、その辺にあった棒を上手に使ってマムシを捕えてしまった。 「うへへへへ~、こんなデカイのは高く売れるべ」 そう、横浜に帰ったら伊勢佐木町の「へび屋」に持って行って買い取ってもらうことを考えていたのである。 さて、マムシをギターケースの中に入れて横浜に戻った作治さんは、しばらくは、それを会社の倉庫に保管しておいたという。 そして数日後、ギターのケースを開けてビックリ!!! なんと、巨大なマムシが1匹いるはずだったのに、中には小さなマムシが大量に発生していたのだぁ!! この巨大な奴は単なるデブだったのではなく、妊娠していたのだった。マムシは胎生だから、お腹の中に小型の奴らが大量に入っていたんだね。 驚いた作治さんは、あわててフタを閉め、倉庫から飛び出したそうだ。 その後、二度と近づかなかったというが、いったいアレはどうなったのか… なんていう話だけで、焼酎が1本は空いてしまう。 再びシメサバ。 ピンボケだけど、ネタはボケていない。 新鮮で美味しい! カツオだったかな。 我々がしているのは昔話ばかりではない。 音楽の未来についても話題は尽きない。 アイパッドをいじりながらプロのオーケストラの演奏に話が及んだときのことだ… 指揮者って、楽譜を見ているんだろうか? プロだから、すべて頭に入っているんだろ。 でも、譜面をめくっているよな。 しかも、先に進むめくり方しかしてないような気が… うん、ダルセーニョとかダカーポとかで戻らないのかな… そういった記号はすべて無くして、一方向にしか進まない総譜なんだろう。 我々はオーケストラのスコアがどうなっているのか知らないから、こんなバカ話をしながら呑んでいた。 と、そこでアイパッドをいじっていたケイさんが、こんなことを言いだした。 今やITの時代だ。 中世のスコアだって、これからは紙バージョンではなく、こういった電子機器に移っていくんじゃないか。 指揮台にはスコアの代わりに同じ大きさのスクリーンが置いてある。 その画面上を1小節ずつ流れていく。 流れるスピードは当然、その場の演奏に合わせて変わるのがいい。 そうなると指揮台にマイクが仕込まれていて、そこから取り込んだ実際の演奏速度に見合ったスピードでスコアが動いて行く。 しかもデジタル方式だから、ダルセーニョだろうが、ダカーポだろうが、簡単に次のフレーズに飛んで表示できるのだ。 楽譜はデジタルだけど、演奏はアナログだから何ら問題はない。 こんなバカ話を延々としているうちに、この日もあっという間に閉店時間となってしまった。 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね |
そういう指揮者っていますよね。
若い女性指揮者ならいいんですけどね。
演奏中、指揮者はチラチラしてうっとしいので、演奏者の後ろで一人でやって欲しいと思っていました。
たしかに書き込みが必要なので、
練習中は紙バージョンでね。
でも本番はそれらを活かした電子版でいけたらいいな。
貯木場で泳いだんですか!
まぁ、流されることもなさそうだけど、
材木が危なそうですね。
そのうち一献、いきますか。
おもしろそうな話がたくさんあるようだし。
飲み食いしながら語るのもいいですけど、
呑んで食べて演奏するのも最高。
楽器演奏の話になると、
いろいろ失敗談やら感激した話など、
昔話がたくさん出てきて、呑み会が盛り上がりますね。
くだらなくても、面白かった昔話がいちばんです。
笑って呑む。これですね。
「楽譜の代わりにi-padを使っている人を見たことがあります」って…
もう既にそこまで行ってるんですねぇ。
風で飛ばされないだろうけど、重さで倒れる心配が…
最後までひと息に読んでしまいました。
クラシックの場合、指揮者も奏者も楽譜は紙でなければだめだと思います。
なぜなら、楽譜にない情報をどんどんと鉛筆で書き込む必要がありますから。
練習をしながら、気付いたことは片端から書き込みます。
これはタブレットではできませんからね。
この話、近い内に記事にしてみます。
町内某店の旦那は、やはりバンドをやっていて、根岸競馬場のあの建物に忍び込んで練習していたとか。
私のヤンチャは山下の貯木場やかもめ町の岸壁から飛び込んで泳いだ位です。
しそうですね。
いつか団長殿のお話を聞きながら呑んでみたいです。
演奏友人は面白いですね。
我々も昔のバカ話いっぱい毎回してます。
いいですねー。
友人は。
ワシも先日、昔ナカマと一杯やりましたが、変に昔を懐かしむこともない昔ばなしができましのが嬉しかったですね \(^-^)/
メンバー5、60代でしたが新しい物好きなんですね。
野外でも風吹いても譜面飛ばされないのは便利そう。
生楽器でないテクノに至っては
ラップトップやi-padに入っているカオスパッドを指でつんつん触るだけの楽器一切なし演奏と呼んでいいのかわからないようなライブまであったりします。