天啓赤絵の菊花紋中皿、5枚です。
径 16.0㎝、高台径 8.6㎝、高 3.1㎝。中国明末。
中央に菊紋、周囲に丸幾何学紋を配した皿です。
裏底には「天啓年製」の銘、高台内は放射状に削られています。
染付模様の地に、赤と緑の二色で上絵付がなされています。
南京赤絵、天啓赤絵、萬歴赤絵・・・似たような陶磁器に、色々な名称がついています。これまで紹介してきた南京赤絵とは、広義には明末清初の景徳鎮民窯の陶磁器を総称し、狭義には、天啓赤絵、萬歴赤絵、色絵祥瑞などを除いた物を指すようです。
今回の品は、天啓赤絵と呼ばれる明末民窯の皿です。
染付と赤絵の併用が、天啓赤絵の特徴であると言われています。
先に紹介した南京赤絵の皿と同じく、縁の虫食いを除いて、疵や擦れが全くありません。
「須知九日始若」の意味は不明です。
皿の縁には、きれい?な虫食いが見られます。
別の虫食いは・・・・おや!??!!
顕微拡大して見ると、
島のように取り残された上釉があるではありませんか。しかも、染付の跡もかすかに残っています。
この写真からは、胎土と上釉の収縮率の違いから釉薬が剥がれ落ちたとはとても思えません。虫食いは黒く焼け、疵口の釉薬が熔けていることからして、焼成の最中に小さな爆発のようなものが胎土の表面で起こって、熔融状態にある釉薬が吹き飛んだものと思われます。明末の呉須赤絵大皿に関しても、焼成中に同じような疵が生じる(皿の縁ではなく、色釉部に)ことを、以前のブログで報告しました。このような疵は、何かの微量成分が、熱によって急激にガス状物質を生ずるためと推定されますが、詳細は不明です。また、虫食いがどうして器物の縁だけに起こるのかもわかりません。
今回の品は、20年以上前、◯◯◯◯流通センターで入手した物です。観光地養老にあって、県外からも骨董好きな人が訪れる店です。それなりの物から珍妙な品まで、あらゆる品物が膨大にあります。その片隅に売れ残っていました。10枚揃いでした。そのうち5枚は行方知れず。誰かに差し上げたのかもしれません(^^; というのも、一桁間違い?というくらい安価だったからです。まあ、図柄がパッとしないから売れ残っていたのかも、くらいに思っていたので、半分なくなってもさほど気に留めていませんでした。
ところが、この品の写しが、あの魯山人によって作られていたのです。
幾何学丸紋にかこまれた菊花紋。丸紋に多少の違いはありますが、今回の天啓赤絵皿の写しであることは疑いありません。私が購入した10枚の天啓赤絵皿の10倍出しても、この魯山人の写し皿1枚は購入できないでしょう(^^; お値打ち品天啓皿の100倍以上のプライス!
魯山人は、この地味な天啓赤絵皿のどこがいったいお気に召したのでしょうか?
あらためて、品物を眺めてみました。
なるほどー、菊花の間に、3人の子ども?が隠れている(^.^)