遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

面白古文書『ばかとりかうの取組』(上、利口)

2021年12月30日 | 面白古文書

今年最後の面白古文書、『馬鹿と利口の取組』です。

35.6㎝x 48.8㎝。江戸時代後期。

相撲の番付表を模した比べ物です。瓦版のような刷りです。良質の紙に刷られた大版です。

江戸後期には、東西対抗の形式で、いろいろな番付表が、数多く出されました。その中で、風刺やパロディに満ちた一群の番付表があります。

以前のブログでは、『嘘くらべ見立て評判』と、『大きな物見立てくらべ』を紹介しました。

今回は、利口と馬鹿の比べものです。

利口の方(上段)と馬鹿の方(下段)とに分けて書かれています。上段と下段を、2回にわけてブログアップします。

 

上段:

 

利口の方
大関 ねていても工風をするしよく人
      (寝ていても工夫をする職人)
関脇 しよにんにあいそうのよいあきん人
  (諸人に愛想の良い商人)
小結 どうらくな子を一ト通りにかんどうせぬおやの男
    (道楽な子を一通りに勘当せぬ親)
前頭 色男にほれぬ女房衆
    (色男に惚れぬ女房衆)
前頭 ひとのちやうちんをまちてあとから付て行人
    (人の提灯を待ちて後からついて行く人)
前頭  せたいを女房に頼む茶やのていし
    (世帯を女房に頼む茶屋の亭主)
前頭  むすこにはやくよめをとるかねもち
    (息子に早く嫁をとる金持ち)
前頭  色事でせたい持ているおとこ
    (色事で世帯持ちている男)
前頭  ひとをおさきにつかふひと
    (人をお先に使う人)

 

前頭  色じかけで金をもふける女
    (色仕掛けで金を儲ける女)
前頭  田舎からきて金持になる人
    (田舎から来て金持ちになる人)
前頭  おやたちにそうだんしてといゝぬけるむすこ
  (親たちに相談してと言い抜ける息子)  
前頭  人の金をまわして金をもふける人
      (人の金を回して金を儲ける人)
前頭  人をたのんておさせる車力  
      (人を頼んで押させる車力))
前頭  壱文のぜにでこどもをだますおや
      (壱文の銭で子供を騙す親)
前頭  客のきに入て請出さるゝ女郎衆
  (客の気に入りて請(うけ)出される女郎衆)
前頭 ひやうばん細見て吉原のはなしをまに合せるむすこ
    (評判細見で吉原の話しを間に合わせる息子)
前頭  ぼうさまをだます茶や娘
     (坊様を騙す茶屋娘)
前頭  ていしを見きりて出ル女房
      (亭主を見切りて出る女房)
前頭  しよじ人に聞あハせる人
      (諸事人に聞き合わせる人)
行司 たのしミをしながら金もふけする人
      (楽しみをしながら金儲けをする人)

 

感想:江戸後期の世相がうかがえます。時代が変わっても、人は変わらないですね。

コメント (2)
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