遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

大皿・大鉢17 呉須赤絵*印判手仙境楼閣山水図大皿

2021年12月17日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

今回は、呉須赤絵の大皿です。

径 36.4㎝、高台径 18.2cm、高 7.6㎝。中国、明時代末期。

これは30年程前、気張って入手した品です。というのは、当時、この手の品は非常に高価だったからです。

呉須赤絵は、中国明末から清初にかけて、広東省あたりの民窯で焼かれた輸出用日用雑器です。粗雑なつくりながら、くだけた絵付けが詫び寂びに通じるとして、桃山~江戸時代にかけて大量に招来され、茶人に珍重されました。

一見、何が描かれているのかわかりません。よく見ると、楼閣、船、人物、山などが浮かびます。絵画の常識などクソくらえ、けっこうシュールな絵付けです(^.^)

周囲の模様も、何だかよくわかりません。ただ、ものすごいスピードで描かれたであろうことはうかがえます。

印判は、赤で描かれた四角模様です。印が押されているのではなく、手描きなのですが、形からそう呼びならわされいるのでしょう。

褐色の胎土の上に白化粧をして、色釉で絵が描かれています。

高台の裏には、焼成時、ヒッツキを防ぐためにまかれた砂がビッシリとついています。この品などは、砂というより小さな石粒です。

この手の皿ほど、毀誉褒貶の激しい物はないでしょう。かつて、呉須赤絵の大皿をもつことが、日本の粋人、特に茶人のステータスでありました。市場的にも、数十年前まではかなり高価でした。ところが、どういうわけか、十数年前から、出回る呉須赤絵の数が急に増えてきたのです。呉須赤絵は、中国本土には残っておらず、ほとんどが輸出品、しかもその多くが日本国内にあります。長年先人たちによって大切にされてきた品が、生活スタイルの変化や世代交代で不用となり、どっと放出されたのでしょう。それにともなって、値段も急降下。どこの骨董市へ行っても、この図柄の呉須赤絵が、手にとる人もなく、淋しそうに鎮座しています。

かつて大枚をはたいて入手したこの品ですが、そういう訳で、長い間、放ってありました。

それが、今回、ブログを書くにあたって、いつものように見直したところ、プチ発見!

印判の横に、もう一つ、赤い小さな印判様のものがあります。

描き損い?それとも、遊び?

いずれにしろ、これでこの皿の価値は、少しアップしました。

おかしな世界ですね(^.^)

 

 

コメント (8)
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