遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

面白古文書 『嘘くらべ見立て評判』(上)

2021年11月06日 | 面白古文書

面白古文書『嘘くらべ見立て評判』です。

18.4 ㎝x25.1 ㎝。江戸時代後期。

相撲の番付表を模した比べ物です。瓦版のような刷りです。

江戸後期には、東西対抗の形式で、いろいろな番付表が、数多く出されました。その中で、風刺やパロディに満ちた一群の番付表があります。

今回の品はその一つ『嘘くらべ見立て評判』です。いろいろな嘘が、東の方(上段)と西の方(下段)とに分けて書かれています。上段と下段、2回にわけてブログアップします。

意味がわからないものがいくつかあります。赤色でマークしてありますので、ブログ読者諸氏の御教示をお願いします(^.^)

 

『嘘くらべ見立て評判』東の方

 

嘘くらべ見たて評判 
勧進元 酒飲みの禁酒
   東の方
大関 女はきらいだといふ若い衆
  (女は嫌いだという若い衆)
関脇 おくさまへつげ升といふ下女
  (奥様へ告げますと言う下女)
小結 見せよふが遅いといふやぶ医
  (見せようが遅いと言う藪医)
前頭 尼になりたいといふむすめ
  (尼になりたいと言う娘)
前頭 いきており升といふさかな屋
  (生きておりますと言う魚屋)
前頭 くハんけ帳の一チふで
  (勧化帳の一筆)
前頭 五しきにさくあさがほ
  (五色に咲く朝顔)
前頭 かるいもののけいづはなし
  (軽いモノノ怪出づ話し)
前頭 からくないといふとうがらしずき
  (辛くないと言う唐辛子好き)
前頭 かいてうのほうもつ
  (開帳の宝物)
前頭 御むそうのめうやく
  (御夢想の妙薬)    
前頭 座敷ハきれいだといふやど引
  (座敷はきれいだと言う宿引)
前頭 おばけがきたといふおふくろ
  (お化けが来たと言うおふくろ)
前頭 かうしやくしの明ばん
  (講釈師の明晩)   

 

前頭 賣薬店の受合りやうじ
  (売薬店の受け合い療治)
前頭 一トまく十六文といふ芝居引人
  (一幕十六文と言う芝居引人)
前頭 だんなでらのくやミいふの
  (旦那寺の悔み言うの)
前頭 用があるから一寸御はこびと書て
       よこすめうふのふミ(用があるから一寸御はこびと書いてよこす妙婦の文)
前頭 かけ取に留守たといふかミさま
  (掛取に留守だと言うカミさん)
前頭 母のない子でござり升といふこじき
  (母のない子でございますという乞食)
前頭 風を引たといふ灸ぎらい
  (風邪をひいたと言う灸嫌い)
前頭 よいたんなだといふ奉公の口入
  (良い旦那だと言う奉公の口入)
前頭 いなかものだといふせんとう入
  (田舎者だと言うせんとう入)
前頭 物目前のめうふのほり物
  (物目前の妙婦の彫り物)
前頭 きのふからくわぬと云物もらひ
  (昨日から喰わぬと言う物もらい)
前頭 きのふだとよいと云茶づけふるまい
  (昨日だと良いと言う茶漬け振る舞い)
前頭 おくびやうものヽてがらはなし
  (臆病者の手柄話)
行司 ことふれ
  (事触れ)

 

【勧化帳(くハんけ帳)】神社仏閣などの造営、修復のため、金品寄進を募る趣意書。勧進帳。
【御夢想(御むそう)】 夢でみた神仏からのお告げ。
【明晩(明(あくるばん)】次の日の晩。
【事触れ(ことふれ)】言い触らすこと。言い触らす人。

 

コメント (2)
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