遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

生活笑百智 『萬法秘術集』(7、終)

2021年04月06日 | おもしろ古文書

江戸時代のおもしろ生活百科『萬法秘術集』の最終回です。

15.4x23.2㎝、27丁。嘉永2年。

 

   衣服に油付たるをとる法
新しき土器を粉にしてほうろくにて
能いり何にても油の付たる物の上下ニ
紙を二三枚しき其上へ右の粉をふるいかけ
上にしつかりとをせおくへし不残取る也

   衣服についた油をとる方法
新しい土器を粉にして、焙烙で
よく炒り、油の付いた物なら何でも、その上下に
紙を2,3枚敷き、その上へ先の粉をふるいかけ、
上にしっかりと重しを置いておく。残らずとれる。

 

   あわひ  はま栗
        是をかい〇〇〇きる傳
あわびの中の身をは物にて丸くとり
身ハミにて外の鍋ニて味を付かいわ別々ニて
につめれバやわらかに也夫より身を入包丁ニて
きるへし

鮑 蛤
        これをかい○○○切る口伝
鮑の中身を刃物で丸くとり、
身は身で外の鍋で味を付け、貝は
煮つめれば柔らかくなる。それから身を切る。

 

   いもしるにへかんにてきれふ(ぬ?)法
いつものとうりニすりばぢへいもをおろし
其中へいも百目くらいならバ生栗を四五十ほどしろく成程かわを取能をろし
いもの中へ入又能すり座敷へ出ス時なべ
ゑいりにへかんにして出すへしきれぬ事
妙なり 栗ヲ入ル時人目用心すへし

      芋汁煮え羹で切れない方法
いつもの通りに摺り鉢へ芋をおろし、
そのなかへ芋百匁くらいならば、生栗を4,50ほど白くなるまで皮を取り、よくおろして芋の中へ入れ、また、よくする。座敷へ出す時、鍋へ入り煮え羹にして出すのがよい。不思議にも切れない。栗を入れる時は、人目を用心するように。

 

   女人さんの時のはざんとる法
是ニハゆすの種二ツほ斗土にして
さゆニて用へしき妙なり

   女性がお産する時破産をとりあげる方法
これには、柚子の種を2粒ほど土にして(意味?)、
白湯で呑むべし。不思議だ。 

 

   豆腐ニ繪を書傳
一 豆婦をはいの上ニぬのを置其上ニ置バ
水引也繪思ひ付ヲ書へし
〇思ひ付書あとニて水を入用べし
紋字也とも思ふままなり

    豆腐に絵を描く口伝
一 灰の上に布を置き、その上に豆腐を置けば、
水が引く。思いついた絵を描けばよい。
◯思いついた文字を書き、その後水に入れる。
文字であっても思いのままだ。

 

   紙にて酒を包火の上にて間をする傳
紙にこんにやく玉を皮をむき手にぬり紙ニ
能ぬりつけるなり火影ほしニしてたと紙
ニて包間をする也

 紙で酒を包み、火の上で間をする口伝
コンニャク玉の皮をむき、手に塗り、紙に
よくこすりつける。陰干にした後、たとう紙
で包み、間をすればよい。

 

  正中を四日ニみりんニする傳
壱合の中へ串柿四ツこまかに切入置バ
四日ニみりんになる也諸白き酒ハ一日ニ
なるなり

  焼酎を四日で味りんにする口伝
一合の中へ、串柿四つを細かに切り、入れておけば、
四日で味りんになる。白酒なら一日でよい。 

 

   年中酒をたもつ法
赤きとうからしを壱つ袋へ入いと壱尺
斗酒の中へ入いつ迄是あつても味かわらぬ也
壱合より壱斗迄壱つ弐斗より二ツ三斗より三つ

   年中酒を保つ方法
赤唐辛子を一つ袋へ入れ、糸一尺ばかり、
酒の中へ入れる。いつまでも味が変わらない。
一合から一斗までは一つ、ニ斗からは二つ、三斗以上は三つ入れる。 

 

   すく成酒を一夜之内に直す傳         
四斗之積ニ印手引三度間をして                
ちくばい四斗ニ壱升よくいり丁子肉佳五分
各細末はまくり四斗ニ四拾匁粉二して入
一夜之内ニ直るなり

    酸っぱくなった酒を一夜で直す口伝 
四斗の所に印をつけ、3回間をして
四斗に竹灰を一升をよく炒り、丁子、肉佳五分
それぞれの細末とはまぐり四十匁を粉にして入れる。一夜の内に味が戻る。 

 

  味噌のくさりたるを直傳 
生松の皮をさりて三ツ割四ツ割ニして
味噌ニ打込むべし直る事妙なり

   腐った味噌を直す口伝
松の生皮を剝いで3つ、4つ割りにして、
味噌の中に入れ込む。不思議にも味が戻る。

 

  玉子をそふめんのよふニして味ふ傳
玉子の白み斗△此ごとく成上ハふくろニして
上子(じょうこ)のよふにしひたじ成共湯成共ねやし
置其奈賀へ上よりしぼるなりそふめんの極(ごとく)ニ
成事妙なり                                     ねやす=こねる

  卵をそうめんの様にして味わう口伝
卵の白味だけを図の如く、上は袋状で
漏斗の様にして、シタジでも湯でも捏ねておき、
その中へ上から絞る。すると、そうめんの様に
なる。不思議だ。

 

   玉子をミなきいみにする傳
玉子ニちいさなあなをあけてみを少し出し
中へ酢を入能ふりまぜて其あなをふたぎ
能うでる也

  卵をすべて黄身にする口伝
卵に小さな穴をあけて身を少し出し、
中へ酢を入れよくふり混ぜて、その穴をふさぎ、よく茹でる。

 

祈りのようなあとがき(^^;

最終的には神仏に頼るのでしょうか(^.^)

信州の地で、この秘術集を書き残した人は、どんな人物だったのでしょうか。

 

30丁もない小冊子のようなこの書ですが、93もの秘術(^.^)が記されています。食べ物関係が36、病気などが15、その他諸々のマル秘知識が満載です。

最初は、何が書いてあるのかまるでチンプンカンプンだったのですが、書き手のクセなどがわかってきて、少しずつ内容をつかめるようになりました。そんなわけで、とりかかってから、半年近くたってしまいました。それでも、6つほどの秘術は、Unknownのままです(^^;

いつの日か、捲土重来(^.^)

でも、まだ同じような本がどっさりとあるので、そちらの方が先ですね。このペースでいくと、時間切れ(^^;

 

 

 

コメント (10)
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