先回に引き続き、明治七宝の紹介です。
高 18.5㎝、幅 7.5㎝。明治中ー後期。
近代七宝の技術が確立し、欧米への輸出がピークに達したころの品物です。
イギリスからの里帰り品です。
西洋を意識した、対称性の高いデザインです。
胴には、鳳凰と龍が2匹ずつ描かれています。
このような模様は、なぜか古代紋とよばれていて、盛期尾張七宝の得意とするパターンの一つです。
花瓶の内側や底にも青釉が施されています。
鳳凰と龍も格調が高い。
小品ながら、完成度の高い七宝です。
縁取りの植線は銀でしょう。
表面の平滑度が高く、まるで釉薬の下に色絵があるような錯覚をおぼえます。
当時、欧米の人々が競って求めたのも肯けます。