遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

金工7 鉄地蓮紋鍔

2020年04月21日 | 金工

鉄地の鍔です。

表側

      縦 72㎜、横 66㎜、厚 4㎜、重 110g。

 

裏側

鉄地に金、銀象嵌の鍔です。模様ははっきりとしませんが、蓮ではないでしょうか。

 

これは、まぎれもなく武具(の一部)ですね(^^;)

武具、宗教物はご法度なのにどうしてこの品が?

実は、故玩館を改修するとき、長持の隅にポツンと残っていたのです。

物騒なモノには縁がないはずだし?

記憶をたどって見ると、その昔、祖母が幼児の私によく話していました。

「家には、いい刀がいくつかあったのに、進駐軍に出してしまった」

今から考えると、戦時中の供出を免れた何振りかを、戦後の刀狩りに出してしまったことを悔やんでいたのでしょう。

まあ、いずれにしても、アブナイ物は近くにない方がいいです。その点、鍔なら手の上で転がしても安全です(^.^)

それにしても、ボロボロにサビてみすぼらしい。

ここで、パッとひらめきました。

昔、骨董屋のオヤジに教えてもらった方法。

「鉄の錆には、バターを塗れ」

さっそく、冷蔵庫からバターを取り出し、さあ塗ろうとしたところ・・・・コロナのこのご時世に、そんな事に貴重な食べ物を使うのはもってのほか、とのお言葉・・・・まことにごもっとも(^^;)

で、代わりはないかとさがしたところ、手荒れ用のワセリンがありました。暖冬の今年、さして消費せず、たっぷり残っています。

それをすり込んだところ・・・・・

写真でははっきりしませんが、みすぼらしさは薄れ、深みが増しています。ただ、あまり塗りすぎると、厭味なテリが出るので、ここまでにしました(^.^)

 

年月を経た渋い地肌に、金象嵌、銀象嵌が映えています。

以前、ブログで紹介した銅蟲は、象嵌まがいの金工細工でしたが、これはさすがに本物の象嵌で、鉄地を彫り、金、銀を埋め込んであります。

金象嵌は、デザイン上の装飾?(ワンちゃんの顔に見えなくもないですが(^^;)

銀象嵌は、蓮の花を表しているのでしょうか。

 

金の点象嵌は、1㎜ほどの大きさです。写真では難しいですが、よく見ると、その1/10くらいの小さな金象嵌も点々と散りばめられています。少し錆を磨いてやれば、もっと多くの極小金象嵌が顔をあらわすでしょう。

こんな小さな象嵌を、どうやって作るのでしょうか。

江戸時代の刀装工の腕には、驚かされます(^_^)

 

 

 

コメント (6)
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