■「徹底した少人数教育」という怪しい売り文句
中央学院大学は、ホームページで「徹底した少人数教育」を掲げてきた。
開学以来の方針であり、受験生へのアピール点だ。
開学時代はいざ知らず、現在では、これは怪しい。
■少人数教育とは
「少人数教育」とは、1クラスの人数を少なくして行う教育をいう。
学習塾がこれを掲げているのをよく見る。掲げるからには、確かに1クラスの
人数を少なくして、教えているのであろう。そうでなければ、保護者にどなられ
ろだろう。あるいは、消費生活センターに通報され、消費者庁に処分を受ける
かもしれない。学習塾の広告がウソかホントかは、見抜くのはそう難しいこと
ではないからである。
しかし、大学の授業が、本当に少人数で行われているか否かを判断するのは、
少々困難だ。なぜなら、大学の授業には、少人数で行われるものと、大人数で
行われるものが混在しているのは、いわば常識だからである。
語学は、教育効果の点から、どこの大学でもおおむね少人数で行われている
ようだ。この語学教育を少人数クラスで行っているからといって、その大学の
教育の特徴を、「少人数教育」と呼び、売り文句にしたとしたら、まさに
インチキである。
ゼミはどうであろうか。大学には、高校までと違い、教員の指導のもとで、
学生が研究・発表・討議を行う授業がある。これを、ゼミナール、ゼミ、演習
と呼んでいる。
この授業の形式は、少人数で行う。少人数で行うのは当たり前だ。
だから、「ゼミが少人数で行われてます」を売り文句にする大学なんか、
存在していない。もしそうしたら、これもインチキだ。
■100人ゼミの存在
冒頭で述べたように、中央学院大学は、「徹底した少人数教育」をうたい文句に
してきた。
ところがなんと、商学部には、履修者100人を超すゼミが存在していた。
詳しく述べるとこうだ。
商学部の或る助教授(当時)が、2004年頃から、演習に常識外れの多数の
履修者を入れ、学内で問題となっていた。内部の専任教員たちは、これを
放置してきた。
ところが、大学院商学研究科をつくるということで雇用された教授が、これを
知り、学内で告発した。2006年度のことだ。
それによると、この助教授、
2年生の「演習Ⅰ」に103名、
3年生用の「演習Ⅱ」に95名、
4年生用の「演習Ⅲ」に70名
を集めていた。
■「イナバの物置」じゃあるまいし
「イナバの物置、100人のってもこわれない」という宣伝があった。
確かにこの会社、100人を乗せ、壊れないところを見せていた。少々、衝撃的
であった。
しかし、ゼミに100人はないだろうに。だが、こんな漫画みたいなことが
この大学では行われていたのだ。
このうち「演習Ⅰ」は、教室の収容人数が60名程であった。
そこに103人だ。43人はどこに座るのだ! 定員の1.7倍だ!
こぼれるだろうに。それとも、床にでも座らせて授業をしたのか。
まさに、「イナバの物置」状態だ!
■何が問題なのか
大学は、「大学設置基準」という文科省令に基づいて運営されている。
学士という学位、卒業資格を与えることを許されている大学は、この
法令に従わなければならない。
単位を与える際にも、この法令を守り、一定時間の授業を行わなければ
ならないのである。
ところが、教室に物理的に入れないほどの人数を集め、その学生に
単位を与えていたとしたら、それは法令違反である。
■この授業の魅力
どうしてこれほどの学生が履修したのか、との疑問が出ることであろう。
教員に魅力があったからか。
そうではないらしい。
学生によると、単位を簡単に出してくれるからであるという。
「先生は教室に入ってきて、黒板に毎回文書を書き、学生はそれを書き写す。
ほんの数十分。年度末に、それをつなげて書き、レポートとして提出すれば
単位をくれるので、人気がある」とのことであった。
<続く>
中央学院大学は、ホームページで「徹底した少人数教育」を掲げてきた。
開学以来の方針であり、受験生へのアピール点だ。
開学時代はいざ知らず、現在では、これは怪しい。
■少人数教育とは
「少人数教育」とは、1クラスの人数を少なくして行う教育をいう。
学習塾がこれを掲げているのをよく見る。掲げるからには、確かに1クラスの
人数を少なくして、教えているのであろう。そうでなければ、保護者にどなられ
ろだろう。あるいは、消費生活センターに通報され、消費者庁に処分を受ける
かもしれない。学習塾の広告がウソかホントかは、見抜くのはそう難しいこと
ではないからである。
しかし、大学の授業が、本当に少人数で行われているか否かを判断するのは、
少々困難だ。なぜなら、大学の授業には、少人数で行われるものと、大人数で
行われるものが混在しているのは、いわば常識だからである。
語学は、教育効果の点から、どこの大学でもおおむね少人数で行われている
ようだ。この語学教育を少人数クラスで行っているからといって、その大学の
教育の特徴を、「少人数教育」と呼び、売り文句にしたとしたら、まさに
インチキである。
ゼミはどうであろうか。大学には、高校までと違い、教員の指導のもとで、
学生が研究・発表・討議を行う授業がある。これを、ゼミナール、ゼミ、演習
と呼んでいる。
この授業の形式は、少人数で行う。少人数で行うのは当たり前だ。
だから、「ゼミが少人数で行われてます」を売り文句にする大学なんか、
存在していない。もしそうしたら、これもインチキだ。
■100人ゼミの存在
冒頭で述べたように、中央学院大学は、「徹底した少人数教育」をうたい文句に
してきた。
ところがなんと、商学部には、履修者100人を超すゼミが存在していた。
詳しく述べるとこうだ。
商学部の或る助教授(当時)が、2004年頃から、演習に常識外れの多数の
履修者を入れ、学内で問題となっていた。内部の専任教員たちは、これを
放置してきた。
ところが、大学院商学研究科をつくるということで雇用された教授が、これを
知り、学内で告発した。2006年度のことだ。
それによると、この助教授、
2年生の「演習Ⅰ」に103名、
3年生用の「演習Ⅱ」に95名、
4年生用の「演習Ⅲ」に70名
を集めていた。
■「イナバの物置」じゃあるまいし
「イナバの物置、100人のってもこわれない」という宣伝があった。
確かにこの会社、100人を乗せ、壊れないところを見せていた。少々、衝撃的
であった。
しかし、ゼミに100人はないだろうに。だが、こんな漫画みたいなことが
この大学では行われていたのだ。
このうち「演習Ⅰ」は、教室の収容人数が60名程であった。
そこに103人だ。43人はどこに座るのだ! 定員の1.7倍だ!
こぼれるだろうに。それとも、床にでも座らせて授業をしたのか。
まさに、「イナバの物置」状態だ!
■何が問題なのか
大学は、「大学設置基準」という文科省令に基づいて運営されている。
学士という学位、卒業資格を与えることを許されている大学は、この
法令に従わなければならない。
単位を与える際にも、この法令を守り、一定時間の授業を行わなければ
ならないのである。
ところが、教室に物理的に入れないほどの人数を集め、その学生に
単位を与えていたとしたら、それは法令違反である。
■この授業の魅力
どうしてこれほどの学生が履修したのか、との疑問が出ることであろう。
教員に魅力があったからか。
そうではないらしい。
学生によると、単位を簡単に出してくれるからであるという。
「先生は教室に入ってきて、黒板に毎回文書を書き、学生はそれを書き写す。
ほんの数十分。年度末に、それをつなげて書き、レポートとして提出すれば
単位をくれるので、人気がある」とのことであった。
<続く>