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ファイアーサイド・チャット=焚き火を囲んだとりとめない会話のかたちで、広報やPRの問題を考えて見たいと思います。

ライブドア 報道部門を設置

2004年08月29日 22時24分01秒 | 参加型ジャーナリズム
ライブドアが発表したプレスリリースを見てみよう。

2004.08.26
ライブドア、報道部門を設置し独自のニュースコンテンツを提供

■概要
株式会社ライブドア(代表取締役社長 兼 最高経営責任者 堀江 貴文 東京都新宿区:証券コード4753)は、総合ポータルサイトlivedoor(http://www.livedoor.com/)内の「livedoor ニュース」で、11月を目標にポータルサイトでは初めて独自の報道部門を用意し、オリジナルのニュースコンテンツをご提供してまいります。併せて、掲載コンテンツを大幅に拡充するなど、読み応えのあるニュースサイトにしてまいります。


ジャーナリズムの地殻変動の始まりなのだろうか。
大新聞の多くや国営放送など、日本の主要報道機関経営トップの老害傾向が目立っているときだけに、ライブドアの無謀とも思える挑戦には、フレッシュさへの期待を感じる。

堀江社長の2004年07月29日の「livedoor 社長日記」を読むと
7月末~8月頭にライブドアニュースの大幅配信記事増強を考えていたんだけど、順調に進んでいた読売新聞の記事配信がなぜかキャンセルされる。なぜだろう・・・。読売なくてもニュースサイト的には平気な気もするけど、どうだろう?
と書かれている。

現在のライブドアニュースの配信元を見ると、朝・毎・共同・時事を筆頭に、ダウジョーンズ・ゲンダイネット・ニッカンスポーツ・サンケイスポーツ、IT系メディアなど、広汎に情報を受けている。

今後の注目は、ライブドアが報道分野に進出したとき、これらの既存マスコミが今後ともニュースを配信してくれるかどうかだ。
率直に言って、記者クラブ制度という悪名高き護送船団に安住している既存マスコミは、既得権益擁護のため、ライブドア排除に走る惧れがある。
かつて、ブルンバーグが日本に進出した際も、記者クラブの門戸を閉じ強烈な妨害を行った。
近くは、田中康夫知事が記者クラブを開放した問題でも、マスコミの知事イジメは甚だしく、今も続いている。

ライブドアのニュースリリースによると
既存の報道機関とは異なる視点から多様なニュースを取り上げることによって、新しいスタイルのニュースコンテンツを提供していきたいと考えております。(登録を目指す方々への講習・研修制度や記事に対する評価制度など、記事の品質を高めるため様々な工夫も用意してまいります。)また、大手マスメディアが扱いきれない多様なニュースを取り上げることによって、ジャーナリズムのあり方に一石を投じるものと考えています。
とある。
既存マスコミとの軋轢は避けられないかもしれない。

既に、読売は記事配信を止め、日経はそのポリシーから自社サイト以外の配信は行っていないわけだが、他の既存マスコミがこれに同調することはありうるのではないだろうか。
例えば、毎日新聞のサイトは既にMSNと提携している。MSNはライブドアと競合することから、毎日がどう判断するかだ。
仮に毎日が引き金となり将棋倒しが起これば、ライブドアニュースの先行きは不透明なものとなろう。
ライブドア独自の約40人体制の報道部門だけでは幅広い取材をカバーすることは不可能だし、記者クラブ経由のニュースの取材に制限があるからだ。

こう考えてくると、既存マスコミ系の記事配信をどう確保するかが、ライブドアニュースの成否を決めるように思われる。
既存マスコミのうち、中央紙はライブドアと相性がいいとは思えない。朝日・日経はそれぞれ自社サイトを育てようとするだろうし、毎日は既にMSNと提携し、読売はナベツネ氏の存在が障害となるだろう。あえて可能性を求めればサンケイかもしれない。
ここで浮かび上がってくるのが通信社とのエクスクルーシブな提携である。
共同通信・時事通信・ロイター・ブルンバーグといったあたりと提携できれば、面白い展開に発展する可能性がある。
共同通信は社団法人で加盟社である地方紙の意向が強く反映することから、提携はさほど容易ではない。ロイター・ブルンバーグは海外には強いが、国内が弱体である。残る選択肢は時事通信だろうか。

結局のところ、サンケイ新聞か時事通信と記事配信の契約を締結できると、今回のライブドアの挑戦が大化けする可能性もないとはいえない。
堀江CEOはネクタイを締めて、この両社にアプローチする必要があるのではないだろうか。


2 コメント

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Unknown (あざらしサラダ)
2004-08-31 23:18:42
先ほどはトラックバックありがとうございます。



今回のTBした記事では、失礼かとも思いましたが非常に共感できる文章だったので、「コメント」の文章も引用させて頂きました。



もし問題があるようであれば、直ちに訂正しますのでご連絡ください。
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そうです、通信社がカギ (miyakoda)
2004-09-02 11:08:29
そうなんですよね、通信社がカギだと私も思います。あと、一般紙が全部なくなっても、一部のトクダネ的な記事が少し遅れて入るだけで、あんまり大したことはない感じ、個人的にはします。
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