Fireside Chats

ファイアーサイド・チャット=焚き火を囲んだとりとめない会話のかたちで、広報やPRの問題を考えて見たいと思います。

テレ朝社長、在京民放5局の株式持ち合いを検討

2005年04月27日 07時11分15秒 | ニュースコメント
>テレビ朝日の広瀬道貞社長は26日の定例会見で、敵対的な買収を防ぐために
>在京民放キー局5社の株式持ち合いを検討する方針を明らかにした。
>「各局が2%の株式を持てば合計で8%になり、(敵対的買収に反対する)発言力になる」と指摘。
>ライブドアとニッポン放送を巡って攻防戦を繰り広げ、最終的に和解したフジテレビジョンに
>「真っ先に(考えを)聞いてみたい」と述べた。
>NIKKEI-NET

これ、おかしいだろう。
キー局同士の健全な競争をどう考えているの?
トヨタと日産とホンダが株を持ち合ったり、みずほと東京三菱と三井住友とが株を持ち合う姿ってグロテスクじゃありませんか?

テレビのキー局が仲良しクラブの村社会を作ろうとする発想は、きわめて不健全だと思います。

乙部綾子さんの講演を聞いた。

2005年04月21日 17時34分54秒 | PR戦略
日本PR協会の定例研究会で、ライブドアの美人広報、乙部綾子さんの講演を聞いた。
さすがに、乗りに乗っている企業だけあって、話からうかがえるライブドアの企業文化には勢いを感じる。
会議で時間を無駄にすることを嫌い、思い立ったら即実行。
失敗を恐れぬ風土を築いているらしい。

驚いたのは、広報にも売上げをあげる使命が課せられているという話。
言うまでもなく、広報に求められるミッションの第一は、さまざまなステークホルダーと良好なリレーションを構築・維持し、社会の中での当該企業の存立の基盤をつくること。
当然、売上げどころかコストのかかる仕事が山のようにある。
特に、現状のライブドアのポジションを考えたとき、存立基盤の地固めは喫近の課題と思うがどうなのだろう。

例えば私はこう思う。
ニッポン放送株のフジテレビへの第三者割当増資が問題になったとき、多くの心ある人は、こんなことが許されるなら、日本の株式市場も終わりだと思ったに違いない。
しかし、正面に出てホリエモンを擁護する人は現れなかった。
オピニオンリーダーは皆腰を引き、一般論としてフジテレビの手法に疑問を呈するだけだった。
結果として、ホリエモンはテレビ取材に逐一対応し、一人持論を展開せざるを得なくなった。
テレビのインタビュアーや取材記者の質問のお粗末さには、あきれ果てるばかりだったが、それが世論を動かすには至らなかった。
ライブドアは戦略的にオピニオンリーダーとのリレーションを構築し、ライブドアの理解者を増やすべきである。
それをしない限り、プロ野球参入、ニッポン放送買収に続く第3弾も同じ憂き目に合うだろう。
しかしながら、広報にも売上げを要求されるとなると、こうした戦略的な動きは出来なくなってしまう。

乙部さんはクレバーな人だから、ホリエモン講演会のギャランティのタフな交渉をしたり、ライブドアデパートの商品をテレビパブリシティに載せる努力をしたり、さまざまな手を打っているようだ。
今月からは、商品を推奨する「組織アフィリエイト戦略?」として、乙部綾子のお仕事日記というブログもはじめたという。

このような「マーコム(マーケティング目的の広報コミュニケーション活動)」の重要性を否定するものではないが、今後のライブドアの発展にとっては、経営レベルの広報「戦略」の検討がより重要であることに気付くべきだと思う。


なお、livedoorBlogランキングの欠陥を明らかにする公開実験ブログがホリエモンの「社長日記」のアクセスランキングを上回ったことについても質問してみた。

乙部さん自身はこの経過については、詳細を把握していない様子だったが、
「堀江はその状況については認識しており、社内では、一日も早く改善しろ!!と号令をかけています。」
「かつては、顧客を大切にする文化を持たない会社だったけれど、これでも随分ましになったのです。温かく見守ってください。」
との返事をいただいた。
こういう事態への対応こそ、広報の重要な役割であることに気付いて欲しいと思う。
ライブドアブログのユーザーこそ、ライブドアのコアなサポーター層のはずだ。
新規顧客の獲得より、既存顧客の維持の方がよほどコストもかからず、ブランドロイヤリティを形成する有効な手法であるとの単純な事実に留意すべきではないのか。
そんな感想を抱いた。



あ、それから。
実物もやっぱり魅力的な美人でした。


中国ビジネスでの現地化努力

2005年04月12日 20時27分22秒 | PR戦略
日中関係の地合が従来になく悪化している。
しらとりじゅんさんのブログに、リアルな現地の写真が掲載されていた。
イトーヨーカ堂やジャスコが反日活動の対象になっているようだ。
今日の日経流通新聞の終面の記事によると、アサヒビールや味の素も排斥の対象となっているという。

20世紀には憧れの対象だった日本企業は21世紀の声を聞くに及んでその地位をずるずると後退させて現在に至っている。その理由を思いつくまま挙げると、
欧米系の企業が本格進出を果たし、日本企業を上回る評価を得始めた。
現地資本が力をつけ、ハイアールやレノボを筆頭にグローバルブランドに名を連ね始めた。
これに対し日本企業は、いつまでも東京の本社に顔を向け続け、現地化に失敗している。
雇用や昇進制度でも差別を設け、現地採用社員の気持ちを掴みきっていない。
真偽のほどは確認していないが、こういった指摘をかねてから耳にする。

確かに、小泉首相の靖国参拝をはじめとした問題はあるだろう。
中国政府が反日教育を行い、国内の不満のガス抜きとして日本叩きを見過ごしているとの指摘も当たっているかもしれない。
しかし、中国ビジネスにこの種のリスクが存在していることは最初からわかっていたことだろう。
日中関係がどうあれ地元に中国社会に愛されるための努力が、いまこそ日本企業に求められているのではないだろうか。

例えば「希望工程」という社会貢献活動がある。中国の貧困地域における未就学児童の就学を援助するプロジェクトだ。
日本からもキヤノンや全国各地のNPOなどが協力しているが、なんといってもこのプロジェクトを支えているのがコカコーラだ。
希望工程により僻地にいくつもの学校が建てられているが、コカコーラの援助で建てられた学校にはコカコーラの社名やマークが掲げられている。
このため、中国奥地には、コカコーラを学校のことだと信じている人が多くいるという。
こうした地道な活動の積み重ねがあってこそ、国籍を超えて支持される強靭な評価を得ることが出来るのだろう。

8月7日、愛地球博会場で国際シンポジウムを開催する。広報の観点からこうした問題を考えようというものだ。
たまたま、中国での日本に対する風あたりはアゲインストであるが、こういうときこそ、個々の企業の努力が必要であり、ひいてはそれが日本に対する好意も醸成するのだろう。