911直後に、ブッシュ政権は中近東への本格介入を決断したのかもしれません。
グラウンド・ゼロの余燼もおさまらない01年10月2日、国務省は「パブリックディプロマシーおよび広報担当」の次官としてシャーロット・ビアーズ女史を任命しました。
パウエル国務長官が911直後に直接就任を要請したとのこと。
女史は、WPPグループの2つの大手広告代理店、J・ウォルター・トンプソン、オグルビー&メーザーの会長を歴任し、「マディソン街の女王」とまで呼ばれた広告業界のスター経営者からの転身でした。
しかし、03年3月。成果があがらない責任を問われ、米軍のイラク侵攻を前に、解任されることになります。
彼女の失敗の原因は、本来広報的アプローチをすべきところに、広告的アプローチをしてしまったことにあるでしょう。
彼女はどんな作戦を取ったのか。
・アメリカに住むイスラム教徒の生活をレポートしたVTRを制作。イスラム各国のテレビ枠を買って放映しようとし、各地で放映拒否に遭った。
・ボイス・オブ・アメリカの後身である「ラジオ・サワ」を通じ、親しみのあるアメリカを売りこもうとした。
・アメリカ政府の見解やメッセージを直ちに30ヶ国語に訳せる「グローバル通信」というシステムを開発した。
・フセインがクルド族に化学兵器を使用したことを非難する政府広報誌を広汎に配布した。
・時差の空白を埋めるため、ワシントン・ロンドン・イスラマバードに「情報センター」を設置した。
・MTVやアルジャジーラにアラビア語が堪能な元シリア駐在大使を出演させた。
最後の項目のみは合格点が与えられるものの、それ以外はアメリカからのメッセージの一方的押し付けであり、広聴の視点が欠落していることを指摘できるでしょう。
さらに、イスラム聖職者など第三者のインフルエンサーによってアメリカに好意的なレピュテーションを形成させようとする、インダイレクトな戦略も見当たりません。
力ずくの広告流で、アメリカへの好意をインプリントしようとする作戦は、はじめから失敗への道を突き進んだかのようです。
【参考サイト】
里見脩氏論文
マンスリー広告批評
グラウンド・ゼロの余燼もおさまらない01年10月2日、国務省は「パブリックディプロマシーおよび広報担当」の次官としてシャーロット・ビアーズ女史を任命しました。
パウエル国務長官が911直後に直接就任を要請したとのこと。
女史は、WPPグループの2つの大手広告代理店、J・ウォルター・トンプソン、オグルビー&メーザーの会長を歴任し、「マディソン街の女王」とまで呼ばれた広告業界のスター経営者からの転身でした。
しかし、03年3月。成果があがらない責任を問われ、米軍のイラク侵攻を前に、解任されることになります。
彼女の失敗の原因は、本来広報的アプローチをすべきところに、広告的アプローチをしてしまったことにあるでしょう。
彼女はどんな作戦を取ったのか。
・アメリカに住むイスラム教徒の生活をレポートしたVTRを制作。イスラム各国のテレビ枠を買って放映しようとし、各地で放映拒否に遭った。
・ボイス・オブ・アメリカの後身である「ラジオ・サワ」を通じ、親しみのあるアメリカを売りこもうとした。
・アメリカ政府の見解やメッセージを直ちに30ヶ国語に訳せる「グローバル通信」というシステムを開発した。
・フセインがクルド族に化学兵器を使用したことを非難する政府広報誌を広汎に配布した。
・時差の空白を埋めるため、ワシントン・ロンドン・イスラマバードに「情報センター」を設置した。
・MTVやアルジャジーラにアラビア語が堪能な元シリア駐在大使を出演させた。
最後の項目のみは合格点が与えられるものの、それ以外はアメリカからのメッセージの一方的押し付けであり、広聴の視点が欠落していることを指摘できるでしょう。
さらに、イスラム聖職者など第三者のインフルエンサーによってアメリカに好意的なレピュテーションを形成させようとする、インダイレクトな戦略も見当たりません。
力ずくの広告流で、アメリカへの好意をインプリントしようとする作戦は、はじめから失敗への道を突き進んだかのようです。
【参考サイト】
里見脩氏論文
マンスリー広告批評